王子さまと平凡だと思い込んでる非平凡くん。 

いちご大福

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深い繋がり。

双方の理解者。

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小雪と華音には、花小路 翼(はなこうじ つばさ)という美青年が居る。
彼は長く北王子家を支えてきた秘書の家系に当たる。
華音と小雪の仲を取り持ちつつも双方のよき理解者として、
今日も翼は北王子家まで迎えに来ていた。
翼は二人のボディガードも兼ねている。


「相変わらず仲がいいですね、お二人は」
仲良く玄関から出てくる小雪と華音はまるで新婚のような雰囲気でもあるのを、
執事とメイドたちはあたたかく見守っているのだ。
そんな事を知らないのは小雪ぐらい。
「え!?そう、かな?」
「当たり前だろう、小雪以上に大切な人は居ないよ」
小雪の肩を引き寄せて微笑む華音に何も言えなくなる小雪。
メガネをしていても顔は真っ赤である。

「………華音くんはカッコいいから、」
「小雪だって可愛いよ?」
二人は褒め合いを始めてしまうと止まらない事を翼は痛感している。

「お二人とも、学校に遅れますよ?」
「ごめんなさい、翼くん。行こう、華音くん」
「そうだね、小雪。待たせてすまない、翼」
車に乗りながら、四人を乗せた(運転手含む)車は走り出す。


華音は学校に着いても小雪を肩に寄せたままくっつく。
それに抵抗しているのが小雪だけれど、皆は知っている。


この二人に入る隙間はないのだと。


よく知らずに入って行った冒険者たちは、華音にこっぴどくやられている。
むしろ逆に応援します!となった人間が多かった。


「相変わらずのお二人ですわねー」
と周りはあたたかい。主に視線が。
華音はそれを当たり前のように小雪もそれに慣れてきてしまっている。



『何よ!!あれ!?』
ピンク色の髪の少女だけ妬ましく見ているのを華音は見逃さない。
その視線は小雪に向けられている。


「翼、あそこでこっちを睨んでいるピンク髪をマークしろ」
「かしこまりました」
ボソッと呟く華音に翼は頷く。




小雪と翼、華音は同じクラスでもある。
主に華音はいろんな仕事を任されており、多忙だった。


「あの、翼くん?」
「なんだい、小雪くん?」
「僕、何かしたかな?」
こういう時だけカンが鋭い小雪は翼は溜め息をつく。人の感情に機敏だと。
後ろでピンク髪の少女が睨んでいる事を小雪は悟ったのだろう。
『鬱陶しいハエが!』
小雪には顔にも出さないが、翼は内心罵った。


『余計な事をすれば、またもや華音様の制裁が下るだろうな』
と心で翼は呟く。
「大丈夫ですよ、小雪くん。心配などありませんよ」
ニッコリと微笑む翼に小雪は首を傾げるしかなかった。



ピンク髪の少女、松浦(まつうら)さくらは罵った。
『あんな陰険メガネのどこがいいって言うのよ?』
確かに真白 小雪という存在は儚く見えてメガネを外した時の衝動は忘れられない。

『私よりも可愛いってどういうことよ!?大体、男の癖に!!』
さくらは何としても小雪を排除したいと思っていた。
食事も席も華音と小雪は隣同士で華音が離れたと思えば小雪の傍には翼の存在。
翼も中々のイケメンであるが、徹底的に小雪の傍にいる。

中々に隙を作って、小雪に嫌味な事を言いたくても言えなかった。


『何とかして北王子くんの隣、居場所ポジションをもぎ取る!!』
そしてあんな女顔した陰険よりもこちらに向かせると燃えがある。



『いくら男でも子どもが産めるようになったからって、女として負けられないわ!
あんな陰険メガネなんかに!!』
さくらがそう心に決めるとどうやって手を出すか、考えるのであった。
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