ナマイキな後輩ー運命の番だなんて信じません!ー

いちご大福

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攻防戦は繰り広げられる。

認めたくない。

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望の強い意志は挫けずにある。


例えば体育倉庫で押し倒されていても。
これで諦めたくないし、恋など分からない望は認めたくない。
敗北が認めたくないという感じで足も蹴りを入れつつ、戦っていた。


「いつになったらモノになるの?ていうか、認めようよ」
「ならない。というか、TPOは分かってる?こんな場所で何考えてんの?」
「興奮するじゃん」
「さっさとどけ」
蹴りを強く入れて退かす。もはや攻防戦は負け戦になりつつあるが、望のプライドが許さない。




試合後、昴の家がまさか一流企業の『柳崎商事』とは思わず。

御曹司のようで、黒の高級車が止まった時は流石に望は魂が飛びそうになるのを抑えた。


「迎えに来なくていーっていったじゃん」
「社長から、昴様の婚約者の望様を乗せるようにと言われましたので」


「いつ、どこで、誰が婚約者だと?」
執事の人に詰め寄る形になってしまう望に慌てつつ、執事の人は焦っていた。


「俺がきめた、親父とお袋にも話してある」
「アンタかよ!!」
勝手に決めるなと腹を立てて睨む。


「とにかく、俺とこの人はそんな関係じゃないんで。ご両親にこの人を怪我をさせた事はお詫びしますとお伝えください」
「は、はい」
さっさとずらかろうとした望の腕を掴み、昴は車に望を乗せた。


「まぁとにかく車、出して。
先輩も暗い中、一人で帰らないの。あぶないから」
「アンタが一番危ないヤツだわ!」
望が怒っても昴はどこ吹く風。昴の指示に従って車は動き出した。

 

家までは昴がイチャつく事が多く、望は最後は力尽きた。体力さが違う。頭を使うのぞみと体力もある昴とでは。





望は望で昴の事を考えた。
ナマイキでガキっぽい、エロい、すけべ、
バカっぽい、でもバスケには真剣で好きなんだな、などなど。

好きだなって要素は見つからない。


蹴り入れて退いた昴に、望は睨みつけるしかない。

「アンタの事、考えたけど好きじゃない」
「そんなんで諦めるわけないじゃん、好きにさせるって俺、言ってるし」
飄々として言う昴にまたブチギレる音が望の中で響く。


『このガキは!』






攻防戦は一進一退を繰り返す。


望がオメガで昴はアルファの恋模様を皆があたたかい視線で見送る中、誠一郎率いる3年たちは部から受験の為、見送っていったが、

3年生チームは懇願してきた。

「クリスマス会?」
「頼むよ、のぞみん。3年には3年の悩みが」
「受験を忘れたいんだね。仕方ないな」
誠一郎にせがまれて、望は溜め息をつく。
幼馴染みの頼みを無碍に断れない。


「明日までには調べ上げるから待って」
そう言って、望はあちこち電話してリストアップを作成していく。


「「「えっ、クリスマス会!?」」」
「そう、3年の皆さんが息抜き、とバスケット部たちと食べたいそうです。」
部員たちに話すと喜びの視線をこちらに向けた。
「「「やったぁー!!彼女が居ないからラッキー☆」」」
喜び合う部員たちには対照的に、昴は舌打ちをする。
「先輩とすごそうと思ったのに」
「「「掻き消えろ!」」」
昴の言葉に部員たちは望の味方をした。



波乱のクリスマスが始まる。


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