ナマイキな後輩ー運命の番だなんて信じません!ー

いちご大福

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運命の出会い?

喜怒哀楽なんて知らない。

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「せんぱーい、デートしよー?」
「死ね」
もうしつこい。という表情が隠せない。
望がご飯を食べている時やら放課後に部がなくても昴は望の傍にやってくる。

「露骨すぎ」
「アンタがしつこいんだ。
付き合いたいヤツはたくさんアンタの周りにいるだろ?そっちにいけ」
しっしっと手をやる望に昴は少し膨れる。

「俺たちは運命の番なんだから少しは素直になればいーじゃん、俺は先輩がいーの」
「運命なんて信じない。それに今の私は一人が好きなんだから邪魔だからあっちいって」


「私っていうから、よけいに女の子っぽい。
いぃ匂いだよね、先輩って」
いつの間にか至近距離にいた昴に、望は対応が遅れた。押し倒されてやる気がないいつもの表情とは違い、真剣な昴がこちらを見ている。

「離れて。叫ぶよ」
「叫ぶ口は塞ぐに限る」
昴の顔が近づいて来ている。望は、


ゴッチーン!!

思いっきり頭突きをかました。


双方、痛みに耐えつつ望は昴から抜け出す。

「いい加減にしなよ、私はアンタのオモチャでもないし、付き合う気もない」
涙目で頭を擦りながら睨むと昴は少しだけ笑みを浮かべた。


「いつか堕としてやるから。俺なしじゃいられないように。それに先輩は俺の初恋だから、
オモチャにはしない」
「どうだか。エロ本を思いっきりヒトの頭に落とした言うヤツのセリフなんてあてにならない」
ご飯を食べて廊下を歩いていたら本が落ちてきた事があった。
もちろん被写体は女性。

「あー、あれは本当にダチが落としたヤツだから」
「だとしてもアンタは女の子の方がいいでしょう?
わざわざ私に関わらんでいい」
「運命の番に、オメガの先輩に関わるなって言う方が無理じゃない?」
暖簾に腕押しする事のような昴に、望はイラついて来ていた。


『運命、運命ってそんなもん私には何も感じられ無いんだけど!!
大体、学校イチのモテ男が番だなんて思いたくもない!』
勉強の為に、また部活の為に生きている。
やっとやる事も増えて来て、マネージャーとしての生きがいも出来た。


そんな中、運命などと言う昴の言葉に望は信じられないし望はオメガ特有の匂いもなく、
また発作もない。
昔はベータだった望。だけど最近になってオメガになったばかり。異例中の異例でもあった。

望は頭が良すぎて外国に留学後、数年で大学院まで上り詰めた鬼才。
日本に帰ってきて高校に通い出したのは、バスケットボールが好きだからという理由である。


望の表情も言葉を欠落しかかっている祖父母は心配して、またバスケットボールが好きな望の為に祖父は顧問を願い出たのであった。


「とにかく私に関わるな、迷惑だ」
「そんなの出来ない、先輩は可愛いもん」
また腕を引っ張られて抱き締める昴に望は、
『またしてやられた』
と悔しく思う。


「それにわかんない?好きなヤツが傍に居るって音」
「はっ?」
思いっきり心臓の音近くに耳を向かせる体制にする昴に望は顔を顰めた。



ドクン、ドクン、ドクン、ドクン



激しい胸音が望に聞こえてきた。



「わかった?本気マジだって。
好きなヤツの前じゃなきゃこんなに緊張しない」

「わ、わかったから、離れて!」
「わかってない。理解するまで離れない」
真面目な顔をして昴が言うと、心臓の音ともに抱き締められているのが恥ずかしくて堪らない望。


「わかった、ちゃんと考えるから!だから落ち着こうか!」


顔を真っ赤にして言う望に昴の力が抜けて望は駆け足で抜け出した。



「やっぱかわいー」
くそ油断した、という昴には笑みが。


「何言ってんだ、自分!?」
ただ顔を真っ赤にして走り出す望。




「「絶対に」」
時を同じくして二人は決意する。

「手に入れる」
昴には獰猛な獣のような瞳が。
「好きになんかならない!」
望には涙目で小型動物のようなしぐさで


二人は決意した。






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