ある腐男子の妄想

佐野 臣

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番外編

テスト勉強の日 side ねこくん

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 7月もせめて一話更新しようと思っていたのですが、もう7月も終わるこの日になってしまったこと申し訳ありません!
 言い訳させてもらうと、テストに課題にと追われていたせいでなかなか小説を書く時間がありませんでした(泣)
 あともうひとつ、はっしーsideが間に合いませんでしたあああぁぁぁぁ(土下座)
 また、はっしーsideは出来次第載せますので、読んでくれるとありがたいです!
 ここまで長話にお付き合い頂きありがとうございました。
 では、本編へどうぞ!↓

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7月

 ジリジリと外では太陽が照りつけるような季節がやってきた。
 唐突だが、基本インドアの俺は一日中クーラー必須なほど暑さに弱いのだ。

「今日も太陽が眩しいね!!ほんと、こんなんじゃ溶けてなくなっちゃうよ!」

 まぁ、外に出ないんですけどね!と心の中で愚痴を零す。
 なぜなら、学生には大きな壁であるアレがやってくるからだ...

 その名は...<テスト>である!!

 あああああぁぁぁついにやってきてしまう~(泣)
 もうムリだよ~~~~~
 は...あははは...あははははははは!!今日から徹夜だーーーー!!

 現在、教科書とプリントを前に発狂中。

 日々、復習をしっかりとやっておけばいい話なのだが、それができたら苦労はしない!
 どうしてもマンガに小説にアニメにと誘惑が付き纏い、ついにテスト一週間前になってしまった。

「なんで楽しいことはすぐに頭の中に入ってくるのに、こう勉強ってなると一気に入らなくなるのか...」

 思わずため息がこぼれてしまう。

 そんなこと言ってても仕方ないんだけど...自業自得ってやつだよな~
 切り替えて、やらないとな~

「はぁ~誰かと一緒とかだったら、勉強も捗りそうなんだけどな~」

 ん?誰かと...?
 あ!そういえば、前にはっしーとねこくんが勉強の約束してたよな~(←脳内でだけどwww)

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ねこくんside

 ある日の授業終わり、帰り支度をしているとはっしーから声をかけられた。

「なぁ~ねこ、ちょっといい?」
「ん?大丈夫だけど、どうしたの?」

 そう返すと、他の皆には聞こえないようになのか少し小声で話し始めた。

「もうすぐテスト近いよな?」
「?そうだね?」
「ところでねこは前にした約束を覚えてるか?」

 話の文脈が繋がっていない気がするんだけど...
 話が飛び過ぎてよくわからないし、約束って何だろう?

 僕は顎に手を当てて、う~んと俯きながら過去を遡ってみたが一向に思い出せなかった。

「ごめん、ちょっと思い出せない...」
「マジかよ~でも、約束は約束だから!ねこなら破らないよな!?」

 はっしーのあまりにも鬼気迫る表情に僕は無意識に首を縦に振っていた。

「さすがねこ!てことで、ねこが勉強を教えてくれるっていう約束はいつの日にする?」
「確かにその約束はしてた気がする...僕はいつでも大丈夫だよ。」
「じゃあ、明日とか!休みだし!」
「わかった。はっしーの家でいいの?」
「大丈夫!明日楽しみにしてるわ!じゃあな~」

 はっしーは約束が決まると足早に帰っていった。

 明日か~でも、はっしーも頭いいのに、僕が教えることってあるんだろうか...?

 少し疑問は残るけど、はっしーと勉強できるのは嬉しいなと思い、帰り道何度も頬が緩みそうになってしまった。

 翌日。

 ピンポーン

 もうこのインターホンを押すのにも緊張しなくなったな~
 数か月前はすごく緊張してたのに笑

 はっしーの家に来るのももう両手で数えきれないくらいになってきて、最初に来たときが懐かしいなと思った。
 そう思っている間にインターホンから声が聞こえてきた。

「はい。」

 はっしーの声じゃない...?はっしーの家族の人かな?
 何気に会うのは初めてな気がするな...ちょっと緊張してきた...

「あ、猫宮です。橋本くんはいらっしゃいますか?」
「あら、あなたがねこくんね!ちょっと待っててね!」
「は、はい。」

 しばらくして、玄関の扉が開く音がした。そちらを向くと女の人が立っていた。

「ねこくん、いっらっしゃい。どうぞ、上がってゆっくりしていってね。」

 その人は綺麗な微笑を浮かべていて、少し見とれてしまった。

「あ、あの...「ちょっと、母さん!勝手に出るなよ!!」」

 その人が誰なのか聞こうとしたとき、聞き覚えのある声に遮られた。
 その声の方に視線を向けるとやっぱりはっしーがいた。

 ...あれ?さっきはっしー“母さん”って言った...?

「何よ~それくらい、いいじゃない!それにお母さんに対してその言い方は何なの!?」
「あ~はいはい、俺が悪かったよ...それより、とりあえず玄関で話すのはやめね?」
「確かにそうね!さぁさぁ、ねこくん上がって上がって!」

 はっしーのお母さん?の勢いに僕は戸惑いながらも返事をして、お邪魔することにした。

「騒がしい母親でごめんな~ねこ、先に俺の部屋行ってていいよ!」
「え、でも、さすがにそれは...」
「いいって、いいって!すぐ行くから!ほら行った行った!」
「う、うん...わかった。」

 はっしーに押し切られる形で部屋に来ちゃったけど、本当によかったんだろうか...
 いや、あとでちゃんと挨拶しておこう!とりあえず、今は勉強の用意でもしておくか~

 カバンから勉強用具を取り出して机に載せている間に、はっしーは疲れた様子で部屋に入ってきた。

「あ、はっしー!...なんか疲れてる?」
「ん?いや~まぁ、大丈夫かな?」

 はっしーはそう言いながら苦笑して、目をそらしていた。

 その微妙な表情は本当に大丈夫なのかな...?

「何かあったなら言ってね?」
「了解!さて、ちょっと時間食ったけどテスト勉強しようぜ!」
「そうだね!」

 それから、しばらくの間それぞれ教科書と睨めっこしながら勉強し、偶に分からないところがあったら教え合うということを繰り返していた。
しかし...

 なんか、僕がはっしーに聞いてることの方が多い気がするんだけど...
 というか、単純にはっしーがあんまり聞いてこないんだよね...

「ねぇ、はっしー」
「ん~?どうした?」
「いや、どこか分からないところとか大丈夫かな?と思って。」
「あ~今のところは大丈夫かな!ありがとう~」

 やっぱりないんだ...え、これ僕と勉強する必要あったのかな?

「あのさ、実は僕がいなくても問題無かったりしない?」

 唐突に僕がそう言うとはっしーはキョトンとした顔をした後、徐々に口元がにやけていき、最後には横を向いてフッと笑った。

 え!?笑われた!ちょっと馬鹿にされたような気がする...!

「はっしー、僕のこと馬鹿にしてない?」
「へ!?いやいやいや、ソンナコトナイヨ。」
「うわ、もうそれ完全にウソだよね。」

 思わず深くため息をこぼしてしまったのは不可抗力だと思いたい...

「ウソじゃないって~そんなに怒らないでよ~」
「...もういいけどさ。というか、はっしーいつも授業中とか寝てるのに何でそんなに問題解けてるの?」
「それはもう、ここの出来がいいからだよ!」

 と、はっしーは自分の頭を指差しながらドヤ顔で言ってきた。

 その顔と表情に少しイラっとしてしまったのも不可抗力だと思いたい...

「そっか...でも授業はちゃんと聞いた方がいいと思うよ。」
「まぁな~しっかし退屈なんだよ!同じようなこと繰り返してるときとかあるし!」

 それは一理あると思いながらも、苦笑するしかなかった。

「それにしても、それだけできるなら別に僕と勉強しなくてもよかったんじゃないの?」
「あ~俺はただ単にねこと...いや、やっぱり何でもないわ!」

 僕となんだろう?その続きが気になるんだけど...

「あ!ちょっと提案なんだけど、お互いある程度復習も終わったことだし、ゲームしない?」

 はっしーはいきなり大きな声で提案してきたけど、ゲームって...

「あの、勉強するために来たんだよ?それなのにゲームするの?」

 僕がそう言うと、はっしーは慌てた様子で否定してきた。

「たぶん、ねこが思ってるゲームじゃないから!」
「え?...じゃあ何?」
「お互いに過去問を解いてって、間違えた方が罰ゲームで一つ質問に答えるっていうのはどう?」

 それはちょっと面白そうかも!息抜きにもなるし、勉強もできるし一石二鳥だ!

「面白そうだね!やってみようかな!」
「お!OK!じゃあ早速この問題を解いていこうぜ!」
「わかった!」

 絶対に間違えないように頑張ろうと意気込んで、目の前の問題に取り組み始めた。

 僕は難しい問題も何個かあったが、なんとか間違えずに解けていた。
 しかし、問題を解き始めて十数問目くらいで隣から叫び声が聞こえてきた。

「うわ!!やっちまった~」
「え!?何!?びっくりした...」
「あ~ごめん。答え間違えてたからつい...くそ~先に間違えてたまるかと思ってたのにな~」

 突然、大きな声が聞こえてきたからびっくりしたけど、どうやらはっしーが先に間違えたらしい。
 ということは...罰ゲームだ!

「じゃあ、はっしー罰ゲームだね!」
「はぁ~仕方ねーな!何でも聞いてくれていいよ。さぁどんと来い!」

 と言われても、よく考えてなかったな~
 いざとなると何も浮かんでこないんだけど...

 しばらく考えて、ふと脳裏に過ぎったことを聞いてみることにした。

「あ、じゃあはっしーは今好きな人とかいるの?」
「考えた末に思いついたことがそれ!?他になかったんだ笑」

 図星だが、僕は少しムッとした。
 あんまり時間をかけてもダメかなと思って、それに僕なりに無難に答えやすそうな質問をって考えてたのにそんなこと言うなんてひどい...!

「もう、そんな拗ねるなって~」
「拗ねてない...で、どうなの?早く答えて!」

 でも、不意の思いつきでも興味がないことはないし...
 まぁ、はっしーに好きな人がいるような感じには見えないんだけど、どうなんだろう?

「いるよ。好きな人。」
「え...?」

 てっきり“いない”と答えるものだと思っていたから、予想外すぎて図らずも固まってしまった。
 僕の聞き間違えとかじゃないよね?え、好きな人いるの...?

 はっしーの好きな人を考えていたら、むくむくと好奇心が芽生えてきて、はっしーに問い詰めるように迫っていた。

「はっしーに好きな人いたの!?僕が知ってる人?」

 そう聞くと、はっしーはニヤニヤしながら、

「...そんなに気になる?」

 と言ってきた。その顔に少しイラっとしたが、僕は素直に頷いた。
 すると、

「教えてあげな~い。」
「え!?」
「だって、もう質問は答えたし~」

 はっしーは清々しい笑顔でそう言い放った。
 僕はようやくそこで、はっしーに弄られていたんだと理解した。

 胸中では、はっしーに対するイラつきが渦巻いていたが、これ以上遊ばれてたまるか!と思い、深いため息をつくとともに心を静めた。
 ただ、次にはっしーが間違えたら、好きな人が誰かを聞いてやる!と決意した。

「そうだね...じゃあ、問題の続きしようか。」
「そうだな!もう間違えないぞ~」

 また、二人で黙々と問題を解き始めた。
 しかし、ある問題で僕はつまずいてしまった。

 やばい、この問題全然わからない...
 もう少しで思い出せそうなのに、一向に思い出せない...
 はあ、諦めるか~

「はっしー、僕この問題わからない。」
「え?あ~これ難しいからな~こうすれば解けるんじゃない?」
「あ、ほんとだ!ありがとう!」
「いえいえ。ということで、ねこ罰ゲームだな!」

 なんかはっしー忘れてるような感じだったけど、ちゃんと覚えてたんだね...
 大人しく罰ゲーム受けるか...

「いいよ。何答えればいいの?」
「じゃあ、俺の好きなところ教えて?」
「...は?」

 またもや、予想外なことをはっしーが言ってくるから頭が真っ白になった。

 はっしーの好きなところ...?ま、まぁほんとに答えにくい質問とかじゃないだけマシだよね...
 でも、何だろうな~好きなところか~

「う~ん、明るいところとか?」
「え~それだけかよ~」
「え、えっと...あとは皆を楽しませようとさせてくれるところとか、何気に頼れるところとかかな。」

 うわ~言ってて、すごい恥ずかしくなってきたんだけど!

「へぇ~そんなに俺のこと好きなんだ~」

 僕が恥ずかしがっているのを見てなのか、はっしーはさらに顔をニヤけさせながらそう呟いた。
 その言葉にさらに羞恥がこみ上がってきて、僕は自分の顔を手のひらで覆い隠した。

 あ~もう、なんで言っちゃったんだろう!

「あ!手で隠すなよ~」

 隠すに決まってるでしょ!どうせ、すごい顔赤くなってるだろうし...

 あまりの恥ずかしさに少し泣きそうになっていると、はっしーはあろうことか僕の手を外そうとしてきた。

「ほら、顔見せてよ~」

 僕は力を振り絞って抵抗したが、はっしーには敵わなくて手を外されてしまった。
 視界が開けるとそこには、はっしーの顔が思ったよりも近くにあってパニックになってしまった。

 え、近い!なんで!?って、そりゃ手を外そうとしたら近くもなるか...
 いや、でも、ちょっとこれは近いよ!?うわああぁぁ

 同じことを繰り返していることにも気づかないほど、僕の頭はパニックになっていた。
 とりあえず、視界をシャットダウンさせれば落ち着くかも...?という謎の結論に行きつき、僕は慌てて目を閉じた。

 あ、でもちょっと落ち着いたかも?
 というか、はっしーはいつまで僕の手を握っているんだろう?離してくれないかな...

 目を閉じたことで、だいぶ冷静になったため僕はそろ~っと目を開けることにした。

 また、パニックになったら意味ないからね~

 すると、相変わらずはっしーの顔は近かったが、その表情は何かを耐えているようであって、普段見ない様子に僕は思わず見つめてしまった。

 しかし、はっしーはすぐに普段のような笑みを浮かべたと思ったら、僕のおでこにデコピンをしてきた。

「いたっ!も~何でデコピンするの~!」
「あはは、気分...?さぁ、勉強続けようぜ!」
「気分って...はぁ~まぁ、そうだね。」

 それからは二人とも間違えることなく、勉強会は終わりを迎えた。
 帰り際、待ち伏せしていたかのようにはっしーのお母さんが現れたが、はっしーがすぐに追い返してしまったので、軽い挨拶だけして家に帰った。

 ふふ、はっしーのお母さんははっしーに似て明るい人だったな~
 ...あれ、そういえば何か忘れてるような。
 あ!結局、はっしーの好きな人が誰か聞けてなかった!

 気づいたときには、時すでに遅し。
 きっと、もう答えてくれないんだろうな~とねこくんはがっかりしたのだった。
 しかし、その答えを聞いたとき、ねこくんの顔はまたリンゴのように赤くなるのかもしれない...なんてね。
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