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番外編
梅雨の日 side はっしー
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はっしーside
今日は午後から大雨になるという天気予報で、授業終わりに窓の外を見ると、確かに大雨になっていた。
俺は帰る準備をして忘れずに傘を持って、大学の出入り口へと向かった。
雨って暗いし、濡れるし、あんまりいい気分じゃないんだよな...
遠くに見える出入り口から、雨が降っている様子を見て少し気分が落ちていく中、ふと視界の中に出入り口付近に立っているねこの姿があった。
あ、ねこだ!でも、なんであんなところに立ってるんだ?
そんなねこの様子を不思議に思いながら、声をかけた。
「お~い、ねこ!どうしたんだよ、こんなところでずっと立って。帰らねーの?」
そう声をかけると、ねこは困ったような顔をして話し始めた。
「う~ん、帰りたいんだけど家に傘を忘れちゃって、どうしようかな~と思ってて。」
それを聞いて、俺は少しラッキーと思ってしまった。
ねこと相合い傘できるじゃん!こんなチャンス逃す訳にはいかない!
「じゃあ俺の傘に入ってく?」
少しの下心を織り混ぜつつ、まぁ、ねこが困ってるから仕方ないよな!と言い訳して、平静を装った。
ねこは目を輝かせながら「いいの!?」と、食い気味に答えてきた。
こんなテンションのねこ、滅多に見ないな笑
いつもねこは冷静だから、こんなテンションのねこが珍しくて、俺は驚きながらも笑ってしまった。
「いいよ。あ!でも家の方向違うから、駅までしか入れられないじゃん...」
「大丈夫!駅まで入れてくれれば家にお母さんがいるから、電話して迎えに来てもらえる!」
「それなら、よかったわ笑」
ねこは濡れずに済んだことに、嬉しくなったのか、ずっとニコニコと笑顔を浮かべていた。
俺はこの貴重なチャンスを掴めたことに嬉しくなり、いつもは神様をあまり信じない俺だが、この時は心の中でめっちゃ感謝した。
さて、こんな出入り口で立ってても邪魔になるかもしれないし帰るかと思ったとき、横から視線を感じた。
俺はその視線の方を向くと、ねこがじーっと俺を見ていて、あんまり見てくるものだから、少し恥ずかしくなった。
「そんなに俺のこと見ても、何もでねーよ?」
「いや、はっしーが本当に救世主に見えて...」
照れ隠しで言った言葉に、ねこは真面目な顔をして予想外なことを言ってきた。
俺はその言葉が可笑しくて「なんだそれ笑」と返した。
本当に今日は予想外なことばっかりだな笑
俺が笑っていると、ねこは真面目に言ってるのにな~みたいなことを思っているのか顔にすごく出ていて、俺は可愛いなと心の中で呟いた。
それから、俺はねこを傘に入れて駅までの道のりを歩き始めた。
「それにしても、ねこが傘忘れるなんて珍しいな~」
「ちゃんと天気予報まで見てたのに忘れたんだよね...」
「そういう、おっちょこちょいなところたまにあるよな~」
天気予報まで見てたのに忘れるって、たまに抜けてるところあるよな~
まぁ、そのおかげで今、ねこと相合い傘できてるから俺的にはグッジョブなんだけど!
「も~僕だって好きでおっちょこちょいなわけじゃないんだよ!」
しかし、ねこはそのことを気にしていたのか少し拗ねてしまった。
このまま拗ねたままだと、せっかくのチャンスが無駄になってしまう!と思った俺は、すぐに「ごめん、ごめん笑」と謝った。
すると、ねこは俺から少し目線を外して「仕方ないな~今回は許してあげる!」と言った。
一回拗ねてしまった手前、きっと素直になれないんだよな~
その明らかな照れ隠しにまた可愛いなと思った。
さらに、ねこが不安そうな瞳でチラッと俺を見てきていて、上から目線な言葉を自分で使ったのに、不安になって可愛いな~と思った。
だけど俺は、どうせならねこも楽しくいてほしいから、気にしていないような素振りで、最近はまっているマンガのことやアニメのことを話し始めた。
ねこは俺の様子に安心したのか、いつもの笑顔を浮かべて楽しそうに話を聞いていた。
ねこが全然知らないような話でも楽しそうに聞いてくれるから、思わず夢中になって話していた。
駅までの道のりもあと半分くらいというところで、いつもの横断歩道に差し掛かった。
そこでふと、横断歩道を渡ったらねこが車道側になってしまうなということに気づいた。
もしかしたら水が跳ねるかもしれないから、場所交代するか~
俺はそう思い、横断歩道を渡った後、「ちょっと場所交代してもいい?」とねこに話した。
「いいけど、どうかしたの?」
ねこは不思議そうな顔をして尋ねてきたが、なんて答えようか迷った。
突然こんなこと言われたら気になるよな...
やべ~言い訳とか考えてないわ...
「いや...ちょっと傘持つ手を変えたいなと思っただけ笑」
我ながらかなり苦しい言い訳だなと心の中で苦笑した。
それに対して、ねこは納得したのか自分が持つと言い始めた。
「別にいいって笑」
こんな言い訳でも信じるとか、ねこは純粋だな~
「でも...」
「ほら、俺の方が背が高いし!ねこがもつとめっちゃ手上げないといけなくなるだろ?だからいいんだよ!」
「そう...?」
「そうだよ!てことで、はい場所交代!」
「はっしーありがとう。」
ねこは少しのことでも気を遣ってしまう性格だから、会話を畳みかけて無理やり丸め込んだ。
無理やりすぎた気もするけど、まぁ、ねこなら気にしないでしょ!
その後は、またアニメについて話したり、勉強について話したりして駅へと着いた。
ちなみに勉強の話の時、ねこは頭がいいからテストが近くなったら一緒に勉強して、そして教えてくれ!とちゃっかり約束した。
「はっしーここまでありがとう。すごく助かったよ!」
あっという間に時間は過ぎていき、もう駅についてしまった。
駅に無事に着いて、ねこは心底嬉しそうな顔を浮かべていた。
「はは、まぁそんなに喜んでくれたならよかったわ笑また、傘忘れたら言えよ~」
「そうだね笑」
「まぁ、そうなったら今日みたいに相合い傘になるけどな~なんて。」
「...え?」
あ、やべ...この反応、俺の心の声が出ちゃってたか...?
ねこがまた傘忘れたら、相合い傘できるよな~って心の中で思って呟いたつもりだったんだけど...
............まぁ、ねこなら気にしないでしょ!(↑2回目)
よし、さっさと帰ろう!
「じゃあ、気をつけて帰れよ~」
「う、うん...はっしーもね!」
ねこは俺の言ったことが脳内で処理しきれなかったのか、すごく戸惑ったような顔を浮かべていたが、一度整理できてしまったら大変そうだから俺はすぐにその場を離れることにした。
ねこと別れた後の電車の中、さっきの帰り道をまた思い出しながら、雨も悪くないなと思った。
最初はあんなに憂鬱だったのに、ねこと相合い傘はできたし、あと勉強の約束もできたし、いいことばっかりだったな~
また、傘忘れてきてくれるといいけど、ねことか絶対もう忘れない!とか思ってそう笑
それにしても、ねこはいつ気づくのかな~
今日の俺の言動とか違和感満載だったから、すぐに友達にするような態度ではないってわかっちゃう気がするけど笑
明日も授業あるし、明日会った時のねこの反応が楽しみだな~
翌日、はっしーに会ったねこくんの顔はすぐにお日様のように赤くなり動揺が隠せない様子で、それがはっしーの想像した通りの反応だったため、思わず爆笑してしまったということをはっしーはまだ知らない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
やっぱり、雨と言ったら相合い傘だよな~
ド定番!だが、良い!
というか、萌え不足の今の俺にはこんな定番なものしか妄想できない...
それにしてもはっしー...はっしーのくせにめちゃ紳士だな!?
どうせ、ねこくんにだけなんだろうけどな!
ありがとうございます!とても美味しいです!!
...ちょっと情緒不安定かもしれない。一気に我に返ったわ笑
まぁ、こんなこと現実では一切起こってないんだけど...
しかし、このネタを提供してくれた弟には感謝しないとな!
「弟よ!」
「なに?というか今、妄想から戻って来たんだ...」
「なんで、ちょっと迷惑そうな顔をするのかね...?」
「兄ちゃんが妄想でどっか行ってる間に、自分の部屋に行こうかなと思ってたから。」
「おい、少しは待ってくれよ!寂しいじゃないか!ってそんなことは置いといて、弟にかんsy」
ピシャーン
言葉の途中で、窓の外から眩い光と、耳を劈くような音が聞こえてきた。
一瞬驚いたが、雷が近くで落ちたのかと思うくらいで、すぐに興味はなくなり、弟に話の続きをしようと思って弟を見た。
すると、さっきの雷がよっぽど衝撃的だったのか、いまだに硬直していた。
その指先は少し震えているように見えて、俺は生意気な弟でも雷が怖いって感じるんだなと、ちょっと心の中で笑った。
「あれ~?弟よ、もしや雷が怖いのかね?」
俺は顔をニヤニヤさせて、弟にそう話しかけると、
「べっ別に怖くねーよ!」
「ほんとに~?ちょっと震えてないかね?」
「はぁ...?もういいわ。その兄ちゃんの顔見てたらムカつきで、雷とかどうでもよくなったわ。俺、部屋行くから、じゃあな。」
「え...?え、待ってくれ、弟よ!え、ほんとに部屋行っちゃうの...?ウソでしょ!?うわああん!ごめん、ごめんって!謝るから待ってぇぇぇぇぇぇ!!」
感謝を伝えるはずだったが、弟をイジルことを優先してしまったがために、弟はこの場を去ってしまった。
怒りで雷が怖くなくなったならいいんだけどね...
でも...兄ちゃんがこんなに叫んでるのに行かなくてもいいじゃん!!
シクシクと泣く声は外の雨音で消えていき、部屋に行ってしまった弟の耳には届かなかった。
リビングの床は誰かさんが降らせた雨で大洪水とは言わないが、小さな水たまりくらいは出来ていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
皆様、お久しぶりです!
今回も読んでくださりありがとうございます。
6月はあまりイベントがなくて、何にしようかな~と思った結果、梅雨を題材にすることにしました!
なので、雨が降る日にお話を上げたいなと思っていたら、こんな6月も半ばに差し掛かろうという日になってしまいました…
まだかなと待たせてしまった方には申し訳ありません。しかし、このお話で雨の降る少し暗い日も、明るくなってくれていたらいいなと思います!
ということで、ここまで読んでくださった皆様に改めて感謝を。また、会える日を楽しみにしております。
今日は午後から大雨になるという天気予報で、授業終わりに窓の外を見ると、確かに大雨になっていた。
俺は帰る準備をして忘れずに傘を持って、大学の出入り口へと向かった。
雨って暗いし、濡れるし、あんまりいい気分じゃないんだよな...
遠くに見える出入り口から、雨が降っている様子を見て少し気分が落ちていく中、ふと視界の中に出入り口付近に立っているねこの姿があった。
あ、ねこだ!でも、なんであんなところに立ってるんだ?
そんなねこの様子を不思議に思いながら、声をかけた。
「お~い、ねこ!どうしたんだよ、こんなところでずっと立って。帰らねーの?」
そう声をかけると、ねこは困ったような顔をして話し始めた。
「う~ん、帰りたいんだけど家に傘を忘れちゃって、どうしようかな~と思ってて。」
それを聞いて、俺は少しラッキーと思ってしまった。
ねこと相合い傘できるじゃん!こんなチャンス逃す訳にはいかない!
「じゃあ俺の傘に入ってく?」
少しの下心を織り混ぜつつ、まぁ、ねこが困ってるから仕方ないよな!と言い訳して、平静を装った。
ねこは目を輝かせながら「いいの!?」と、食い気味に答えてきた。
こんなテンションのねこ、滅多に見ないな笑
いつもねこは冷静だから、こんなテンションのねこが珍しくて、俺は驚きながらも笑ってしまった。
「いいよ。あ!でも家の方向違うから、駅までしか入れられないじゃん...」
「大丈夫!駅まで入れてくれれば家にお母さんがいるから、電話して迎えに来てもらえる!」
「それなら、よかったわ笑」
ねこは濡れずに済んだことに、嬉しくなったのか、ずっとニコニコと笑顔を浮かべていた。
俺はこの貴重なチャンスを掴めたことに嬉しくなり、いつもは神様をあまり信じない俺だが、この時は心の中でめっちゃ感謝した。
さて、こんな出入り口で立ってても邪魔になるかもしれないし帰るかと思ったとき、横から視線を感じた。
俺はその視線の方を向くと、ねこがじーっと俺を見ていて、あんまり見てくるものだから、少し恥ずかしくなった。
「そんなに俺のこと見ても、何もでねーよ?」
「いや、はっしーが本当に救世主に見えて...」
照れ隠しで言った言葉に、ねこは真面目な顔をして予想外なことを言ってきた。
俺はその言葉が可笑しくて「なんだそれ笑」と返した。
本当に今日は予想外なことばっかりだな笑
俺が笑っていると、ねこは真面目に言ってるのにな~みたいなことを思っているのか顔にすごく出ていて、俺は可愛いなと心の中で呟いた。
それから、俺はねこを傘に入れて駅までの道のりを歩き始めた。
「それにしても、ねこが傘忘れるなんて珍しいな~」
「ちゃんと天気予報まで見てたのに忘れたんだよね...」
「そういう、おっちょこちょいなところたまにあるよな~」
天気予報まで見てたのに忘れるって、たまに抜けてるところあるよな~
まぁ、そのおかげで今、ねこと相合い傘できてるから俺的にはグッジョブなんだけど!
「も~僕だって好きでおっちょこちょいなわけじゃないんだよ!」
しかし、ねこはそのことを気にしていたのか少し拗ねてしまった。
このまま拗ねたままだと、せっかくのチャンスが無駄になってしまう!と思った俺は、すぐに「ごめん、ごめん笑」と謝った。
すると、ねこは俺から少し目線を外して「仕方ないな~今回は許してあげる!」と言った。
一回拗ねてしまった手前、きっと素直になれないんだよな~
その明らかな照れ隠しにまた可愛いなと思った。
さらに、ねこが不安そうな瞳でチラッと俺を見てきていて、上から目線な言葉を自分で使ったのに、不安になって可愛いな~と思った。
だけど俺は、どうせならねこも楽しくいてほしいから、気にしていないような素振りで、最近はまっているマンガのことやアニメのことを話し始めた。
ねこは俺の様子に安心したのか、いつもの笑顔を浮かべて楽しそうに話を聞いていた。
ねこが全然知らないような話でも楽しそうに聞いてくれるから、思わず夢中になって話していた。
駅までの道のりもあと半分くらいというところで、いつもの横断歩道に差し掛かった。
そこでふと、横断歩道を渡ったらねこが車道側になってしまうなということに気づいた。
もしかしたら水が跳ねるかもしれないから、場所交代するか~
俺はそう思い、横断歩道を渡った後、「ちょっと場所交代してもいい?」とねこに話した。
「いいけど、どうかしたの?」
ねこは不思議そうな顔をして尋ねてきたが、なんて答えようか迷った。
突然こんなこと言われたら気になるよな...
やべ~言い訳とか考えてないわ...
「いや...ちょっと傘持つ手を変えたいなと思っただけ笑」
我ながらかなり苦しい言い訳だなと心の中で苦笑した。
それに対して、ねこは納得したのか自分が持つと言い始めた。
「別にいいって笑」
こんな言い訳でも信じるとか、ねこは純粋だな~
「でも...」
「ほら、俺の方が背が高いし!ねこがもつとめっちゃ手上げないといけなくなるだろ?だからいいんだよ!」
「そう...?」
「そうだよ!てことで、はい場所交代!」
「はっしーありがとう。」
ねこは少しのことでも気を遣ってしまう性格だから、会話を畳みかけて無理やり丸め込んだ。
無理やりすぎた気もするけど、まぁ、ねこなら気にしないでしょ!
その後は、またアニメについて話したり、勉強について話したりして駅へと着いた。
ちなみに勉強の話の時、ねこは頭がいいからテストが近くなったら一緒に勉強して、そして教えてくれ!とちゃっかり約束した。
「はっしーここまでありがとう。すごく助かったよ!」
あっという間に時間は過ぎていき、もう駅についてしまった。
駅に無事に着いて、ねこは心底嬉しそうな顔を浮かべていた。
「はは、まぁそんなに喜んでくれたならよかったわ笑また、傘忘れたら言えよ~」
「そうだね笑」
「まぁ、そうなったら今日みたいに相合い傘になるけどな~なんて。」
「...え?」
あ、やべ...この反応、俺の心の声が出ちゃってたか...?
ねこがまた傘忘れたら、相合い傘できるよな~って心の中で思って呟いたつもりだったんだけど...
............まぁ、ねこなら気にしないでしょ!(↑2回目)
よし、さっさと帰ろう!
「じゃあ、気をつけて帰れよ~」
「う、うん...はっしーもね!」
ねこは俺の言ったことが脳内で処理しきれなかったのか、すごく戸惑ったような顔を浮かべていたが、一度整理できてしまったら大変そうだから俺はすぐにその場を離れることにした。
ねこと別れた後の電車の中、さっきの帰り道をまた思い出しながら、雨も悪くないなと思った。
最初はあんなに憂鬱だったのに、ねこと相合い傘はできたし、あと勉強の約束もできたし、いいことばっかりだったな~
また、傘忘れてきてくれるといいけど、ねことか絶対もう忘れない!とか思ってそう笑
それにしても、ねこはいつ気づくのかな~
今日の俺の言動とか違和感満載だったから、すぐに友達にするような態度ではないってわかっちゃう気がするけど笑
明日も授業あるし、明日会った時のねこの反応が楽しみだな~
翌日、はっしーに会ったねこくんの顔はすぐにお日様のように赤くなり動揺が隠せない様子で、それがはっしーの想像した通りの反応だったため、思わず爆笑してしまったということをはっしーはまだ知らない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
やっぱり、雨と言ったら相合い傘だよな~
ド定番!だが、良い!
というか、萌え不足の今の俺にはこんな定番なものしか妄想できない...
それにしてもはっしー...はっしーのくせにめちゃ紳士だな!?
どうせ、ねこくんにだけなんだろうけどな!
ありがとうございます!とても美味しいです!!
...ちょっと情緒不安定かもしれない。一気に我に返ったわ笑
まぁ、こんなこと現実では一切起こってないんだけど...
しかし、このネタを提供してくれた弟には感謝しないとな!
「弟よ!」
「なに?というか今、妄想から戻って来たんだ...」
「なんで、ちょっと迷惑そうな顔をするのかね...?」
「兄ちゃんが妄想でどっか行ってる間に、自分の部屋に行こうかなと思ってたから。」
「おい、少しは待ってくれよ!寂しいじゃないか!ってそんなことは置いといて、弟にかんsy」
ピシャーン
言葉の途中で、窓の外から眩い光と、耳を劈くような音が聞こえてきた。
一瞬驚いたが、雷が近くで落ちたのかと思うくらいで、すぐに興味はなくなり、弟に話の続きをしようと思って弟を見た。
すると、さっきの雷がよっぽど衝撃的だったのか、いまだに硬直していた。
その指先は少し震えているように見えて、俺は生意気な弟でも雷が怖いって感じるんだなと、ちょっと心の中で笑った。
「あれ~?弟よ、もしや雷が怖いのかね?」
俺は顔をニヤニヤさせて、弟にそう話しかけると、
「べっ別に怖くねーよ!」
「ほんとに~?ちょっと震えてないかね?」
「はぁ...?もういいわ。その兄ちゃんの顔見てたらムカつきで、雷とかどうでもよくなったわ。俺、部屋行くから、じゃあな。」
「え...?え、待ってくれ、弟よ!え、ほんとに部屋行っちゃうの...?ウソでしょ!?うわああん!ごめん、ごめんって!謝るから待ってぇぇぇぇぇぇ!!」
感謝を伝えるはずだったが、弟をイジルことを優先してしまったがために、弟はこの場を去ってしまった。
怒りで雷が怖くなくなったならいいんだけどね...
でも...兄ちゃんがこんなに叫んでるのに行かなくてもいいじゃん!!
シクシクと泣く声は外の雨音で消えていき、部屋に行ってしまった弟の耳には届かなかった。
リビングの床は誰かさんが降らせた雨で大洪水とは言わないが、小さな水たまりくらいは出来ていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
皆様、お久しぶりです!
今回も読んでくださりありがとうございます。
6月はあまりイベントがなくて、何にしようかな~と思った結果、梅雨を題材にすることにしました!
なので、雨が降る日にお話を上げたいなと思っていたら、こんな6月も半ばに差し掛かろうという日になってしまいました…
まだかなと待たせてしまった方には申し訳ありません。しかし、このお話で雨の降る少し暗い日も、明るくなってくれていたらいいなと思います!
ということで、ここまで読んでくださった皆様に改めて感謝を。また、会える日を楽しみにしております。
応援ありがとうございます!
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