ある腐男子の妄想

佐野 臣

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番外編

こどもの日...? side ねこくん

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5月5日

この話はバイトの帰りにふとお菓子が食べたくなって、近くのスーパーに寄ったときのことだった。

何か動いた後って甘いものが食べたくなるんだよな~
と言っても、甘いものって漠然と思っているだけで、これっていうのは決まってないんだけども笑
まぁ、ぶらぶらと見て回りますか~

何の計画性もないまま歩いていると、あるものが目に留まった。
俺はそこに一直線に向かい、それを手に取った。

その正体とは...

60cmくらいのやたらと長いロールケーキだった。
なぜ長いのかというと、まぁ今日が5月5日の子どもの日ってことで、パッケージの鯉のぼりからもわかる通り、鯉のぼりを模して長くなったのだろう。

でも、正直言って長くね...?
一回開けたらもう、一気に食わないと乾燥するよな?
これ、一人で食えるか?
う~ん、これは悩みどころだな~
でも、もうロールケーキの口になっちゃってるんだよね~
よし!思い切って買っちゃおう!
プチ贅沢ってことで!

そんなこんなで長いロールケーキを手にして俺は家へと向かった。

俺は今日バイトだったけど、世は祝日。
皆は何してすごしているんだろうな~?

...俺だけバイトとかだったらちょっと悲しくなってくるわ...

はっ!こんな悲観的になってはいけない!
こういうときこそ、俺の特技、妄想!を生かすべきではなかろうか!
なぁ!皆の諸君もそう思うだろう!?
ってことで、はっしーとねこくんは何をしているんだろうな~?(←一緒にいることは確定という謎ww)

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ねこくんside

今日は、はっしーの家で遊ぶ約束をしているため、僕ははっしーの家にお邪魔しに来た。

はぁ~人の家のインターホンって押すのちょっと緊張するな~
というか何気にはっしーの家で遊ぶことも初めてだから緊張してるのかな...?

少し緊張と、不安を抱えつつ、インターホンを押した。

ピンポーン

僕の心情とは反対に鳴る、インターホンの軽快な音に少しホッとした。
そしてすぐに機械越しにはっしーの「はい」という声が聞こえてきた。

「あ、はっしー?猫宮です。遊びに来たよ。」
「ねこ!ちょっと待ってて、すぐにドア開けに行くわ!」
「うん、わかった。」

家の中から微かに聞こえるドタドタという足音に、はっしー、相当急いでるんだな~と少し笑ってしまった。
そんなに急がなくてもいいのにと思いつつ、はっしーのおかげで最初の緊張感はすっかり無くなっていた。
そして、宣言通り目の前のドアはすぐに開いた。

「ねこ!遅くなった!いらっしゃい、上がって上がって!」
「大丈夫、全然遅くないよ笑 お邪魔します。」

はっしーは相変わらず元気だな~と思いながら、家にお邪魔し、はっしーの誘導ではっしーの部屋?らしきところに来た。

「ねこ、好きなところに座ってていいから!ちょっと飲み物取ってくるわ!」
「わかった!ありがとう。」

はっしーは颯爽と部屋を後にし、残った僕はさてどこに座ろうかなと思いつつ部屋を見渡していた。

はっしーって明るいしアニメの話とかもよく聞くからマンガとかアニメ関係のものとか多いのかなと思ってたけど、意外と落ち着いた雰囲気の部屋なんだな~
本棚の中とか、教科書と参考書がほとんどだし...
まぁ、おちゃらけた雰囲気ではあるけど頭はいいからな~
授業中、ほとんど寝てるけど笑
でも、ちゃんと努力してるんだな...

はっしーの新しい一面を知れて嬉しくなり、僕は自然と笑顔になっていた。

さて、ミニテーブルがあるしベッドとミニテーブルの間にでも座っていればいいかな?

僕はようやく腰を落ち着けた。そして、ミニテーブルの近くにクッションがあることに気づき、手に取った。

うわ!何このクッション!すごく触り心地いいし、ふかふか~

思わず、気分が上がってクッションを抱きしめていた。

それに、なんかはっしーの匂いがしてきて落ち着く...って何やってるんだろう!?
あ~恥ずかしい...それもこれもこのクッションが悪いんだ!

僕はクッションに言いがかりをつけて八つ当たりしつつ、ポコポコ叩いているとドアの方から微かに笑い声が聞こえてきた。
僕は嫌な予感がしつつ、その音の方に顔を向けるとはっしーが笑いを耐えるように顔を俯かせていた。

僕は今までの行動を見られていたのかと思うと余計に顔が赤くなっていき、思わずはっしーに叫んでいた。

「ちょっと、はっしー!来たならすぐに声かけてよ!」
「ごめんごめん笑」

はっしーは全然悪そうな顔をせず、ずっと笑っていた。

「そんなに笑わないでよ!」
「いや~ねこがあんまりにも可愛いことしてたからさ~」
「~~~~もう!はっしーひどい!」

はっしーはさらっと僕のことを可愛いと言うから、余計に恥ずかしくなって、僕は耐えきれずそっぽを向くことにした。

「ねこ~ごめんって!ほら!もうすぐ3時だし、一緒におやつ食べよ?」

聞こえてくるはっしーの声が少ししょげたような声だったから、僕は仕方ないな~と思ってはっしーの方を向いた。

「お!一緒に食べてくれる?」
「まぁ、おやつに罪はないからね!」
「素直じゃないな~そこがねこらしいけど!」

と素直になれない僕でもはっしーは受け入れてくれるから、実はそんなところに僕は救われているんだよって心の中で感謝している。
口には出さないけど笑
口に出すと、はっしー調子に乗りそうだし。

そんなこんなでおやつはなんだろう?と思っていると、はっしーがいきなりクイズを出してきた。

「ねこ!今日は何の日でしょうか!」

今日?う~ん、全然わからないんだけど...
今日って5月5日だよね?ん?5月5日?
あ!わかった!

「わかったよ!今日は子どもの日でしょ!」
「せいかーい!ということでおやつはこれです!じゃーん!」

そう言いながら、はっしーが出してきたのは鯉のぼりを模した長いロールケーキだった。

へ~こんなに長いのってあるんだ~
あんまりこういう行事ものとか見ないから、初めて見たな~

「すごい長いね!僕、初めて見たよ!」
「だよな!この時期になると出始めるんだけどさ、一人だと食べきれないから今まで買ってなかったんだよ~でも今日はねこもいるからと思って買ってみた!」

はっしーが無邪気な笑顔を浮かべて言う様子に、まさしくこどもだな~と思いつつ、つられて僕も笑ってしまった。

「じゃあ、早速切って食べようぜ!」

そう言って、はっしーは黙々とロールケーキを切っていった。
結局、10切れ以上あることに二人して驚きつつ、余っても家族が食べるっしょ!と語るはっしーに笑いながらそっか!と返した。

「じゃあ、いただきます!」
「俺も食べよ!」

ロールケーキ美味しいな!久々に食べたけど、ちょうどいい甘さだし、本当に美味しい!

「ウマ!って、ねこもめっちゃ美味いって顔してるな笑」
「いや、本当に美味しいよ!ほら、あっという間に食べ終わっちゃったし笑」
「ほんとだ笑 あ!そうだ!」

はっしーは何かひらめいたような顔をして、おもむろにロールケーキを一切れ手にして僕の方に向けてきた。
僕ははっしーが何をしたいのかわからずに頭に?マークを大量に浮かべていた。

「ほら、ねこ口開けて!あーん!」

そこではっしーがやろうとしていることにやっと気づいた。

え!?それやらないとダメ!?
すごい恥ずかしいんだけど...
でも、やるまではっしー待機しそうなくらい本気の目してるんだけど...

僕は意を決して口を開けると、はっしーは満面の笑みを浮かべながらロールケーキを僕の口の中に入れてきた。

本当に恥ずかしすぎるんだけど...
早く食べよう!
一刻も早くこの時間を終わらせよう!

僕は急いでそのロールケーキを食べきった。
僕が食べきると、はっしーは満足そうな笑みを浮かべていた。

僕だけ恥ずかしい思いしてずるい!
はっしーもやられればいいんだ!

「僕がやったんだから、はっしーも当然!やるよね!?」

と言って、僕もロールケーキをはっしーに差し出した。

「はい、あーん!」

はっしーは少しの間驚いた顔をしていたけど、すぐにいつもの笑顔になって普通に食べていく。

...あれ?普通に食べてるんだけど...
え?何で普通に食べれるの?

と、僕が少し困惑している間にはっしーは全部食べきっていた。

「ごちそうさま!美味しかったよ、ねこ!」

いや、待って!?僕の思っていた反応と違う!

「あ!指にクリーム付いてる!」

いや、そんなことはどうでもいいよ!?

と、思っているとはっしーは僕の手を引っ張り、指に付いたクリームを舐めとった。
そして、はっしーはにやりとしながら、

「甘いね、ごちそうさま。」

クリームくらいに甘い声を出して、そう言ってきた。
僕は言葉が一切出てこず、ただ口をパクパクさせることしかできなかった。

...本当に何なの...全然こどもじゃないじゃん...

あまりにも衝撃的過ぎて、心臓のドキドキが鳴りやまず、そのあとの記憶はうっすらとしか残っていなかった。

ただただ今日は、はっしーにやられっぱなしの一日でした。

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次は、はっしーsideになります!
意外と捗ってしまったので、2ページに分けました笑
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