ある腐男子の妄想

佐野 臣

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本編

15 言えない!口が裂けても言えない!

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イベントもあと残り一時間と、終了の時が迫っていた。

「一年生~あと残り一時間頑張ろうね~」
「はい!」

一年生の元気な声に若いな~と思いながら俺も頑張らないと!と気を引き締めていた。

あと一時間か~
こんなにも楽しい時間があと少しで終わってしまうんだな...
寂しいな~こんなにネタがザックザック得られるイベントなんてこれからあるかどうか...
でも、こんなこと言っている場合じゃない!
報酬は十分にもらったんだから、残りの時間は真面目に働くぞ~

今日は大収穫で、長時間働かされていたが来てよかったとしみじみと思った。
腐女子仲間も同じように収穫があったようでとても嬉しそうにしていた。

「あとちょっと頑張ろうね!」
「そうだな~」

お客さんの相手をしつつ、声も掛け合い、また時には雑談を挟みながら残りの時間を過ごしていた。

そして、発表を終えた頃にちょうど客足が途切れたのでわずかばかりの休憩が訪れた。
このとき、腐女子仲間と喋っていると、
はっしーと亮くんも暇なのか近寄ってきた。

「何の話してるんですか~?」
「ん?何の話だろうな~」

言えない!まさか部活のメンバーで萌えてるなんて、口が裂けても言えない!
これを言ってしまったらもはや人生が終わる...
墓場まで持っていくしかない...

「言えないことなんですか~?」

その通りだよ!!
そう思うなら聞いてくるなああぁぁぁ

良いのか!?もしここで俺が暴露したら、お前も被害に遭うんだぞ!
容赦なく妄想に使っていくことになるけどいいのか!?
あ、でもねこくんには申し訳ないな...
はっしーはどうでもいいけどwww

うん、やっぱりごまかそう!

「いやいや、今日、お客さんたくさん来たね~みたいなことを話してたんだよ。」

亮くんの質問に冷や汗をかきながら、なんとかごまかした。

本当にヤバイな...
不意打ちで来るのをやめてほしいわ~
これやってるとごまかすのが上手くなっていきそうだな...

俺はそう思いながら、苦笑しつつ遠い目をした。
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