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【第2話】運命の序章

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「ふーん…いいねぇ。」

雨に濡れながら歩く青年を車の中から見つめる男。
この人物の名前は【神代 零(かじろ れい)】
ゲイビ男優として今最も注目されており、その界隈ではカリスマ的イケメン男優として知らないものは居ない程の人物だ。

顔は勿論、ストーリー構成のプロデュースや
ビデオ内で受けも攻めもそつなくこなすテクニシャンである。
彼に抱かれたら最後、他の男では満足出来なくなってしまう。などという伝説が誕生するなど、沢山の逸話が残されている。


停車させている車の運転席から熱心に優希のことを見ていた零は突然助手席に置いてあった傘を手に持ち、車から出た。
持ち出した傘を差し、優希に近づいていく。

優希に追いつき、話しかけようと片手を優希の肩に置こうとしたその瞬間ーーーーー。


《プルルルル》
「もしもし、篠谷です。あぁ、この前の…
        不合格、そうですか、分かりました。」

バイトの面接結果の電話がかかってきてからものの数秒で会話を終わらせた優希は再び歩こうと歩みを進めようとした。
だが、違和感に気がつく。


「( ・・・? )」
先程から優希の背後にくっつく男の気配に気がついた優希だが、ここで振り返る必要性を感じられずそのままにすることにして、再び歩き出した。

すると突然視界が暗くなる。
思わず立ち止まると優希の後ろから背の高い男が現れた。


「傘差さないと風邪、引くよ…?」
そう言い放ちニコッと人の良い笑みを浮かべた零。

そんな愛想の良い零を一瞬見てから優希は興味が無いのか、何も言葉を発さず、歩き出した。





優希が電話をしているのを後から見つめていた零。
「篠谷です。あぁ、この前の…不合格ですかーーーーーーー。」

話している相手は面接か何かの結果だったのだろうか?数秒で会場を終わらせ再び歩き始めようとした優希に傘を差し出して正面に回った零。

「(やっぱり俺好みの顔だ。)」


車の中で目に止まったこの青年。やはり間近で見ても美少年だ。
風邪をひく、と声かけたので優希から何かしらの言葉が出るのを待っていた零だか、優希は零を一瞬見てから再び歩いていこうとした。


「…………。ん?え?ちょ、ちょちょ待って!!
   そんなことある!?無視する普通!?」


零の差し出してきた傘を無視して通り過ぎようとする優希を呼び止め、改めて自己紹介をする。

「初めまして。俺の名前は神代零。よろしくね?君の名前は?」

「篠谷優希です。では、失礼します。」

そう言うと優希は再び零の横をすり抜け、帰ろうとした。流石無感情DK。会話が全く成立しない。最早芸ではないかとすら思える程だ。

そんな優希の腕を咄嗟に掴み、零は焦ったような表情で言い放つーーー。

「ねぇ、君。俺の話を聞いてくれないかな?」

この一言で、2人の運命は大きく変わってしまうことになるのは、神のみぞ知るーーーーーー。
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