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3話

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ハンナは友人イザベラのために、ロレッタについて調べる決意を固めた。
ロレッタは貴族の令嬢であり、意地の悪い性格で知られていたが、親しくしているような人はいなかった。
だが噂には事欠かず、ハンナは巧妙に情報を集め、ロレッタに接触する機会を探した。

ある日の午後、ハンナはロレッタがよく訪れる庭園で彼女を見つけた。
ロレッタは美しいドレスを纏い、花々の間を優雅に歩いていた。
ハンナは慎重に近づき、さりげなく話しかけた。
どれだけ気をつけようが見知らぬ人に声をかける時点で怪しいのだが、ハンナはそのようなことを気にする性格ではなかった。

「こんにちは、ロレッタ。最近、イザベラとアンダースのことについて話を聞いたのだけれど、あなたはどう思っているのかしら?」

ロレッタは一瞬、驚いた表情を見せたが、すぐに冷静さを取り戻した。
彼女の目には警戒心が浮かんでいた。

「誰だか知らないけどイザベラとアンダースのことに興味があるの?」
「ええ、もちろん。二人のことを心配しているのよ」
「心配? そう……」

ロレッタは何かを察したように不敵に微笑んだ。

「アンダースのことを愛しているの。彼のことをずっと思ってきたの」
「だからってイザベラの夫を奪うなんて酷くない?」
「順番が逆なのよ。アンダースは本当は私と婚約すべきだったの。それを奪ったのがイザベラ。わかった?」

ハンナはそのような話は聞いたことがなかくロレッタの発言を疑った。

「どうしてイザベラを苦しめるようなことをするの? アンダースだってイザベラを選んだじゃない。貴女は選ばれなかったのよ」
「選ばれなかったから間違いを正してもらったのよ。イザベラが苦しむのは勝手でしょう? 私の愛するアンダースを奪ったから。彼女が幸せになることなんて許せない」

その言葉にハンナは驚きを隠せず、困惑し、理解できないという表情を浮かべた。
そこにロレッタが言葉を続ける。

「アンダースだって私を選んだのよ。私だけが悪者にされるのはおかしいわ」
「そうかもしれないわね……」

ロレッタの言葉にも一理あるとハンナは考えた。
アンダースの態度や行動が原因であるならロレッタもまたアンダースに振り回された被害者だ。
今まで敵だとしか思っていなかったロレッタが実はそうでもないと知った今、ハンナが今後どうすべきかを迷わせる原因になってしまった。

「……一方的に私を悪者扱いして謝罪もないの? さすがイザベラの関係者ね。思い込みが激しくて周りに迷惑をかけてばかり」
「……決めつけてしまってごめんなさい」
「貴女はまだいいわ。こうやって謝罪できるのだから」

ハンナは何も言えなかった。

その様子を見て、これ以上話すことはないと考えたロレッタは立ち去った。

残されたハンナはまだ悩んでいる。

「私、どうすればいいの?」

誰も答えを教えてくれない。
今度はハンナが悩む番だった。

ロレッタの言い分を聞いて悩んでしまったのだから、次はアンダースの言い分を聞けばいい。
そう考え、ハンナは次の目標が決まった。

こうなったらもうトコトン調べてやろう、とハンナは拳を握りしめた。
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