運命の落とし穴

恩田璃星

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彼の彼6

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   「ウザ…」

   「え?」

   「ウザいって言ったんだよ。やっぱお前みたいな重いヤツ、やめとけば良かった」

   凍てつきそうに冷たい羽立くんのセリフで、私の願いはあっさりと砕け散った。

   宮本くんの心も粉々らしく、せっかく私のご飯で生気を取り戻した顔がまた死にかけている。

   これ以上黙っているなんて、無理だ。

   「羽立くん!!」

   「何ですか?」

   「宮本くんと別れて私とお見合いしたのって、何か事情があるんでしょ?ちゃんと説明してあげなさいよ!!」

   「…いいんですか?」

 

   「いいも何も、このままじゃ宮本くんが可愛そうでしょ!」

   宮本くんが、首を高速で縦に何度も振る。

   「…本っ当、お人好し」

   「何か言った?」

   「いいえ。じゃあ、お邪魔します」

   「えっ、別にうちで話さなくてもいいけど」

   私は宮本くんが納得出来る別れ方をして欲しいだけで、細かいことが聞きたいわけじゃない。むしろ聞きたくない。

   「酷…。見ず知らずの晃には飯まで出しておいて、俺は玄関までなんですか?」

   本当にちょっとムッとした顔で言われると、ヤキモチを焼かれているようで舞い上がりそうになる。

   こういうのが嫌で、私は羽立くんとの関係を断ったのに。

   「分かった。場所は提供するから、二人でちゃんと話し合ってね」

   羽立くんの前を通り過ぎ、靴を履こうとすると、ジャケットの端をクンッと引っ張られた。

   「奏音さんも居てくださいよ」

   「お断りします。二人の問題だもの」

   「奏音さんは無関係じゃないですから。ちゃんと話聞いてください。それと、俺にもなんか晩ごはん作ってください。晃だけズルい」

   そんな、あからさまに拗ねた顔しないで!

   「奏音さん、お願い」

   10年ぶりの上目遣いに勝てるわけもなく、私はキッチンに立ったまま、二人の会話を聞く羽目になってしまった。
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