運命の落とし穴

恩田璃星

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彼の彼1

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   母から連絡があったのは、羽立くんとのお見合いのわずか三日後。

   そのスパンの短さに、父の会社の置かれている状況の厳しさを思い知らされた。

   速達で送られてきたいくつかのかの釣り書に、今回は事前にしっかり目を通す。

   最優先すべきは、父の会社への確実な資金援助だ。

   一番年収の多い、7つ年上の会社経営者、「浅野さん」に決めた。

   容姿については、生理的に受け付けないレベルでなければ問題ない。

   そう思いつつも、念のためにお見合い写真を恐る恐る開く。

   そこに写っていたのは

   全体的に丸いフォルム

   背は、私と同じか、ちょっと低いくらい

   髪の毛は気持ち額のあたりが後退気味

   ある意味平均的な30代半ばの男性だった。

   顔の作りは、お世辞にもかっこいいとは言えない。

   それでも、丸い眼鏡の奥の瞳が、とても優しそうな男性だった。

   羽立くんとはまるで正反対だな。

   そんな考えを頭から追い払う。

   この人とだったら、漫画みたいな恋は無理でも、自分の努力次第で温かい家庭を作れるかもしれない。

   意を決して母に電話すると、翌日には次のお見合いの日時と場所の連絡があった。

   そして臨んだ二度目のお見合い。

   前回、突然現れた羽立くんにも相当驚いたけれど、私は今もかなり驚いてる。

   今日のお相手は、平凡を絵に描いたような男性浅野さんのはずだった。

   それなのに、どういうわけか平凡とは真逆の、モデル風イケメン(髪なんてキレイなグラデーションカラーしてる)が座っているわけですよ。

   何これ?

   どういうこと??

   浅野さん、突然変異???

   もしかして、今日のためにライ○ップ????

   …って、いくらなんでも身長は伸びないか。

   これ、誰がどう見たって絶対別人。

   今日は浅野さんの仕事の都合がつかず、金曜の仕事終わりに食事がてらお会いする形式のお見合いになっていた。

   だから、世話役のおばちゃんがいないので、誰もこの状況を説明してくれない。

   何からどうやって聞こうかと考えあぐねていると、相手の男が口を開いた。

   「あんたが常盤奏音?」

   初対面の人をいきなりあんた呼ばわり。

   あー。

   なるほどね。

   そういう人種ね。

   そうと分かればこちらも遠慮する必要はないか。

   「人に名前を聞く前に、自分の名前を名乗るのがマナーじゃないでしょうか?それに、私、今、大切な要件で人を待っているので、はっきり言って邪魔です。お急ぎでなければお引取りいただけませんか?」

   ニコニコかつハキハキと畳み掛ける。

   でも、それができたのはここまでだった。

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