forgive and forget

恩田璃星

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大人のお遊戯でトラウマ克服編

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 さっき、慈しむようなキスをした唇が、私の口の中を、別人のように荒々しく、我が物顔で蹂躙していく。

 「んむ、んっ」

 隅々まで掻き回されて、口の端からは混ざり合った二人の唾液が伝い落ちていく。

 いつもの冬馬の愛し方。
 いや、散々焦らした分、いつもより激しさ三割増。

 でも、これでいい。
 うん、これがいい。

 いつもと違うことと言えば、私が制服姿ってことくらい。

 制服この姿で、いつも以上に深く強く繋がることに、意味がある気がした。

 きっと冬馬もそう感じているから、いつもは素肌を重ねたがるのに、今日は脱がさない。

 苦しいほど激しいキスに溺れかけたときだった。
 
 濃紺のプリーツスカートを纏ったままの私の下半身に、冬馬の手が伸び、両方の太ももの裏に添えられると、一気に押し上げられ、体をくの字形に畳まれた。

 まさかー

 「あああっ!」


 
 一思いに突き立てられた冬馬のモノを、私の蜜口は濡れた音とともに飲み込んだ。
 挿れられたときに、肉壁を押し開くような感覚に、中がきゅ、きゅ、きゅと収縮する。

 「…ハッ…く…とりあえあず、出す!‥っからそのまま締めとけ!」

 「え?ちょっ、あ、あっ!あん!!」

 締めとけって言われても、自分でどうこうできるもんじゃない。
 されるがままに、冬馬を受け入れるだけで精一杯。

 冬馬は、私に足を降ろさせないよう、腰骨をガッチリ掴んだまま腰を打ち付けたかと思うと、今度は抜ける寸前まで腰を引き、また思い切り打ち付ける。
 
 その動作を狂ったように繰り返した。

  「ひっ、うぅっ、んぁっ」

 打ち付ける度に、自分のものとは思いたくないほど甘ったるい喘ぎ声、湿った肌と肌がぶつかる音、ぐちゅっ、ずちゅっ、と卑猥な水音が、耳から私の興奮に拍車をかけた。






 やがて、それすら遠くに感じ始め、奥でも浅いところでも両方で登り詰めそうになったところで、

  「…っあー、出るっ…!」
 
 と呻いたのは冬馬だった。

 そして、私の腰から手を離すと、慌ただしく自分を引き抜いた。

 支えていたものがなくなった私の両脚は、ボスンとベッドへ。

 「ーーーっ」

 自由になった右手で、冬馬が自分のモノをヌチヌチと数回と抜くと、その先端からピュッと熱い白濁液が放物線を描く。

 その様子に、目が釘付けになった。

 ワンテンポ遅れて、お腹に感じる、暖かく、濡れた感覚。
 たちこめる独特の香りが鼻を突いて、ようやく状況が見えてくる。

 え?
 え??
 今のって、まさか外出し?

 「あっぶねー」

 肩で息をしながら冬馬が膝立ちになり、私を見下ろす。

 「制服で腹にぶちまけられるとか、クソエロいな…って、何呆けてるんだよ?」






 「…や、なんか、初めて見たから」

 だってでさえ、いきなり生で中出しだったし。
 再会してからも、ずっと。
 妊娠中、安定期に入るまで手伝わされてたときは、汚れないよう発射直前にティッシュで押さえてたから、見えなかったし。

 冬馬以外との人とのことは…‥本当にもうあまり覚えていない。
 けど、ちゃんと避妊してたから、多分見てない。

 冬馬は、枕元にある箱から、ズボズボと大量のティッシュを引き抜き、私のお腹を丁寧に拭った。

 「そこ感心するところじゃねーし。色気ねーな」

 「さっきクソエロいって言ったくせに!ほら、もう復活しそうじゃん!」

 「うっせぇ!お前、なんで俺が一回自分でヌいたか分かってないだろ?」

 「そんなの、制服姿の私にせ…体液かけたかっただけでしょ?」

 「はい、外れー。正解は、お前がグズグズになるまでいじくり倒して、『挿れてください』って泣いて頼むまで、挿れるのガマンするためだ」

 




 「お…鬼っ!悪魔!!ド変態!!!」

 「なんか聞いたことあるセリフだな…好きにしていいって言ったくせに」

 「知らない!そんなこと言うならさっきのなし!!」

 妻からの愛の告白を、そんな風に受け取るなんて。

 身を守るように、自分の身体を固くして隅にうずくまると、突如冬馬はスッと事務机に向かい、そこに置いていた自分のスマホを真剣な顔でタップし始めた。

 「…この辺、か…ほら、よく聞けよ」

 冬馬がズイッと目の前に押し付けた液晶画面に映ってるのは…。


 またしても『まさか』が頭をよぎる。

 冬馬がトンッと画面を叩くと、画面の中の人物達が動き出した。



 『…冬馬が、冬馬の思うように抱いて』

 『…お前っ!!煽んなって言ってるだろ!?』



 画面の中の人物は、紛れもなくセーラー服を着た私と冬馬だった。





 「ちょ、何これ!?いっ、いつの間に!?」

 「おい、黙れ。いいとこなのに聞こえねーだろ」

 スマホを奪おうと暴れる私を軽くあしらうことなんて、長身の冬馬には余裕だ。


 『だから、冬馬の好きにして』


 部屋にハッキリと響いた、さっきの私のセリフ。
 
 「わーーーーーーっっっ!!バカバカバカ!!!何でこんなもん撮ってんのよ!!」

 し、死にたい…。
 パンツ舐められるより、100倍恥ずかしい。
 消えてしまいたい衝動が、体を体育座りさせる。 

 「そんなの、二度とないかもしれないお前との制服プレイ残しとくため以外あるかよ」

 至極真面目な顔で答える男が自分の夫だという事実に、めまいがする。

 「『初体験のやり直し』とか言って…ただコスプレさせたかっただけじゃん!!」

 噛み付く私をよそに、今度は『カシャッ』と、シャッター音がした。




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