35 / 97
本当の嘘
3
しおりを挟む
「痛…っ」
そのまま高嶺くんの腕に捕獲されると思いきや、東海林くんが私の腰に回していた手に力を入れて、それを阻んだ。
「…何のつもりだ?」
「煽っといていて何だけどさ、理由も聞かずに乱暴はダメでしょ」
東海林くんの顔からはすっかり笑顔が消えている。
「アンタ静花さんがそんな女だって思ってるんですか?」
「……」
え?
ちょっと待って。
何この間!?
もしかして、高嶺くん、本当に私がそういう女だと思ってる!?
この微妙な空気を知ってか知らずか、東海林くんが続ける。
「いつもアンタから連絡来るの、椅子の上に正座して待機するような人が、浮気なんてするわけないだろ?コンタクトだよ」
「…コンタクト?」
「そ。コンタクトが割れて、全然目ぇ見えなくて危なっかしいから、俺につかまらせて家まで送ろうとしてただけ。大体、自分は他の女に合鍵渡して静花さんのこと散々不安にさせといて。ちょっと他の男と腕組んで歩いてたくらいで怒ってんじゃねーよ」
高嶺くんは、仏頂面のままだけど、事情は分かってくれたらしい。
何も言わずに私の腕を掴んでいた手を離し、東海林くんの代わりに掴まるようにと腕を差し出してくれた。
─だけど。
東海林くんの腕には何も考えずに掴まれたのに、高嶺くんの腕に掴まるのはハードルが高くて。
まごまごしていたら、結局「ふざけんな!!」と怒られてしまった。
すったもんだの末、私が掴んだのは高嶺くんのスーツの端っこで。
これにはやっぱり高嶺くんは不満気で、東海林くんにも呆れられてしまった。
「今どき小学生だって手ぇくらい繋ぐでしょ。静花さんピュア過ぎ…」
それを聞いた高嶺くんがすかさず反応した。
まるで反撃の機会を待っていたかのように。
高嶺くんの性格上、黙ってやられっぱなしなんてあり得ないのに、油断していた。
「もしかして、お前もあの設定信じてるの?」
「…え?」
「静花が『キスもしたことない』とかいう、アレ」
見えないけど、分かる。
東海林くん、目が点になってる。
まずい!!
さっきまでの恥らいなんて何処やら。
高嶺くんの腕にしがみつき、方向もわからないまま力任せに引っ張る。
「高嶺くん、もう行こう!そうだ、私、お弁当作って来てるから!!東海林くん、また明日ね。今日は本当にありがとう!!」
逃げるようにその場を離れてしばらく経った後、絡めていた腕を解いてスーツの端っこを握り直した私を、高嶺くんはちゃんと玄関前まで送ってくれた。。
「あの、ありがとう。もうここで大丈夫だから。気をつけて帰ってね」
そう言って家の中に入ろうとしたら、ドアに何かが支えて最後まで閉まらない。
目を凝らして見ると、それは高級そうな靴で、顔を上げればドアの隙間には高嶺くんの顔。
やっぱりちゃんとは見えないけど、不機嫌そうなのだけは確かだ。
「弁当あるって言ってただろう。まさか、茶も出さずに追い返すつもりじゃないよな?」
…そりゃそうだよね。
でも、できれば今日は遠慮して欲しかった。
だって。
ほら。
絶対こうなるって分かってたもん。
「あー…マジで最高」
そのまま高嶺くんの腕に捕獲されると思いきや、東海林くんが私の腰に回していた手に力を入れて、それを阻んだ。
「…何のつもりだ?」
「煽っといていて何だけどさ、理由も聞かずに乱暴はダメでしょ」
東海林くんの顔からはすっかり笑顔が消えている。
「アンタ静花さんがそんな女だって思ってるんですか?」
「……」
え?
ちょっと待って。
何この間!?
もしかして、高嶺くん、本当に私がそういう女だと思ってる!?
この微妙な空気を知ってか知らずか、東海林くんが続ける。
「いつもアンタから連絡来るの、椅子の上に正座して待機するような人が、浮気なんてするわけないだろ?コンタクトだよ」
「…コンタクト?」
「そ。コンタクトが割れて、全然目ぇ見えなくて危なっかしいから、俺につかまらせて家まで送ろうとしてただけ。大体、自分は他の女に合鍵渡して静花さんのこと散々不安にさせといて。ちょっと他の男と腕組んで歩いてたくらいで怒ってんじゃねーよ」
高嶺くんは、仏頂面のままだけど、事情は分かってくれたらしい。
何も言わずに私の腕を掴んでいた手を離し、東海林くんの代わりに掴まるようにと腕を差し出してくれた。
─だけど。
東海林くんの腕には何も考えずに掴まれたのに、高嶺くんの腕に掴まるのはハードルが高くて。
まごまごしていたら、結局「ふざけんな!!」と怒られてしまった。
すったもんだの末、私が掴んだのは高嶺くんのスーツの端っこで。
これにはやっぱり高嶺くんは不満気で、東海林くんにも呆れられてしまった。
「今どき小学生だって手ぇくらい繋ぐでしょ。静花さんピュア過ぎ…」
それを聞いた高嶺くんがすかさず反応した。
まるで反撃の機会を待っていたかのように。
高嶺くんの性格上、黙ってやられっぱなしなんてあり得ないのに、油断していた。
「もしかして、お前もあの設定信じてるの?」
「…え?」
「静花が『キスもしたことない』とかいう、アレ」
見えないけど、分かる。
東海林くん、目が点になってる。
まずい!!
さっきまでの恥らいなんて何処やら。
高嶺くんの腕にしがみつき、方向もわからないまま力任せに引っ張る。
「高嶺くん、もう行こう!そうだ、私、お弁当作って来てるから!!東海林くん、また明日ね。今日は本当にありがとう!!」
逃げるようにその場を離れてしばらく経った後、絡めていた腕を解いてスーツの端っこを握り直した私を、高嶺くんはちゃんと玄関前まで送ってくれた。。
「あの、ありがとう。もうここで大丈夫だから。気をつけて帰ってね」
そう言って家の中に入ろうとしたら、ドアに何かが支えて最後まで閉まらない。
目を凝らして見ると、それは高級そうな靴で、顔を上げればドアの隙間には高嶺くんの顔。
やっぱりちゃんとは見えないけど、不機嫌そうなのだけは確かだ。
「弁当あるって言ってただろう。まさか、茶も出さずに追い返すつもりじゃないよな?」
…そりゃそうだよね。
でも、できれば今日は遠慮して欲しかった。
だって。
ほら。
絶対こうなるって分かってたもん。
「あー…マジで最高」
5
あなたにおすすめの小説
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
4番目の許婚候補
富樫 聖夜
恋愛
愛美は家出をした従姉妹の舞の代わりに結婚することになるかも、と突然告げられた。どうも昔からの約束で従姉妹の中から誰かが嫁に行かないといけないらしい。順番からいえば4番目の許婚候補なので、よもや自分に回ってくることはないと安堵した愛美だったが、偶然にも就職先は例の許婚がいる会社。所属部署も同じになってしまい、何だかいろいろバレないようにヒヤヒヤする日々を送るハメになる。おまけに関わらないように距離を置いて接していたのに例の許婚――佐伯彰人――がどういうわけか愛美に大接近。4番目の許婚候補だってバレた!? それとも――? ラブコメです。――――アルファポリス様より書籍化されました。本編削除済みです。
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~
菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。
だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。
車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。
あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。
数合わせから始まる俺様の独占欲
日矩 凛太郎
恋愛
アラサーで仕事一筋、恋愛経験ほぼゼロの浅見結(あさみゆい)。
見た目は地味で控えめ、社内では「婚期遅れのお局」と陰口を叩かれながらも、仕事だけは誰にも負けないと自負していた。
そんな彼女が、ある日突然「合コンに来てよ!」と同僚の女性たちに誘われる。
正直乗り気ではなかったが、数合わせのためと割り切って参加することに。
しかし、その場で出会ったのは、俺様気質で圧倒的な存在感を放つイケメン男性。
彼は浅見をただの数合わせとしてではなく、特別な存在として猛烈にアプローチしてくる。
仕事と恋愛、どちらも慣れていない彼女が、戸惑いながらも少しずつ心を開いていく様子を描いた、アラサー女子のリアルな恋愛模様と成長の物語。
いい加減こっち見ろよ!〜見た目だけだとフラれ続ける私は、どうやら幼馴染の執着愛に気づいていなかったようです。〜
こころ ゆい
恋愛
保育士の八重と外科医の一生は、小学生の頃からの幼馴染。
傍から見れば、儚く清楚に見えるらしい八重は、実は外見にそぐわぬ性格をしていた。
そのせいで、見た目につられて告白してくる男性たちは、ことごとく彼女の中身を知って離れていく。
フラれる度に、やけ食いややけ酒に付き合ってもらっている一生は優しいが、懲りずに同じような恋愛を繰り返す八重に呆れている....と思っていたら?
「....八重の可愛さは、そんなもんじゃないんです。....誰も気付かなくていい。俺だけが知ってればいい」
ーーどうやら、かなり愛されていたようです?
※じれじれ・執着・溺愛 ラブストーリー。🌱
※この物語は、全て作者の想像で描かれたフィクションです。実際の場所・建物・人物とは関係ありません。🌱
※HOTランキング入りしました。(最高47位でした)全ては、読者の皆様のおかげです。心より感謝申し上げます。今後も精進して参ります。🌱
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる