上 下
151 / 173

19-2

しおりを挟む
受話器の向こうから聞こえる光城の高笑いはとどまるところを知らない。
このままでは晴臣が怒りに任せて「ヨーロッパでもアフリカでも行ってやる」と啖呵を切りかねない。
そして、光城を怒らせればそれが現実になる可能性は大いにある。

折角再会できたのに、また離れ離れになるのだけは御免だ。

「あ…あの!今更ですけど、こんな光越の機密事項を、私が聞いちゃってよかったんでしょうか?」

晴臣の我慢の限界寸前のところで何とか口を挟むと、光城は漸く笑うのを止めた。

「もちろん。なった以上、晴臣は死んでも君を離さないだろうから、君ももう光城の…光越の創業者一族だよ。欲を言えば、うちは同族企業だけど、僕と志織は年齢的にもう無理だろうから、千歳ちゃんにはいっぱい子供を生んでもらって、その中から一人くらい晴臣僕たちの後を継いでくれる子が育ってくれると嬉しいな」

あっけらかんとしてはいるけれど、その口調に隠しきれない寂しさを感じる。
光城家の跡取りとして生まれ、生きてきた彼が失ったものは、私には計り知れないほど大きいのかもしれない。

なんてしんみりしていたら、

「ってことで、僕、色々準備が忙しいから、またねー!」

と、一方的に電話が切れてしまった。

本当に、晴臣が光越の社長にー?

改めて考えてみると、いくら創業者一族とはいえ、入社三年、しかも20代で社長就任だなんて、前代未聞じゃない!?
大丈夫なの!!?

不安になる私とは対象的に、当の本人は全く動じることなく、忌々しげにスマホをサードテーブルに追い払っている。

その姿を見て悟る。

ああ。
晴臣は、晴臣なら大丈夫だった。
光城より、誰より私が一番知ってるはずなのに。
心配して損した。

一人胸を撫で下ろしていると、背中にズシッと重みを感じ、耳元で尋ねられた。

「で?何人欲しい??」

「…へ?」

「子ども。宗一郎がいっぱい産めって言ってただろ?」

「…っ!?」

さっきの続きと言わんばかりに、後ろから胸を揉みしだかれ、体から力が抜ける。

「まっ、まだ…ぁっ、わかんっ、ないよぉっ!!」

「…だよな。俺もしばらくは千歳のこと独占したいから…二年くらいは中出し我慢する」

二回戦で散々弄られ、敏感になった胸の先端は、指先でクリクリと捏ねられるとあっという間に芯を持った。

「ぁっ、ちょっ、こんな…っ、朝から…!?」

「昨日約束しただろ?次は絶対見せてもらうって」

少し濡れた熱い塊を、何も身につけていない足の付根に挟んで前後に動かし、陰核をこすられると、頭が真っ白になった。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

最後の恋って、なに?~Happy wedding?~

氷萌
恋愛
彼との未来を本気で考えていた――― ブライダルプランナーとして日々仕事に追われていた“棗 瑠歌”は、2年という年月を共に過ごしてきた相手“鷹松 凪”から、ある日突然フラれてしまう。 それは同棲の話が出ていた矢先だった。 凪が傍にいて当たり前の生活になっていた結果、結婚の機を完全に逃してしまい更に彼は、同じ職場の年下と付き合った事を知りショックと動揺が大きくなった。 ヤケ酒に1人酔い潰れていたところ、偶然居合わせた上司で支配人“桐葉李月”に介抱されるのだが。 実は彼、厄介な事に大の女嫌いで―― 元彼を忘れたいアラサー女と、女嫌いを克服したい35歳の拗らせ男が織りなす、恋か戦いの物語―――――――

10 sweet wedding

国樹田 樹
恋愛
『十年後もお互い独身だったら、結婚しよう』 そんな、どこかのドラマで見た様な約束をした私達。 けれど十年後の今日、私は彼の妻になった。 ……そんな二人の、式後のお話。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

クールな御曹司の溺愛ペットになりました

あさの紅茶
恋愛
旧題:クールな御曹司の溺愛ペット やばい、やばい、やばい。 非常にやばい。 片山千咲(22) 大学を卒業後、未だ就職決まらず。 「もー、夏菜の会社で雇ってよぉ」 親友の夏菜に泣きつくも、呆れられるばかり。 なのに……。 「就職先が決まらないらしいな。だったら俺の手伝いをしないか?」 塚本一成(27) 夏菜のお兄さんからのまさかの打診。 高校生の時、一成さんに告白して玉砕している私。 いや、それはちょっと……と遠慮していたんだけど、親からのプレッシャーに負けて働くことに。 とっくに気持ちの整理はできているはずだったのに、一成さんの大人の魅力にあてられてドキドキが止まらない……。 ********** このお話は他のサイトにも掲載しています

運命の落とし穴

恩田璃星
恋愛
親の強い勧めで、仕方なくお見合いをすることになった常盤奏音。 そこで彼女を待っていたのは、高校の後輩だが、絶対に結婚相手になり得るはずのない男、羽立昴だった。 奏音の予想に反して二人の結婚を提案する昴の目的とはー!?  ※こちらの作品は、他サイトで掲載しているものと同じ内容になります。  ※BL要素も含む作品になりますので、苦手な方はご遠慮ください。

冷淡だった義兄に溺愛されて結婚するまでのお話

水瀬 立乃
恋愛
陽和(ひより)が16歳の時、シングルマザーの母親が玉の輿結婚をした。 相手の男性には陽和よりも6歳年上の兄・慶一(けいいち)と、3歳年下の妹・礼奈(れいな)がいた。 義理の兄妹との関係は良好だったが、事故で母親が他界すると2人に冷たく当たられるようになってしまう。 陽和は秘かに恋心を抱いていた慶一と関係を持つことになるが、彼は陽和に愛情がない様子で、彼女は叶わない初恋だと諦めていた。 しかしある日を境に素っ気なかった慶一の態度に変化が現れ始める。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...