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いかないで四週目
聞こえる?
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「おにぃちゃ、おにぃちゃー!!」
僕は、レイの慌てた叫び声で目が覚めた。
切羽詰まった、恐怖から
慌てて逃げてるような声だ。
「レイ!」
僕は、レイに駆け寄った。
動かない体を必死に動かして、
なにかを探しているみたいだった。
「レイ、レイ!」
僕は、必死にレイの名前を呼び、
空気をつかむ手を握りしめた。
すると、ピタリと動くをやめ、
手を握り返してきた。
「おにぃちゃ、どこ、どこ?」
「ここだよ、レイ?」
レイは、キョロキョロと目を動かした。
あれ?
僕は不思議に思った。
なんども、レイと目があった。
だけど、レイの目はなにもとらえていない。
ただ、動いているだけ。
それに、目に色がない......
「レイ、もしかして目、みえない?」
僕が聞くとレイは、こくりとうなずいた。
これも、病気のせいなのか。
それとも、熱のせいなのか。
でも......
僕はそっと、レイの頭を撫でた。
それにレイは、嬉しそうに笑った。
でも僕は、僕は......
確実に近づいてくるレイの死に、
僕は恐怖を覚えた。
それと同時に、自分の無力さを知った。
なにもできない。
外に助けを求めにいくことをもできない。
レイのことを少しでも楽にできない。
無力だ、無力なんだ。
「レイ、聞こえる?」
「うん」
「レイ、僕はどこにもいかないよ。
ずっとレイのそばにいるよ。
だから、レイもそばにいてね」
「うん、レイはどこにもいかないよ、
ずっとおにぃちゃんと一緒だもん。
でしょ?」
僕は、グッといきをのんだ。
「......うん」
僕は、レイの慌てた叫び声で目が覚めた。
切羽詰まった、恐怖から
慌てて逃げてるような声だ。
「レイ!」
僕は、レイに駆け寄った。
動かない体を必死に動かして、
なにかを探しているみたいだった。
「レイ、レイ!」
僕は、必死にレイの名前を呼び、
空気をつかむ手を握りしめた。
すると、ピタリと動くをやめ、
手を握り返してきた。
「おにぃちゃ、どこ、どこ?」
「ここだよ、レイ?」
レイは、キョロキョロと目を動かした。
あれ?
僕は不思議に思った。
なんども、レイと目があった。
だけど、レイの目はなにもとらえていない。
ただ、動いているだけ。
それに、目に色がない......
「レイ、もしかして目、みえない?」
僕が聞くとレイは、こくりとうなずいた。
これも、病気のせいなのか。
それとも、熱のせいなのか。
でも......
僕はそっと、レイの頭を撫でた。
それにレイは、嬉しそうに笑った。
でも僕は、僕は......
確実に近づいてくるレイの死に、
僕は恐怖を覚えた。
それと同時に、自分の無力さを知った。
なにもできない。
外に助けを求めにいくことをもできない。
レイのことを少しでも楽にできない。
無力だ、無力なんだ。
「レイ、聞こえる?」
「うん」
「レイ、僕はどこにもいかないよ。
ずっとレイのそばにいるよ。
だから、レイもそばにいてね」
「うん、レイはどこにもいかないよ、
ずっとおにぃちゃんと一緒だもん。
でしょ?」
僕は、グッといきをのんだ。
「......うん」
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