上 下
22 / 49
本編

しおりを挟む
目を開けると暗闇のなか
一人の少女がしくしくと泣いている
どうしたのだろうと近づけば遠ざかる
なので思わず手を伸ばし少しでも近づこうとする
けれども少女は一歩も動いていないにも関わらず近づくことはできない
だから叫んだんだ

「どうしたの!!!!!!!!!!!!!!!」

その声は届いたようで安心し伸ばしていた手を下げて近づこうとする
少女は顔をあげる
かわいいと言いがたい顔は涙で汚れている
髪もボサボサでなおさらどうしたのかと思った
少女がゆっくりと口を開けようとすると

突如暗闇はあの燃えた村に変わり少女は後ろを向き走り出す
そこで僕は気がついたんだ

「君は--」

口に出そうとすると一軒の燃えた家が少女に襲いかかる
大きな音をたてて崩れ少女を飲み込む
そして最後は僕がポツンと一人取り残される

レインストーム...
心の中で魔法を唱え大雨を降らせる
空を見上げる

君は僕なの?--



---

いつもの夢だ
少女を助けようとするけど助けられない
そして僕が使えない魔法を使って大雨を降らせるんだ

あれは僕なのか?
僕だとしたら今の僕は誰?

毎日毎日同じ夢を見るものだから考えてしまう

あの夢はパラレルワールド?
それともあれは僕であって僕ではない。ただの夢にすぎないのか?
実は僕はあの少女で本当は死んでいて今の僕は別の誰かにすぎないとか?


「はぁ...」


考えれば考えるほどため息が出る
考えても考えても結果は同じなんだから...考えなくても...ってこれは誰の考え?どの経験から?僕はいつこんなことを思ったんだ?
わからない。わからない。この記憶は本当に僕の記憶?それとも別の誰かの記憶?思考と思考が交わりまたため息が出る


「どうしました?」
「あぁ...フェアか」

少し考え事をな?と言う
嘘ではないのだからいいだろう
それにしてもちゃんとした笑顔ができただろうか
いつもの僕だっただろうか


「...少し疲れてますね。今日はゆっくり休みましょう」
「で、でも学校が...」
「そんなに疲れるほど考えて答えは出ましたか?真面目に授業を受けれそうですか?」
「それは...」

言葉がつまる
ここ最近まともに授業を受けきれていない
ある程度覚えているとはいえこのままだと成績は下がるだろう

「今日は私も休みますから、ね?」
「わかっ...た...」

ダリオルに一言伝えて寝ることにする
またあの夢見ないといいな

ベッドに座りふぅ...と軽くため息をつく

ガチャ

「ん?」
「兄さーん。たまには一緒にね・ま・しょ?」

え、えぇ...
最近めっちゃ甘えてくるがここまで来るとは...
帰ってきて頭撫でてーとかぎゅーって抱きついてくることはあるけどって入ってきてるし

「ほら。兄さん。寝ましょ?」

まぁたまにはいいか。あの事件の後甘えるようになったが迷惑ではないしね。こんな妹もかわいい

布団に二人でくるまるとフェアはぎゅっと抱きついてくる

「倒れたら嫌ですから。私の兄さんなんですからね?ただ一人の兄さんですから...」


少しきついがまぁいいか
かわいいな...

やさしく腕を回してやるとフェアはすぅーすぅーとかわいい寝息をたてる
ふぁ...睡魔が来たかぁ。寝るかぁ...

二人で仲良く夢の中
フェナカイトは夢にうなされることもなくぐっすり眠れましたとさ
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

完結 幽閉された王女

音爽(ネソウ)
ファンタジー
愛らしく育った王女には秘密があった。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【取り下げ予定】愛されない妃ですので。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。 国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。 「僕はきみを愛していない」 はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。 『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。 (ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?) そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。 しかも、別の人間になっている? なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。 *年齢制限を18→15に変更しました。

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

側妃ですか!? ありがとうございます!!

Ryo-k
ファンタジー
『側妃制度』 それは陛下のためにある制度では決してなかった。 ではだれのためにあるのか…… 「――ありがとうございます!!」

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

処理中です...