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Lv.4 救出せよ!
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『平和だな~』
『ヤツの冒険の書が消えましたからな~』
どうやら、サブフレームなんちゃら? とか言う禁断魔法に失敗して力を失ってしまった勇者は、再び最初から冒険をやり直しているそうだ。
少し哀れに思ったものの、勇者が憂さ晴らしでニワトリを何度もキックしたせいで、村は大量の空飛ぶニワトリに襲撃されて大惨事になっていた。
……これ、魔王のしわざとか言われたら嫌だなぁ。
『勇者は現在レベル4。ひたすらモンスターの出現地点を回避し、逃走を繰り返しながら突き進んでいるようですな』
『私の読んだ歴史書の勇者像からは、えらくかけ離れておるなぁ……』
勇者と言えば、歴代の魔王が世界征服を宣言するや突如として現れ、聖なる力で立ちはだかるのが定石のはず。
しかしコイツは、壁を抜けるだの後ろから不意打ちするだのと、何もかも無茶苦茶である。
勇者と名乗るくらいなのだから、せめて正面から堂々と挑んで欲しいものだ。
『それで、ヤツは今どの辺に居るのだ?』
私の問いかけに応え、大臣は水面に勇者の映像を映し出した。
『どうやら、エルフ国王からドラゴンに囚われたライラ姫を助けて欲しいと懇願されている様子ですな』
『なるほどーー……って、あれぇ!?』
◇◇
『なんなんですか? ここどこですか? なんで私連れてこられたんですか!?』
というわけで、私は洞窟のドラゴンに事情を説明し、エルフ王国のライラ姫を連れ出して魔王城に戻ってきた。
『安心するが良い。お主の身の安全は保証するし、ムリヤリ毒の沼に飛び込ませたりダメージ床の上を棺桶のまま引きずられたり、落とし穴に突き落とされる心配も無い』
私の言葉に、ライラ姫は目を見開いて驚く。
『わ、私……助かったんですか……?』
『うむ、しばらく我が城で身を隠すが良いぞ』
そう優しく伝えると、ライラ姫の目に涙が浮かんだ。
『もう痛い思いしなくて良いんですね……うわぁーーーーんっ!!』
ライラ姫は私の胸に飛び込むと、わんわんと泣き出してしまった。
今までどれだけ辛い境遇にあったのか、想像するだけで私まで悲しくなってくる。
しかし、二人が感傷に浸る間も無く、大臣が慌てた様子で水面を指差して叫んだ。
『ま、魔王様っ。勇者共に新たな動きが……!』
『むっ!』
ライラ姫と共に水面に目を向けるとそこには、ドラゴンの炎を全身に浴びているにも関わらず、ひたすら仲間同士で殴り合う勇者パーティの姿があった。
『奴ら一体どうした! 乱心かっ!?』
『……デスルーラです』
『『!?』』
水面を見つめながらボソリとライラ姫が呟き、私と大臣はそれを呆然と眺める。
『空間転移が使えないダンジョンなどは、こうやって仲間同士で殺し合うんです。その方が歩いて戻るより早いからって。うぅぅ……』
『大丈夫だから! もう大丈夫だから泣かないで……!』
『うわぁーん……!』
私は震えるライラ姫を後ろから抱き締めると、二人一緒に幼子のように声を上げて泣いた。
< 本日の魔王城修繕報告書 >
1.魔王城内にエルフ王国ライラ姫の寝室を増築。
2.福利厚生のためカウンセリング対策班を発足(主にライラ姫用)。
3.中庭に果樹を植林し休憩所を併設(主にライラ姫用)。
(追伸)
魔王様のお優しい心遣いに魔王軍一同、敬服致しました!
『ヤツの冒険の書が消えましたからな~』
どうやら、サブフレームなんちゃら? とか言う禁断魔法に失敗して力を失ってしまった勇者は、再び最初から冒険をやり直しているそうだ。
少し哀れに思ったものの、勇者が憂さ晴らしでニワトリを何度もキックしたせいで、村は大量の空飛ぶニワトリに襲撃されて大惨事になっていた。
……これ、魔王のしわざとか言われたら嫌だなぁ。
『勇者は現在レベル4。ひたすらモンスターの出現地点を回避し、逃走を繰り返しながら突き進んでいるようですな』
『私の読んだ歴史書の勇者像からは、えらくかけ離れておるなぁ……』
勇者と言えば、歴代の魔王が世界征服を宣言するや突如として現れ、聖なる力で立ちはだかるのが定石のはず。
しかしコイツは、壁を抜けるだの後ろから不意打ちするだのと、何もかも無茶苦茶である。
勇者と名乗るくらいなのだから、せめて正面から堂々と挑んで欲しいものだ。
『それで、ヤツは今どの辺に居るのだ?』
私の問いかけに応え、大臣は水面に勇者の映像を映し出した。
『どうやら、エルフ国王からドラゴンに囚われたライラ姫を助けて欲しいと懇願されている様子ですな』
『なるほどーー……って、あれぇ!?』
◇◇
『なんなんですか? ここどこですか? なんで私連れてこられたんですか!?』
というわけで、私は洞窟のドラゴンに事情を説明し、エルフ王国のライラ姫を連れ出して魔王城に戻ってきた。
『安心するが良い。お主の身の安全は保証するし、ムリヤリ毒の沼に飛び込ませたりダメージ床の上を棺桶のまま引きずられたり、落とし穴に突き落とされる心配も無い』
私の言葉に、ライラ姫は目を見開いて驚く。
『わ、私……助かったんですか……?』
『うむ、しばらく我が城で身を隠すが良いぞ』
そう優しく伝えると、ライラ姫の目に涙が浮かんだ。
『もう痛い思いしなくて良いんですね……うわぁーーーーんっ!!』
ライラ姫は私の胸に飛び込むと、わんわんと泣き出してしまった。
今までどれだけ辛い境遇にあったのか、想像するだけで私まで悲しくなってくる。
しかし、二人が感傷に浸る間も無く、大臣が慌てた様子で水面を指差して叫んだ。
『ま、魔王様っ。勇者共に新たな動きが……!』
『むっ!』
ライラ姫と共に水面に目を向けるとそこには、ドラゴンの炎を全身に浴びているにも関わらず、ひたすら仲間同士で殴り合う勇者パーティの姿があった。
『奴ら一体どうした! 乱心かっ!?』
『……デスルーラです』
『『!?』』
水面を見つめながらボソリとライラ姫が呟き、私と大臣はそれを呆然と眺める。
『空間転移が使えないダンジョンなどは、こうやって仲間同士で殺し合うんです。その方が歩いて戻るより早いからって。うぅぅ……』
『大丈夫だから! もう大丈夫だから泣かないで……!』
『うわぁーん……!』
私は震えるライラ姫を後ろから抱き締めると、二人一緒に幼子のように声を上げて泣いた。
< 本日の魔王城修繕報告書 >
1.魔王城内にエルフ王国ライラ姫の寝室を増築。
2.福利厚生のためカウンセリング対策班を発足(主にライラ姫用)。
3.中庭に果樹を植林し休憩所を併設(主にライラ姫用)。
(追伸)
魔王様のお優しい心遣いに魔王軍一同、敬服致しました!
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