上 下
35 / 40
『第2の街シドネス』

34.ジャム

しおりを挟む
 
 「―――――ぁばッ」

  …………………寝てたよ。
  いやぁ…やっばいねぇ。〈弱者の叫び〉…疲労感半端じゃないな。途中から記憶無いし、完全に理性吹っ飛んでたなぁ…

 アーツ説明詳しく見るとなんか一発でも攻撃受けたら即死とか書いてあるし…あっぶないなぁ…。

  つまりまとめると〈弱者の叫び〉っていうアーツは筋力と敏捷性が爆上げされる代わりに、一度でも攻撃受けたら即死、効果が切れた瞬間バタンキューの崖っぷちスキルって事か?怖ぁ…そう簡単に使えないな……本当にヤバい時しか使えないな……

 とんでもないもん手に入れてたなぁ……こんなアーツいつ手に入れたんだっけ?なんかのスキルのレベルで手に入れたってことは無いよなぁ…それなら気付くはずだ…

 ………まあ、深く考えても仕方ないか。

  どの位の時間が経ったのだろうか。
  全く持って見当がつかない。ドロップアイテムと思わしき物もすべて消えてしまっている。どうやらそこから察するにゲーム内時間では1時間程度、経っているらしい。確かだが、ドロップアイテムは30~60分程度回収されずに放置されると消滅すると聞いた。

 「あまり幸先は良くないな」

  そう言いながら孤島内部へと歩き出す。
  孤島に入っていきなりモンスターの大群に襲われ、記憶が無いので分からないが多分倒したと思われるドロップアイテムも時間消滅。スキル進化したからか、スキル達のレベルの上がり幅もあまり良くなかった。

  ここから、だよな。巻き返すのは。

  心の奥底でそう自分に言い聞かせ、奥へと進む。
  森はジャングルの様になってはいるが、比較的周りは見渡せるため、モンスターが来てもすぐに気付ける。
  もしここが他のプレイヤーに見つかっても難易度設定はそう高くはならないだろうな。いや、モンスターが強かったら例外か。

  イレギュラーもあり得るしな。気は抜けない。

  ……と、猿型モンスターが樹の上から襲ってくる。そういや、コイツの正式モンスター名は…〔モルキー〕か。なんか…微妙なネーミングセンスだな。もうちょっと捻れなかったものか…

 そんな事を思いながら〈影縫い〉を発動し、樹を這い上がらせておいて、近くにモルキーが落ちてきた瞬間に影を飛び出させる。漆黒覆われ、モルキーはしばらく呻き、消滅した。そのままドロップ品を拾う。

 「【接着剤】…ね。時々意味分からないよなぁ。ドロップ品」

  確か始まりの街付近に居たモンスターの一匹も【結合剤】なんていう意味不明なアイテムを落としたっけ。

  記憶書庫からそんな事を掘り出しながら、辺りを見回す。
  樹、樹、樹。辺りは樹だらけだ。森だから当たり前なのだが、やはり同じ光景ばかりだと参ってしまう。

  すると、一つのアイテムが目に入った。

 「お、果実」

  樹に果実が生っている。あれは…【林檎】か。丁度良い、最近【林檎】を食べ過ぎているせいで在庫が切れてしまったところだ。ここいらで調達させてもらおう。

  《空間機動》や〈空中遊歩Ⅱ〉を駆使し、いとも簡単に【林檎】の生っている木の枝へと到達した。そこで幾つか回収すると、今度はかなり遠くだが地面の植木みたいなもさっとした植物に小さな粒々の実が見えた。

  あれは…ベリーかな?
  《万能眼》を限界まで酷使して、どうにか確認できる程度なので分からないが美味しそうなので行ってみる。

 「その場合は…地面降りるよりここから飛んだ方が速いな」

  枝の上にしっかりと乗り、しっくりくる足裏の位置を探す。定位置が決まったら、一気に――――――、

 「〈大…跳躍〉…!」

  《熟練盗賊》Lv1アーツ〈大跳躍〉。
  名前から分かるように〈跳躍〉の進化系アーツだろう。その証拠として、〈跳躍〉の1.5倍ほど跳べている。

  それだけでもだいぶ近付いた。後は…

「〈空中遊歩〉に合わせて……〈瞬発〉!」

  〈空中遊歩Ⅱ〉は空に一瞬の”足場を作るアーツである。何もない場所を踏んでいるのではない。何もない場所から足場を一瞬だけ生み出すのだ。その足場を今回は利用させてもらい、一瞬の構築時間を突いて〈瞬発Ⅲ〉を使った。
  お陰で―――――、

 「すっご……」

  上へ使うのではなく、前への推進力として使用したせいでとんでもない速度だ。多分俺みたいに仮面を突けてなかったら喋れないんじゃないだろうか…風圧で……

 下手したら通り過ぎてしまうレベルの速度なので、前に〈ダークボール〉〈ダークランス〉〈ダークカッター〉などを撃って、抑止力にした。そのお陰で調整が出来、ベリーの少し前で落ちる事が出来た。

  そのままの高度で地面に着地したが、靴のお陰で落下ダメージはほぼ無い。ホントに万能だ。

 「さ~て……ベリー♪ベリー♪」

  早速、目の前のベリー目掛けて直進する。
  見た目的には二種類のベリーがあるように見える。一応という訳でどんどんアイテム名を調べていくと、やはり二種類しかなかった。

  赤い色の果実【ラズベリー】と黒い色の果実【ブラックベリー】だ。大量に生っているので、どんどんと回収していく。一つ一つが小さい為、すぐに数は溜まるが出来るなら大量にとっておこう。何かあったときに役立つかも…困ったら売ればいい話だしな。

  そうしてしばらくベリー狩りに勤しんだ。



 「―――――よし、こんなもんか!」

  持ち物欄からベリーの数を確認する。

 【ラズベリー】×324
【ブラックベリー】×279

 うん、大漁大漁。いや、大量大量?まあ、細かい事は良いか。

  とりあえず一粒ずつ食べてみようかな。
  俺は【飲料水】を持ち物から取り出し、掌に転がしている【ラズベリー】と【ブラックベリー】に掛ける。

  まずは【ラズベリー】を口の中に放り込んだ。モグモグと咀嚼する。おお、これは…

「甘酸っぱくてうまいなぁ」

  こんなに美味しいのなら幾らでも食べられそうだ。確かこういうベリーってジャムとかにも向いているらしいので今度食べてみたい。

  さて、今度は【ブラックベリー】だ。先程と同じく口の中に入れ、咀嚼をする。あ…ちょっと…

「すっぱ……それに少し渋い…」

  あまり美味しいとは言い難い。これは生で食べるのは好き嫌いが別れるタイプだな。ちょっと俺は苦手だが、好きな人もいそうな味だ。

 「これもジャムにできるかな?」

 【ブラックベリー】もジャムにすることが出来たら俺でも食べられる味になるだろうか。試す価値は十分にあるだろう。特に【ブラックベリー】。

  それにしても、大分遠くまで来てしまったな…
 ここは孤島のどの辺だろうか。―――っとモンスターか。大きな鼠みたいなモンスターだな。名前は…〔ラット〕か…いや、そのままにも程があるだろう…流石に可愛そうだぞ…

「うわ……こっち突進してくんのかよ」

  どうやら先程まではこちらに気付いていなかったようなのだが、今さっきの俺の哀れみの視線で気付かれたようで、突進をしてきた。

  鼠らしくない攻撃手段だが、単純故に非常にやりやすい。

  ダガーを腰から取り出し、構える。
  突進に合わせてギリギリで躱し、その躱した瞬間に合わせ、攻撃をする。

  これを繰り返しているだけで勝手にやられることだろう……と思っていたんだが…

「ぎゅッ!!?」

  俺が攻撃して数秒が経過した時、ラットの身体に異変が発生した。

  ――――突如ラットの心臓があると思われる付近から真っ黒な鎖が現れ、その巨体を雁字搦めにしたのだ。ラットはどうすることも出来ずに「きゅぐぅ…」と鳴く。これは…

「100%、ダガー…『闇夜』の特殊効果、「魂縛り」だろうな」

  どうやらかなり、いや、とんでもなく強力な武器を生み出してしまったようだ。完全に動けなくなっている。多分、力があるものには効かないだろうが雑魚モンスターにとっては効き目抜群だ。

  俺はラットにとどめを刺しながらそう感じた。


  * * * * * * * * * * * * * 


 「えー……マジかぁ…ココにあるかぁ…」

  目の前にある不思議な形の門、まあ、ボスゲートなんだけど…それを見て呟いた。

  ラットを倒した後、しばらく孤島の中心部に向かって徘徊していたら普通にあった。なんか…もう…自分の中でボスゲートのありがたみが良く分かんなくなってきた。

  まあ、まだHP回復しきって無いし……特攻できるような気分でもないし…回復を待つしかないのだが…暇なので…

「ジャム作ってみようかな」

  そうなった。
  というか、そうなったら話は早い。ボスゲートの目の前で【誰でも簡易《料理》道具】をとりだし、〈灯火Ⅳ〉で火をつける。

  混ぜる道具は無かったので【木片】というドロップアイテムを、ダガーで適当に切って良い感じの大きさにした。

  鍋の中に【ラズベリー】を入れる。掻き混ぜる。掻き混ぜる。掻き混ぜる。掻き混ぜ……こんなに掻き混ぜて大丈夫かな…?そんな不安感を抱えつつ、更に10分くらい混ぜる。

  良く分からないけどなんかいい感じになって来たっぽいので適当に【林檎】を絞って果汁を入れる。入れる。入れる。入れ……あれ?こんなに入れて大丈夫かな…?そんな感じでまた混ぜる。良い匂いしてきた。

  なんかとろとろしてきたよ?美味しそうじゃない?これ。良い感じなんじゃない?ちょっと待ってここからどうしようか。こういうのって冷やした方が良いよね。

  いや、まて。まずこのジャムを入れる瓶が無い。事件だぞ。ポーション瓶には入れたくない。なんか違う。ヤバいヤバイ。どうしよう。

  ……!そうだ!
  〔システム〕から……〔システムチャット〕で……

『…………………あ⁉もしもし⁉』

  繋がった瞬間、大声で言う。

 『うわっ!何ですか、唐突に!なんか僕に用ですか?ノア』

  突然の大音量に驚いたようで通話相手は怒った様な声色で応答をする。いや、そんな事を分析している場合じゃない!

 『ちょっとお前なんかジャムとか詰められそうな瓶ある?良い感じの大きさの瓶!』

 『え?ああ、ありますけど掌に少し収まらない位の丁度いいのが』

 『よし!お前今どこだ!』

 『え?シドネスの噴水広場ですが…』

 『絶対そこ動くなよ!”モブル”!』

 『え、ちょっ――――』

  俺は持ち物から急いでアイテムを取りだし、すぐに使用する。

 「一時帰還!『第2の街シドネス』噴水広場へ!」

  宣言した瞬間、俺の右手に持つアイテム【一時帰還玉】が発光し、その場の俺の姿を光にのみ込んだ。その場にはぐつぐつとまだ熱が残っているジャムがあった。


  * * * * * * * * * * * * *


  よっしゃ、着いた!
  モブル、モブル!どこ行きやがったあの野郎!早く帰らなきゃジャムが!

 「あ、ノア!いったい何の―――――」

  モブルを見つけた瞬間、彼のすぐそばに全力疾走し手を掴む。
  そしてそのまま―――――、

 「一時帰還終了!同行者、モブル!」

 「―――――え」

  モブルの惚けた様な声が一瞬聞こえたが、そんな一瞬は時が置いていき、二人の姿は光に包まれ消えていった。


  * * * * * * * * * * * * *

  孤島に帰ると、まずはジャムの生存確認。よし、しっかりあるな!

 「モブル!瓶!」

 「え、あ、ああ、はぁ」

  モブルは言われるがままに、持ち物から瓶を出して良く。俺はその中にジャムを丁寧に流し込んでいく。約4つのジャムが入った瓶が出来た。後は冷やすだけ!

 「モブル!《水魔法》!」

 「え、へ?」

 「〈アクアボール〉とかで良いから!はやくこのジャム冷やして!」

 「あ、あ…〈アクアボール〉」

  その瞬間、水の球体が現れ、その中にモブルは4つの瓶を投入した。瓶の蓋はしっかりと締まっており、水が中に入ることは無いだろう。

  しばらくして、冷えたと思われるジャム瓶を取り出し一呼吸。

 「ふぅ……いやぁ……危ない危ない。助かったー!」

 「おい」

 「ん?」

  安心して料理道具の片付けに入ると、後ろからドスが効いた声が聞こえてきた。

 「説明…してもらおうか……クソ兎…」

  あ、やべ、とんでもねぇもん放置してた。



プレイヤー:ノア
【スキル一覧】
 《ダガー・二刀流》Lv15(↑5UP)《武術》Lv28(↑6UP)
 《影魔法》Lv10(↑4UP)《熟練盗賊》Lv27(↑4UP)
 《空間機動》Lv34(↑5UP)《万能眼》Lv36(↑3UP)《鍛冶》Lv30
《調薬》Lv30《採掘》Lv17《遊泳》Lv50

控えスキル
《釣り》Lv39

スキルポイント:61

【二つ名】
 終焉スキラー・終焉兎

  【称号】
 失敗の経験者・因縁を果たす者・真実を知る者・《怠惰》なる大罪人・歩く厄介箱・不屈・GM泣かせ・禁忌の大罪人

しおりを挟む
感想 53

あなたにおすすめの小説

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

『王家の面汚し』と呼ばれ帝国へ売られた王女ですが、普通に歓迎されました……

Ryo-k
ファンタジー
王宮で開かれた側妃主催のパーティーで婚約破棄を告げられたのは、アシュリー・クローネ第一王女。 優秀と言われているラビニア・クローネ第二王女と常に比較され続け、彼女は貴族たちからは『王家の面汚し』と呼ばれ疎まれていた。 そんな彼女は、帝国との交易の条件として、帝国に送られることになる。 しかしこの時は誰も予想していなかった。 この出来事が、王国の滅亡へのカウントダウンの始まりであることを…… アシュリーが帝国で、秘められていた才能を開花するのを…… ※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています。

【書籍化確定、完結】私だけが知らない

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

シーフードミックス

黒はんぺん
SF
ある日あたしはロブスターそっくりの宇宙人と出会いました。出会ったその日にハンバーガーショップで話し込んでしまいました。 以前からあたしに憑依する何者かがいたけれど、それは宇宙人さんとは無関係らしい。でも、その何者かさんはあたしに警告するために、とうとうあたしの内宇宙に乗り込んできたの。 ちょっとびっくりだけど、あたしの内宇宙には天の川銀河やアンドロメダ銀河があります。よかったら見物してってね。 内なる宇宙にもあたしの住むご町内にも、未知の生命体があふれてる。遭遇の日々ですね。

宿命の御手

日向 白猫
SF
カフェ&バー「Fingers」で働くアーヌラーリウスはある日、不思議な夢を見る。セピア色の海を漂い、そしてそのまま浮き上がる、という妙な夢――。しかし、目覚めるといつも通りの彼の日常が待っていて、漫然とそれに埋もれていく。夢の意味も分からぬまま。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

処理中です...