上 下
9 / 36
第二章 新たな出会い

第八話

しおりを挟む
~ラシード~




『竜の子』が漆黒の竜へと変わった後、シェリは安堵の笑みを浮かべそのまま気を失ってしまった。状況を把握出来ていない状態だったがシェリの安否が第一優先と皆考えが一致し、早急に帝国へ戻る事になった

シェリは約7日間の道中、目を覚ますことはなかった。城に着き治癒師を呼び診てもらったが、眠っているだけで心配ないと言われた

一先ずは安心と言う事だが…あれから今日で10日目になるが目を覚ます様子はない。このまま目覚めないのではないか?

(シェリ…早く目を覚ませ…)

「殿下、シェリ様は…」

「…まだ目覚めない、もしこのまま…」

「殿下!シェリ様はお目覚めになります。殿下がそんな事では目覚めたときシェリ様に笑われますよ?」

「…ふ、そうだな。ありがとうユアン…感謝する」

「えぇ、存分に感謝してくださって結構」

「ハハッ…お前らしい。…それはそうと、その後どうなった?」

「…あぁ、そうでした。ご報告致します。サルマン子爵についてですが…やはり捨て駒でした」

「やはりな……あの狸がたかだか子爵程度の者に『竜の子』の保管を託すのはおかしい。となれば、『竜の子』も託した時点であの状態であったと言う事か…」

「そう考えるのが妥当かと。『竜の子』がこの世界に現れたとなれば、他の『竜の子』も…」

「あぁ…だろうな。問題はそのありかだ。しかし、我らのもとにある『竜の子』を切り捨てたとなると…あ奴らのもとにあると考えねばならんだろう」

「えぇ、そうですね……あぁ、そう言えばジェラルドがお話ししたい事があると言っていましたね。」

ユアンが思い出した様に言った

「ジェラルドがか?」



コン コン



「ラシード殿下」

「礼はいい。話したいことがあると聞いたが…」

「あぁ…シェリちゃんが『竜の子』に触れているとき、シェリちゃんの体に不思議な文様が浮かんでいたんだ」

「文様……?それはどんな模様だったか覚えているか?」

「あぁ、覚えている限りで帝国魔道書保管庫を調べつくしたが手掛かりになるような事は載っていなかった」

「そうか……セオドールには確認したか?」

「それが、一番に確認しようとしたんだが何処にいるのか分からないんだ」

「…居場所が分からない?」

「あぁ、ラシードが知っているかと思ったんが…」

「いや…私はシェリの傍にいたからな…」

何処か悲しげにシェリを見つめる


「…シェリ」


出会った時から心が自覚していた『愛している』と

シェリ…

君に伝えたいんだ…

どうか私のもとへ早く戻って来てくれ
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。

朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない… そんな中、夢の中の本を読むと、、、

嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜

𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。 だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。 「もっと早く癒せよ! このグズが!」 「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」 「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」 また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、 「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」 「チッ。あの能無しのせいで……」 頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。 もう我慢ならない! 聖女さんは、とうとう怒った。

加護を疑われ婚約破棄された後、帝国皇子の契約妃になって隣国を豊かに立て直しました

ファンタジー
幼い頃、神獣ヴァレンの加護を期待され、ロザリアは王家に買い取られて王子の婚約者となった。しかし、侍女を取り上げられ、将来の王妃だからと都合よく仕事を押し付けられ、一方で、公爵令嬢があたかも王子の婚約者であるかのように振る舞う。そんな風に冷遇されながらも、ロザリアはヴァレンと共にたくましく生き続けてきた。 そんな中、王子がロザリアに「君との婚約では神獣の加護を感じたことがない。公爵令嬢が加護を持つと判明したし、彼女と結婚する」と婚約破棄をつきつける。 家も職も金も失ったロザリアは、偶然出会った帝国皇子ラウレンツに雇われることになる。元皇妃の暴政で荒廃した帝国を立て直そうとする彼の契約妃となったロザリアは、ヴァレンの力と自身の知恵と経験を駆使し、帝国を豊かに復興させていき、帝国とラウレンツの心に希望を灯す存在となっていく。 *短編に続きをとのお声をたくさんいただき、始めることになりました。引き続きよろしくお願いします。

【完結】落ちこぼれ聖女だけど黄金の精霊に誘惑されてます〜Sランク聖女と黄金の精霊〜

白崎りか
恋愛
異世界に聖女として召喚されたカナデは、精霊と契約できない落ちこぼれ。 ある日、出会ったのは、金色の美貌を持つ貴族の精霊。 「カナデ、僕の太陽、僕の運命。僕と契約して」 金色の精霊の誘惑に振り回されながら、聖女として成長する物語。 他のサイトにも掲載しています。

公爵令嬢のRe.START

鮨海
ファンタジー
絶大な権力を持ち社交界を牛耳ってきたアドネス公爵家。その一人娘であるフェリシア公爵令嬢は第二王子であるライオルと婚約を結んでいたが、あるとき異世界からの聖女の登場により、フェリシアの生活は一変してしまう。 自分より聖女を優先する家族に婚約者、フェリシアは聖女に嫉妬し傷つきながらも懸命にどうにかこの状況を打破しようとするが、あるとき王子の婚約破棄を聞き、フェリシアは公爵家を出ることを決意した。 捕まってしまわないようにするため、途中王城の宝物庫に入ったフェリシアは運命を変える出会いをする。 契約を交わしたフェリシアによる第二の人生が幕を開ける。 ※ファンタジーがメインの作品です

死に戻り公爵令嬢が嫁ぎ先の辺境で思い残したこと

Yapa
ファンタジー
ルーネ・ゼファニヤは公爵家の三女だが体が弱く、貧乏くじを押し付けられるように元戦奴で英雄の新米辺境伯ムソン・ペリシテに嫁ぐことに。 寒い地域であることが弱い体にたたり早逝してしまうが、ルーネは初夜に死に戻る。 もしもやり直せるなら、ルーネはしたいことがあったのだった。

辺境伯令嬢に転生しました。

織田智子
ファンタジー
ある世界の管理者(神)を名乗る人(?)の願いを叶えるために転生しました。 アラフィフ?日本人女性が赤ちゃんからやり直し。 書き直したものですが、中身がどんどん変わっていってる状態です。

転生したので好きに生きよう!

ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。 不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。 奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。 ※見切り発車感が凄い。 ※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。

処理中です...