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第一章 運命の出会い
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「んっ…」
目を覚ますと、見慣れない天井が広がっていた
「…ここは?」
明らかに自分の部屋ではない事に気づくが、心当たりのない玲は、上半身を起こしながら辺りを見回す。広い室内にはベットのみが置かれていた。黒を基調とした大人の雰囲気漂う部屋に、玲はますます混乱する
―――ガチャ
玲が考え込んでいると、部屋のドアが開いた。ドアの方に視線を向けると、そこに立っていたのは長身の男性で、顔は部屋が薄暗い為に確認できない
「起きたのか?」
少し警戒していた玲だが、艶のある低い声に、思いのほか優しい声の響きと、香ってくる甘い香りに無意識に体の力が抜けていく
「…ここは?」
「俺の家だ。意識が無かったから、そのまま連れてきた」
男性の言葉に、先程まで自分が置かれていた状況を思い出す
「…あっ…」
思い出す度に体の震えが大きくなっていく。恐怖に耐えるよう、自分を抱きしめる様にして、蹲ってしまった玲に影が落ちる
「…安心しろ」
男性はそう言うと、玲を優しく包み込むように抱きしめた。トントンと規則正しく背中を優しく叩かれ、段々と落ち着きを取り戻す玲。男性から香る甘い香りに、安堵を求める様にしがみつく
「…俺は海藤晃だ。お前は?」
しがみつく玲を、甘やかすように頭を撫でる晃
「…小島、玲です」
「…玲」
噛みしめるように言う晃を不思議に思い、顔を上げる。体格の差があるせいか、顔がはっきりと見えない
「あの…海藤さ…」
「晃だ。晃と呼べ」
玲の言葉を遮り、命令口調の晃だったがそこに冷たさなどなかった
「あ、晃さん…が、助けてくれたんですよね?」
「あぁ」
「あの、ありがとうございました」
「当然の事をしたまでだ。気にすることはない」
(どうしてこの人は、こんなに優しいんだろう?それにこの香りはいったい、何?)
「どうしたんだ?」
困惑した表情で見てくる玲を、優しい瞳が見つめる
「…いえ」
(こんな人が番だったら…、幸せなんだろうな…なんて)
そう思った時、目の前に広がる逞しい胸板に気づき、玲は今の状態を思い出した
「わぁっ!ご、ごめんなさい!」
晃にしがみついたままだった為、その距離は完全に0だった。頬を染め、離れようとする玲を、晃は再度抱きしめる
「構わない。気にするな」
「えっ?」
「それよりも玲。匂いに気が付いているか?」
「匂い…?」
再度抱きしめられた事に戸惑う玲をよそに、唐突に晃が言った
「あぁ。玲からは、甘い匂いがする」
「…甘い?…でも俺、香水何てつけて…」
「玲は匂わないか?」
玲の言葉を遮り、晃は確認するように聞いた。言われた言葉に、玲は微かに香る匂いを思い出す
「香水じゃ、ないんですか?」
玲がそう言うと、晃は嬉しそうに目を細めた。途端に強くなる香り
「…あっ…」
再びドクンドクンと、動悸が鳴り始める。強くなる匂いに、呼応するように大きくなる動悸に、玲は胸を抑える様に蹲る
「玲、俺の…俺だけの番」
「…えっ?…ふっ…つ、つが…い?」
とぎれとぎれに言葉を発する玲を、晃は愛おしそうに見つめる
「この時を―――番と出会う事は諦めていたが…玲、こうしてお前と出会えた」
「…え、…な、に?」
玲の声が届いていないのか、恍惚とした表情の晃は、玲の頬に手を添える
「俺から離れる事は、許さない…」
その目には僅かに『狂気』が宿っていた。しかし、玲は、怖いとも逃げたいとも思わなかった
玲の中にあったのは『離さないで』…その狂気のままに、縛って離さないで欲しい、そんな感情だけだった。そして、そうした目で見られている事に喜びを感じていたのだ
自分の知らない一面に困惑する玲をよそに、晃の手は頬から首筋へと降りていく
「お前の全ては俺の為にある…俺の為だけに存在しろ、玲」
「あ、きらさんっ…」
もう、どうしたらいいのかすら考えられなくなっている玲は、晃に身をゆだねる事すらできずにいる
晃の目には『欲情』『狂気』『独占欲』がありありと映っており、その全てが自分に対して向けられている事が、嬉しいと感じる反面、どうしても受け入れられないでいた
それも其の筈であった。玲の今までの人生の中で、向けられたことの無い感情だったのだから。番との出会い、そして恋愛。どれも玲の望んだ事であったが、25年間それらとは無縁で生きてきた。そして初めての発情期と番との出会い。しかも、暗がりではっきりとは確認できないが、それでも整っていると分かる容貌である
全ての事が、突然で信じられないのは仕方ない。だが、晃は待ってはくれない
晃にとっても、やっと出会う事が出来た番なのである
晃の手が再び頬へと添えられ、段々と近くなる距離
「玲…俺だけの…」
「あっきらっさん…!」
少し動いてしまえば触れてしまう程の距離に、玲は焦って声を上げた
「玲…」
「ちょっ…んんっ!!」
激情のままに口づけを交わす。静かな室内には、2人の濃厚な口づけの音だけが響く
初めての口づけに、玲の息は上がる一方だが、晃は抑えきれない感情のままに、行為をやめようとはしない
初めてで、息の仕方など知らない玲は、苦しくて晃の胸を叩く。離れた唇から伝った糸に、恥ずかしさのあまり顔を真っ赤に染めた
そんな玲の反応に煽られ、晃は再び口づけを始める。静かな室内には、2人から漏れる卑猥な音だけが、響いていた
目を覚ますと、見慣れない天井が広がっていた
「…ここは?」
明らかに自分の部屋ではない事に気づくが、心当たりのない玲は、上半身を起こしながら辺りを見回す。広い室内にはベットのみが置かれていた。黒を基調とした大人の雰囲気漂う部屋に、玲はますます混乱する
―――ガチャ
玲が考え込んでいると、部屋のドアが開いた。ドアの方に視線を向けると、そこに立っていたのは長身の男性で、顔は部屋が薄暗い為に確認できない
「起きたのか?」
少し警戒していた玲だが、艶のある低い声に、思いのほか優しい声の響きと、香ってくる甘い香りに無意識に体の力が抜けていく
「…ここは?」
「俺の家だ。意識が無かったから、そのまま連れてきた」
男性の言葉に、先程まで自分が置かれていた状況を思い出す
「…あっ…」
思い出す度に体の震えが大きくなっていく。恐怖に耐えるよう、自分を抱きしめる様にして、蹲ってしまった玲に影が落ちる
「…安心しろ」
男性はそう言うと、玲を優しく包み込むように抱きしめた。トントンと規則正しく背中を優しく叩かれ、段々と落ち着きを取り戻す玲。男性から香る甘い香りに、安堵を求める様にしがみつく
「…俺は海藤晃だ。お前は?」
しがみつく玲を、甘やかすように頭を撫でる晃
「…小島、玲です」
「…玲」
噛みしめるように言う晃を不思議に思い、顔を上げる。体格の差があるせいか、顔がはっきりと見えない
「あの…海藤さ…」
「晃だ。晃と呼べ」
玲の言葉を遮り、命令口調の晃だったがそこに冷たさなどなかった
「あ、晃さん…が、助けてくれたんですよね?」
「あぁ」
「あの、ありがとうございました」
「当然の事をしたまでだ。気にすることはない」
(どうしてこの人は、こんなに優しいんだろう?それにこの香りはいったい、何?)
「どうしたんだ?」
困惑した表情で見てくる玲を、優しい瞳が見つめる
「…いえ」
(こんな人が番だったら…、幸せなんだろうな…なんて)
そう思った時、目の前に広がる逞しい胸板に気づき、玲は今の状態を思い出した
「わぁっ!ご、ごめんなさい!」
晃にしがみついたままだった為、その距離は完全に0だった。頬を染め、離れようとする玲を、晃は再度抱きしめる
「構わない。気にするな」
「えっ?」
「それよりも玲。匂いに気が付いているか?」
「匂い…?」
再度抱きしめられた事に戸惑う玲をよそに、唐突に晃が言った
「あぁ。玲からは、甘い匂いがする」
「…甘い?…でも俺、香水何てつけて…」
「玲は匂わないか?」
玲の言葉を遮り、晃は確認するように聞いた。言われた言葉に、玲は微かに香る匂いを思い出す
「香水じゃ、ないんですか?」
玲がそう言うと、晃は嬉しそうに目を細めた。途端に強くなる香り
「…あっ…」
再びドクンドクンと、動悸が鳴り始める。強くなる匂いに、呼応するように大きくなる動悸に、玲は胸を抑える様に蹲る
「玲、俺の…俺だけの番」
「…えっ?…ふっ…つ、つが…い?」
とぎれとぎれに言葉を発する玲を、晃は愛おしそうに見つめる
「この時を―――番と出会う事は諦めていたが…玲、こうしてお前と出会えた」
「…え、…な、に?」
玲の声が届いていないのか、恍惚とした表情の晃は、玲の頬に手を添える
「俺から離れる事は、許さない…」
その目には僅かに『狂気』が宿っていた。しかし、玲は、怖いとも逃げたいとも思わなかった
玲の中にあったのは『離さないで』…その狂気のままに、縛って離さないで欲しい、そんな感情だけだった。そして、そうした目で見られている事に喜びを感じていたのだ
自分の知らない一面に困惑する玲をよそに、晃の手は頬から首筋へと降りていく
「お前の全ては俺の為にある…俺の為だけに存在しろ、玲」
「あ、きらさんっ…」
もう、どうしたらいいのかすら考えられなくなっている玲は、晃に身をゆだねる事すらできずにいる
晃の目には『欲情』『狂気』『独占欲』がありありと映っており、その全てが自分に対して向けられている事が、嬉しいと感じる反面、どうしても受け入れられないでいた
それも其の筈であった。玲の今までの人生の中で、向けられたことの無い感情だったのだから。番との出会い、そして恋愛。どれも玲の望んだ事であったが、25年間それらとは無縁で生きてきた。そして初めての発情期と番との出会い。しかも、暗がりではっきりとは確認できないが、それでも整っていると分かる容貌である
全ての事が、突然で信じられないのは仕方ない。だが、晃は待ってはくれない
晃にとっても、やっと出会う事が出来た番なのである
晃の手が再び頬へと添えられ、段々と近くなる距離
「玲…俺だけの…」
「あっきらっさん…!」
少し動いてしまえば触れてしまう程の距離に、玲は焦って声を上げた
「玲…」
「ちょっ…んんっ!!」
激情のままに口づけを交わす。静かな室内には、2人の濃厚な口づけの音だけが響く
初めての口づけに、玲の息は上がる一方だが、晃は抑えきれない感情のままに、行為をやめようとはしない
初めてで、息の仕方など知らない玲は、苦しくて晃の胸を叩く。離れた唇から伝った糸に、恥ずかしさのあまり顔を真っ赤に染めた
そんな玲の反応に煽られ、晃は再び口づけを始める。静かな室内には、2人から漏れる卑猥な音だけが、響いていた
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