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「初めまして、ミナです。体とか、違和感ないですか?」
「だ、大丈夫です…」
そう答えてくれたのは、ゴブリン討伐の時に救出した女性だった
異空間に、助け出した女性4人を隔離してから一年以上たっていたのを思い出し、確認してみたら、体も綺麗に治っていて、精神も安定している状態だった
これなら「スリープ」の魔法を解除しても問題は無いだろうと判断して、異空間から彼女達を出したって訳だね
目覚めた彼女達は、戸惑いはしたものの、ちゃんとした受け答えも出来ていたから、ホッとした。ゴブリンに捕まってしまった女性は、廃人になってしまうって聞いていたからね。いくら魔法で安定させたからって言っても、安心は出来なかったから
それから、彼女たちは戸惑っていたけれど、取り敢えずお互いに自己紹介をしようって事になった
「初めまして。私はミナって言います」
「ワシはダゴと言う」
「俺はメズルだ。宜しくな」
「お、おらはア、アズダス…」
まずはこちらからと思って、私を皮切りにみんな挨拶をすると、4人の目線はドワーフ3兄弟にくぎ付けだった
「ま、まさか…ドワーフ…?」
「え、あれっておとぎ話じゃなかったんですか?」
「あぁ。ワシ等はドワーフで間違いないぞ。それにドワーフは普通に沢山いるぞ?」
「そうだな。ただ、閉鎖国家だからな。極端に他種族を受け入れる事に消極的で、と言った方が良いのか…」
「違いないな。だから、人族にとっては珍しい事は間違っていない」
「そっかぁ…でも!滅多に見れない?ドワーフに逢えた私って―――凄くない?」
彼女たちの中で、一番若い女の子が、少々―――いや、かなりのドヤ顔で言った
「プッ!」
その満ち溢れている、変な?自信に満ちた顔を見ていると、思わずふいてしまったよ
「ゴホンッ…」
ツボに入ってしまった笑いは、とても恐ろしいものだ
何とか息を整えて、話を再開
「ごめんね、笑ったりして―――ンンッ…で、自己紹介を頼めるかな?」
「あっ、そうでした!私はミーシャって言います!」
先程の女の子、ミーシャが言った。髪は元々ショートだったのか、伸びきった赤い髪は不ぞろいだった。伸びた前髪に隠れてはいるが、可愛らしい顔をしている。元気で素朴。だけどその明るい性格は、場の雰囲気を和ませる、そんな不思議な力を持っている子だった
「うちはセレネ。ゴブリンに襲われた記憶はある。あんた――いや、ミナが助けてくれたんだろう?ありがとうな」
セレネも元はショートだったのか、茶色い髪は伸びきって不ぞろいだ。そして、ミーシャとは対照的に、綺麗な顔をしている。いわゆる美人さんだ。でも、性格は女性らしいとは反対で、男勝りなんだろうと思われる
「私はカレンと言います。助けて頂いた様で、ありがとうございます」
セレネがスレンダー美人なのに対し、カレンは豊満ボディの美人さんだ。カレンは元々ロングヘアーだったのか、ハチミツ色の髪に違和感は無かった。おっとりとした性格の様だが―――どうも、少し天然であるような、そんな気配がする人だった
「最後は私だね。ミレイだよ。ミナ、本当にありがとう」
この中で、きっと一番のしっかり者であろうミレイが、深く頭を下げた
「え!?そ、そんな事しなくていいよ!」
「いいや。ゴブリンに襲われて、洞窟に連れて行かれた事は、はっきりと覚えている。だけど、その後の事は、何も覚えていないんだ。ここにいる皆も、ゴブリンに捕まった後、どうなるかって事くらいは分かっているつもりだ」
ミレイがそう言うと、和やかな雰囲気を出していた、他の3人は俯いてしまった
「子を産むための―――道具にされる。相手は魔物だ。悲惨な事になる事は、想像できる」
そう言って、ミレイは自分の髪を触った。金色の髪は不ぞろいに伸びきっていた
「この髪を見て、囚われていた期間は、きっと長かった筈だ。そんな長い間、恥辱され続けていたなら、気が触れていてもおかしくは無い」
「そ、それは…」
まさにミレイの言う通りだったから、言葉に詰まってしまう
「それなのに、私達は正気を保てている。ミナ、ミナが記憶を消してくれたんだろう?」
4人の視線が刺さる。彼女たちの為にも、言いたくなかったけれど、ここまで言われてしまえば、隠すのは無理だし、何より彼女達との間にわだかまりが生まれてしまう
「うん。ごめんね?記憶を消す何て大事な事、本人に確認もせずに勝手にしてしまって」
これで、嫌われたり拒絶される可能性もあるけれど、こればかりはどうしようもなかった
「だ、大丈夫です…」
そう答えてくれたのは、ゴブリン討伐の時に救出した女性だった
異空間に、助け出した女性4人を隔離してから一年以上たっていたのを思い出し、確認してみたら、体も綺麗に治っていて、精神も安定している状態だった
これなら「スリープ」の魔法を解除しても問題は無いだろうと判断して、異空間から彼女達を出したって訳だね
目覚めた彼女達は、戸惑いはしたものの、ちゃんとした受け答えも出来ていたから、ホッとした。ゴブリンに捕まってしまった女性は、廃人になってしまうって聞いていたからね。いくら魔法で安定させたからって言っても、安心は出来なかったから
それから、彼女たちは戸惑っていたけれど、取り敢えずお互いに自己紹介をしようって事になった
「初めまして。私はミナって言います」
「ワシはダゴと言う」
「俺はメズルだ。宜しくな」
「お、おらはア、アズダス…」
まずはこちらからと思って、私を皮切りにみんな挨拶をすると、4人の目線はドワーフ3兄弟にくぎ付けだった
「ま、まさか…ドワーフ…?」
「え、あれっておとぎ話じゃなかったんですか?」
「あぁ。ワシ等はドワーフで間違いないぞ。それにドワーフは普通に沢山いるぞ?」
「そうだな。ただ、閉鎖国家だからな。極端に他種族を受け入れる事に消極的で、と言った方が良いのか…」
「違いないな。だから、人族にとっては珍しい事は間違っていない」
「そっかぁ…でも!滅多に見れない?ドワーフに逢えた私って―――凄くない?」
彼女たちの中で、一番若い女の子が、少々―――いや、かなりのドヤ顔で言った
「プッ!」
その満ち溢れている、変な?自信に満ちた顔を見ていると、思わずふいてしまったよ
「ゴホンッ…」
ツボに入ってしまった笑いは、とても恐ろしいものだ
何とか息を整えて、話を再開
「ごめんね、笑ったりして―――ンンッ…で、自己紹介を頼めるかな?」
「あっ、そうでした!私はミーシャって言います!」
先程の女の子、ミーシャが言った。髪は元々ショートだったのか、伸びきった赤い髪は不ぞろいだった。伸びた前髪に隠れてはいるが、可愛らしい顔をしている。元気で素朴。だけどその明るい性格は、場の雰囲気を和ませる、そんな不思議な力を持っている子だった
「うちはセレネ。ゴブリンに襲われた記憶はある。あんた――いや、ミナが助けてくれたんだろう?ありがとうな」
セレネも元はショートだったのか、茶色い髪は伸びきって不ぞろいだ。そして、ミーシャとは対照的に、綺麗な顔をしている。いわゆる美人さんだ。でも、性格は女性らしいとは反対で、男勝りなんだろうと思われる
「私はカレンと言います。助けて頂いた様で、ありがとうございます」
セレネがスレンダー美人なのに対し、カレンは豊満ボディの美人さんだ。カレンは元々ロングヘアーだったのか、ハチミツ色の髪に違和感は無かった。おっとりとした性格の様だが―――どうも、少し天然であるような、そんな気配がする人だった
「最後は私だね。ミレイだよ。ミナ、本当にありがとう」
この中で、きっと一番のしっかり者であろうミレイが、深く頭を下げた
「え!?そ、そんな事しなくていいよ!」
「いいや。ゴブリンに襲われて、洞窟に連れて行かれた事は、はっきりと覚えている。だけど、その後の事は、何も覚えていないんだ。ここにいる皆も、ゴブリンに捕まった後、どうなるかって事くらいは分かっているつもりだ」
ミレイがそう言うと、和やかな雰囲気を出していた、他の3人は俯いてしまった
「子を産むための―――道具にされる。相手は魔物だ。悲惨な事になる事は、想像できる」
そう言って、ミレイは自分の髪を触った。金色の髪は不ぞろいに伸びきっていた
「この髪を見て、囚われていた期間は、きっと長かった筈だ。そんな長い間、恥辱され続けていたなら、気が触れていてもおかしくは無い」
「そ、それは…」
まさにミレイの言う通りだったから、言葉に詰まってしまう
「それなのに、私達は正気を保てている。ミナ、ミナが記憶を消してくれたんだろう?」
4人の視線が刺さる。彼女たちの為にも、言いたくなかったけれど、ここまで言われてしまえば、隠すのは無理だし、何より彼女達との間にわだかまりが生まれてしまう
「うん。ごめんね?記憶を消す何て大事な事、本人に確認もせずに勝手にしてしまって」
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