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損傷の激しい遺体は、幸いにも無かった
ディーは、並んでいる遺体に向かって、息を吹きかける。すると、遺体のキズは、見る間に綺麗になって行った
『逆戻』
ディーが唱えると、遺体が光だす。光は、暫くの間、光り続けて消えた。そして、それは起こった
何と、亡くなった人たちが、目を開け、息をし始めた
「そ、そんな…!」
「こんな、こんな事…」
そう言う冒険者たちの声は、震えていた。絶望にではなく、歓喜に
「奇跡だ…」
次々と起き上がる人々。奇跡が起きたと喜ぶ、人々。悲しみは、一瞬にして、歓喜に変わっていた
涙を流し、抱き合う人々を見て、この町は、暖かい人達が多いんだなと、思った。うわべだけの付き合いではなく、街の皆が、家族であり、友人でもある。そんな関係って、良いよね
少し、うるっとしていると、ギドさんが話しかけてきた
「ミナ、それから…ディー殿。感謝する!」
ガバッと頭を下げるギドさん。地面には、小さな水の跡があった
暫く何も言わずに頭を下げていたギドさんが、頭を上げた。その顔には、先程までの暗い感情はみられなかった
「しかし、ディー殿はいったい何者なんだ?いくら、上位の聖獣だとしても、死んだ者を生き返らせるなんて事、可能なはずはないのだが…」
『我は、最上位の聖獣であり、「帝」を冠する者。我が司るは「時」。故に、生き返らせたのではなく、時を巻き戻しただけだ』
「え、帝の名称を持ってる聖獣は、何かを司ってもいるの?」
『左様だ。我は「時」、そして、そこの者は「闇」だ』
ディーが、クロを見ながら言った
『しかし、「闇」は「光」と対のはずだが…』
「あ、ハクは留守番してもらってるんだ」
『ふむ…ハクと申すのだな』
「うん。で、この子がクロだよ」
『クロと言う。宜しく頼む』
『ふむ。我はディスタイン。ミナからは、ディーと呼ばれておる。良しなに頼む』
うん。何か仲良く出来そうな雰囲気で、安心した
「帝…どこかで聞いた事があるような…帝、帝…み、帝!?」
考え込んでいたギドさんが、急にハッとして叫んだ
「帝って、あの、おとぎ話に出て来る、帝、なのか?」
『ふむ。人の世のおとぎ話は、知らぬが。その認識で間違いは無いだろう』
「まじか…」
ギドさんは、ディーとクロをまじまじと見た後、何故か私を見て、ため息をついた
「帝が従魔って…ミナ、お前はいったい…」
「え?あー、グラハムさんから聞いてませんか?」
「あいつからは、あらかた聞いてるよ。それにしても、規格外すぎるんだよ、ミナは…まぁ、良いさ。グラハムからは、ミナの生きたいようにさせたいから、協力してやって欲しいと言われている。俺としても、その意見に賛成だな。ミナ、お前は凄い力を持っている。勿論その従魔もな。この力の事を知れば、なんとしても引きこもうとする輩が出て来るのは必須だ。だが、お前の力は、そんな奴らの良いようにさせちゃぁいけない力だ。お前ならば、正しく使えるだろう。好きにやると良い。協力は惜しまないぞ」
「ありがとうございます。実は、私が住んでいるのは、アークスベルト大陸なんです。なので、頻繁にお世話になると思いますので、宜しくお願いしますね!」
「あぁ!そうか、アークスベルトに……って、えぇ!!!?ア、アークスベルト大陸に、す、住んでるだって!?」
ディーは、並んでいる遺体に向かって、息を吹きかける。すると、遺体のキズは、見る間に綺麗になって行った
『逆戻』
ディーが唱えると、遺体が光だす。光は、暫くの間、光り続けて消えた。そして、それは起こった
何と、亡くなった人たちが、目を開け、息をし始めた
「そ、そんな…!」
「こんな、こんな事…」
そう言う冒険者たちの声は、震えていた。絶望にではなく、歓喜に
「奇跡だ…」
次々と起き上がる人々。奇跡が起きたと喜ぶ、人々。悲しみは、一瞬にして、歓喜に変わっていた
涙を流し、抱き合う人々を見て、この町は、暖かい人達が多いんだなと、思った。うわべだけの付き合いではなく、街の皆が、家族であり、友人でもある。そんな関係って、良いよね
少し、うるっとしていると、ギドさんが話しかけてきた
「ミナ、それから…ディー殿。感謝する!」
ガバッと頭を下げるギドさん。地面には、小さな水の跡があった
暫く何も言わずに頭を下げていたギドさんが、頭を上げた。その顔には、先程までの暗い感情はみられなかった
「しかし、ディー殿はいったい何者なんだ?いくら、上位の聖獣だとしても、死んだ者を生き返らせるなんて事、可能なはずはないのだが…」
『我は、最上位の聖獣であり、「帝」を冠する者。我が司るは「時」。故に、生き返らせたのではなく、時を巻き戻しただけだ』
「え、帝の名称を持ってる聖獣は、何かを司ってもいるの?」
『左様だ。我は「時」、そして、そこの者は「闇」だ』
ディーが、クロを見ながら言った
『しかし、「闇」は「光」と対のはずだが…』
「あ、ハクは留守番してもらってるんだ」
『ふむ…ハクと申すのだな』
「うん。で、この子がクロだよ」
『クロと言う。宜しく頼む』
『ふむ。我はディスタイン。ミナからは、ディーと呼ばれておる。良しなに頼む』
うん。何か仲良く出来そうな雰囲気で、安心した
「帝…どこかで聞いた事があるような…帝、帝…み、帝!?」
考え込んでいたギドさんが、急にハッとして叫んだ
「帝って、あの、おとぎ話に出て来る、帝、なのか?」
『ふむ。人の世のおとぎ話は、知らぬが。その認識で間違いは無いだろう』
「まじか…」
ギドさんは、ディーとクロをまじまじと見た後、何故か私を見て、ため息をついた
「帝が従魔って…ミナ、お前はいったい…」
「え?あー、グラハムさんから聞いてませんか?」
「あいつからは、あらかた聞いてるよ。それにしても、規格外すぎるんだよ、ミナは…まぁ、良いさ。グラハムからは、ミナの生きたいようにさせたいから、協力してやって欲しいと言われている。俺としても、その意見に賛成だな。ミナ、お前は凄い力を持っている。勿論その従魔もな。この力の事を知れば、なんとしても引きこもうとする輩が出て来るのは必須だ。だが、お前の力は、そんな奴らの良いようにさせちゃぁいけない力だ。お前ならば、正しく使えるだろう。好きにやると良い。協力は惜しまないぞ」
「ありがとうございます。実は、私が住んでいるのは、アークスベルト大陸なんです。なので、頻繁にお世話になると思いますので、宜しくお願いしますね!」
「あぁ!そうか、アークスベルトに……って、えぇ!!!?ア、アークスベルト大陸に、す、住んでるだって!?」
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