上 下
25 / 68

25

しおりを挟む
ゴゴゴゴゴゴオオォォォ

まさに地響き。そんな表現が合う。その音は、徐々に、だが確実に近づいてきていた

「こ、これ上手くいくよね!?だ、大丈夫だよね!?」

『主、心配するな。上手くいく』

「わ、分かった!」

深呼吸をして、前を見据える。キュラスはもう目前に迫っていた。その数は、終わりが見えない程だった

「こ、こんなにいるの!?」

キュラスは、わき目も振らずに、真っ直ぐに向かってくる。その光景は異様で、恐ろしいものだった

とうとう目の前まで迫ったキュラスは、速度も落とさずに、真っ直ぐに向かってくる。そして、空間の中に入ったキュラスは、まるで、下におちて行くかの様に、どんどん空間の中に消えていった

「う、上手くいったよ!」

仲間が消えていくにも関わらず、進行を止める事無く、その結果、大量のキュラスの捕獲に成功。空間に吸い込まれたキュラスは、今頃毒によって死んでいるだろう

数十分後、全てのキュラスが空間に入ると、静けさが戻って来る

「終わった。キュラスの証拠部位はどうしようか」

『数も多いし、面倒だ。このままギルドに持っていけばいいだろう』

『私もそれが良いと思います。ここは空気が悪いです。その子にも良くない。早く出た方が良いでしょう』

懐に入れていた子は、未だ穏やかな寝息を立てている

「そうだね。早くちゃんと休ませてあげないとだし」

私は、空間に入っているキュラスを、収納に移し地下を出た

薄暗い路地裏を抜けて、賑やかな町の中を歩く事数分。ギルドについて中に入り、ニスカさんの元へ行く

「お帰りなさい。思っていた通り、今回もお早いお帰りでしたね」

苦笑いしながら、言うニスカさんに、照れていいのか、そうではないのか複雑な心境だが、報告をしないとね

「えーと、依頼の証拠部位が分からなかった魔物は、そのまま持って来たんですが、良かったですか?」

「問題ありません。ちなみに大きいものですか?」

「はい。あと、数も大量です」

「では、解体場まで移動をお願いします」

そう言ってニスカさんは立ち上がり、案内してくれる。着いた場所は、試験場と同じような作りの建物で、中も殆ど同じだった

違う事と言えば、職人の様な恰好をした人が、何人もいて、魔物を解体した後の素材も山積みになっている事だろうか

「ガースさん!ちょっといいですか?」

ニスカさんに呼ばれた男性、ガースさんは立派な体格をした、グラハムに負けず劣らずの強面の人だった

「なんだ!俺ぁ今忙しいんだ!」

「解体の依頼ですよ!」

「解体だと!?早く言え!それで、ブツは何処だ?」

凶悪な顔でそう言ったガースさんは、その道の人だと錯覚してしまいそうな程、悪い顔をしていた

「ミナさん。彼は解体場の長で、ガースさんです。見ての通り、解体の腕は一番ですが、解体に対する異常な程の熱意も一番です」

褒めているのか、そうでないのか、そう言ったニスカさんの顔は、無表情で、疲れた様な表情だった
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

魔女の祝福

あきづきみなと
恋愛
王子は婚約式に臨んで高揚していた。 長く婚約を結んでいた、鼻持ちならない公爵令嬢を婚約破棄で追い出して迎えた、可憐で愛らしい新しい婚約者を披露する、その喜びに満ち、輝ける将来を確信して。 予約投稿で5/12完結します

異世界の片隅で引き篭りたい少女。

月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!  見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに 初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、 さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。 生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。 世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。 なのに世界が私を放っておいてくれない。 自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。 それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ! 己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。 ※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。 ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。  

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます

里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。 だが実は、誰にも言えない理由があり…。 ※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。 全28話で完結。

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

処理中です...