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太湖について、ダルゴラン様を呼ぼうとした時、湖のすぐ側に、3人の子供がいるのを発見。ここはとても危険な大陸なのに、子供だけでここまで来るなんて、と思い話しかけてみる事に
「あの、君たちこんな所で何してるの?」
そう言うと、こちらを恐る恐る振り返る3人
「え…?」
子供だと思っていた私は、驚愕する事になる。振り返った3人は、壮年の男性だったのだから。これっていわゆる『ドワーフ』と呼ばれる人達?
「あ、すみません。子供かと思って…」
「あ、いや。気にしないでくれ」
しばしの沈黙が続く
「いや、すまない。ワシは、ダゴと言う」
「俺は、メズルだ」
「ア、アズダス」
彼等は兄弟らしい。ダゴさんが長男で、メズルさんが次男。そして、アズダスさんが三男。どうやら、ここに居るのには、事情があるらしい
彼らはドワーフの一族で、この世界にはドワーフだけが住む国があるらしい。それが、南西の島にある『エグダリオ王国』だ
エグダリオ王国は閉鎖国家であり、国で作られる物やドワーフの技術は守られ国外に出る事はない。これは、国の法律で決められており、これを犯した者は重い罪に問われてしまう
そして、この国で一番重い刑は『国外追放』であるらしい
「どうして国外追放が重い罰になるの?」
疑問はもっともだった。例え国を追放されたとしても、生きるすべを知っている者ならば、結果として何処にいても生きて行けるものなのだ
「…ワシ等はエグダリオの事しか知らないんだ。これはエグダリオ以外の事を、知らない事になる」
ダゴさんが、苦虫を噛み潰したような顔で言った
「…エグダリオを追放されて、俺たちは改めて気づいた。俺たちがエグダリオでやっていた事の大半は、外の世界では通用しない」
ため息をつきながら、メズルさんも続いた
「それにな、ドワーフは国から出る事は無い。その為か、他の国、いや人間にしてみれば、希少な種族になるんだ。しかも、ドワーフは高い技術を持っている。それを欲しがる者もいる。要は、ドワーフにとって、国の外は危険が一杯って訳だ」
「だから、目立たない様に。見つからない様に、ここまで来たって訳だ。ここは、どの国も不可侵で通してる。人間に見つかる事はないと、踏んでな」
「そんな…だから、私が声をかけた時、あんなに警戒していたんですね」
「すまんな」
人は欲深いものだ。欲しいものはどんな手段を使っても、手に入れようとする。そこに命の有無は関係ないのだ
「こ、ここまでたどり着けたのは、ほ、本当に奇跡だよ」
アズダスさんが、怯えながら言った。道中、恐ろしい思いをしたのだろう
「でも、何で追放に?私には、3人が悪い事するようには、見えないんだけど…」
「あぁ!ワシ等は何もしとらんさ!あいつらに…アルゴとロダンに嵌められたんだ!!」
拳を握りしめ、怒りに震えるダゴさんの肩をたたき、メズルさんが事の経緯を話し出した
―――3人はエグダリオ王国の中でも、かなり腕のいい職人であった。そして、3人をライバル視していたのが、アルゴとロダンの兄弟であった
仕事が終わり、自宅への帰り道。三人が目にしたのは、アルゴとロダンが国外の人間と密輸をしている現場だった
3人はすぐさまアルゴ達に詰め寄り、自首をする様に言った。しないのであれば、報告をすると言って
アルゴ達は分かったと言ったが、翌日ダゴ達の自宅に兵が来て、捕まった。国王を含め、裁判が開かれたが、アルゴ達の証言と出された証拠に、有罪判決が下され国外追放となったのだ
「…俺たちが甘すぎたんだ。奴らの言葉を鵜呑みにしてっ!」
メズルさんは、悔しそうに唇をかみしめる
「で、でも幼馴染だし…それで…」
アズダスさんは、泣きながら言った。『信じたのだ』と
何とも言えない気持ちになる。経験した事、された事は似ている様で、まったく違うけれど、抱いた気持ちは全く同じだった
『裏切られた』
それはとても辛く、苦しい感情だ
「あの、君たちこんな所で何してるの?」
そう言うと、こちらを恐る恐る振り返る3人
「え…?」
子供だと思っていた私は、驚愕する事になる。振り返った3人は、壮年の男性だったのだから。これっていわゆる『ドワーフ』と呼ばれる人達?
「あ、すみません。子供かと思って…」
「あ、いや。気にしないでくれ」
しばしの沈黙が続く
「いや、すまない。ワシは、ダゴと言う」
「俺は、メズルだ」
「ア、アズダス」
彼等は兄弟らしい。ダゴさんが長男で、メズルさんが次男。そして、アズダスさんが三男。どうやら、ここに居るのには、事情があるらしい
彼らはドワーフの一族で、この世界にはドワーフだけが住む国があるらしい。それが、南西の島にある『エグダリオ王国』だ
エグダリオ王国は閉鎖国家であり、国で作られる物やドワーフの技術は守られ国外に出る事はない。これは、国の法律で決められており、これを犯した者は重い罪に問われてしまう
そして、この国で一番重い刑は『国外追放』であるらしい
「どうして国外追放が重い罰になるの?」
疑問はもっともだった。例え国を追放されたとしても、生きるすべを知っている者ならば、結果として何処にいても生きて行けるものなのだ
「…ワシ等はエグダリオの事しか知らないんだ。これはエグダリオ以外の事を、知らない事になる」
ダゴさんが、苦虫を噛み潰したような顔で言った
「…エグダリオを追放されて、俺たちは改めて気づいた。俺たちがエグダリオでやっていた事の大半は、外の世界では通用しない」
ため息をつきながら、メズルさんも続いた
「それにな、ドワーフは国から出る事は無い。その為か、他の国、いや人間にしてみれば、希少な種族になるんだ。しかも、ドワーフは高い技術を持っている。それを欲しがる者もいる。要は、ドワーフにとって、国の外は危険が一杯って訳だ」
「だから、目立たない様に。見つからない様に、ここまで来たって訳だ。ここは、どの国も不可侵で通してる。人間に見つかる事はないと、踏んでな」
「そんな…だから、私が声をかけた時、あんなに警戒していたんですね」
「すまんな」
人は欲深いものだ。欲しいものはどんな手段を使っても、手に入れようとする。そこに命の有無は関係ないのだ
「こ、ここまでたどり着けたのは、ほ、本当に奇跡だよ」
アズダスさんが、怯えながら言った。道中、恐ろしい思いをしたのだろう
「でも、何で追放に?私には、3人が悪い事するようには、見えないんだけど…」
「あぁ!ワシ等は何もしとらんさ!あいつらに…アルゴとロダンに嵌められたんだ!!」
拳を握りしめ、怒りに震えるダゴさんの肩をたたき、メズルさんが事の経緯を話し出した
―――3人はエグダリオ王国の中でも、かなり腕のいい職人であった。そして、3人をライバル視していたのが、アルゴとロダンの兄弟であった
仕事が終わり、自宅への帰り道。三人が目にしたのは、アルゴとロダンが国外の人間と密輸をしている現場だった
3人はすぐさまアルゴ達に詰め寄り、自首をする様に言った。しないのであれば、報告をすると言って
アルゴ達は分かったと言ったが、翌日ダゴ達の自宅に兵が来て、捕まった。国王を含め、裁判が開かれたが、アルゴ達の証言と出された証拠に、有罪判決が下され国外追放となったのだ
「…俺たちが甘すぎたんだ。奴らの言葉を鵜呑みにしてっ!」
メズルさんは、悔しそうに唇をかみしめる
「で、でも幼馴染だし…それで…」
アズダスさんは、泣きながら言った。『信じたのだ』と
何とも言えない気持ちになる。経験した事、された事は似ている様で、まったく違うけれど、抱いた気持ちは全く同じだった
『裏切られた』
それはとても辛く、苦しい感情だ
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