召喚アラサー女~ 自由に生きています!

マツユキ

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太湖から、我が家へと帰って来た。相変わらず、穏やかである。外にある椅子に座り、目を閉じた

「…はぁ、この世界に来た時、どうなる事かと思ったけど。この大陸に来れて、本当に良かったよ」

『そう言えば。主が、異界者と言う事は知っていますが、こちらに来た当初の事は、聞いていませんでした』

『確かに。そんなに酷かったのか?』

「ふぅー…、うん。酷かったと思うよ。召喚されたのは王宮だったんだけど、その後、無能と言われて牢屋に入れられてね。そこから、脱走して。後は、知っての通りだよ」

『―――牢屋、だと?』

「えっ、う、うん…」

クロの声が、一段も二段も低くなり、気のせいだろうか、唸り声も聞こえる様な…

『いったい、誰が、そんな事を?』

声は至って普通。しかし、わざわざ一言一言、言葉を区切って、ハクは言った。顔は動物だけど、これは
あれだよ。笑っているけど、目は笑っていないってやつだ

「お、王子?にだよ…でも、もう大丈夫だから、ね?」

『――分かった。良いだろう』

『主がそうおっしゃるならば』

何とか納得してくれた。多分、きっと


あのあと、お風呂に入って食事をして、眠りに入っていった



――――



『主は眠ったか?』

『はい、兄上。行かれるのですか?』

『あぁ、忠告と牽制にな。ハクは主を頼む』

『承知しました』

クロは静かに立ち上がり、霧の様に消えたのだった




―――ティルファイア王国 執務室


「陛下、夜も更けって参りました。もうお休みになられては」

「…そうだな。いくら処理しても、減ることのない紙切れ達だ」

「…陛下」

ティルファイア王国の現王である、サウスト・キルグ・ティルファイア。彼は若くして王座につき、国の為、民の為に尽力してきた

民もサウストを賢王と言い、信頼と言う名の愛を返していた。この国の民の中で、サウストの事を悪く言う者は誰一人いない程だ

そんなサウストが王に即位した時、王妃となったのが、ヒューレイだった。彼女は侯爵家の令嬢で、サウストが王に即位する前からの婚約者であった

サウストと同様に、ヒューレイも国と民の為に尽力し、民に賢王、賢后として愛されている

そんな二人にも問題はあった。婚礼を挙げて、5年が経った今でも、子が出来ないのだ。大臣達からは、側室を娶れと、毎日の様に言われていたサウスト

しかし、ヒューレイを心から愛していたサウストは、側室は娶らないと、撥ね付けていた。側室を娶れば、どうなるか等、手に取るように分かっていたし、ヒューレイの立場が危うくなるのは目に見えている

考えに悩んだ結果、サウストは年が親子程に離れた異母弟を、自身の養子に迎える事にしたのだ。前王は多くの側室を娶り、子も沢山いたが、殆どの側室は気位が高く高慢であった。だが、異母弟の母だけはとても穏やかで、自分の立場をわきまえ王妃を慕っていた

養子にと話した時も、異母弟の5歳と言う幼すぎる年齢と、王宮での暮らしに難色を示したが、最終的には快く了承してくれたのだ

そんな異母弟、ステフも今年で16になる

「…ステフは、王子はちゃんとやっているか?」

「…は、」

宰相であり、幼なじみのラスディノが答えようとした時、執務室は淡い光に包まれた

「なっ!?」

ラスディノは突然の事に、一瞬固まってしまったが、すぐにサウストの前に立ち攻撃体勢をとる

『人間よ、そう警戒するな』

「…あ、貴方は!」

光がおさまり、ラスディノは来訪者を見ると、驚きに声をあげる

「ま、まさか伝説の聖獣…帝狼エンペラー・ウルフ、なのですか?」

恐る恐る問うラスディノ

「…黒き大狼…」

サウストは唖然としてた

『良くわかったな。我は黒狼帝ブラック・ウルフ・エンペラーだ』
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