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叫んだ直後、地鳴りが始まり水面に波紋が出来始め、平面だったそれが小山程の高さまで盛り上がる

「へっ?」

盛り上がった水面から甲羅が見え、遂にそれは姿を露にする

山程に大きな体は硬い甲羅に覆われ、長く伸びた首に、長く生きているであろう事が分かる程、圧倒的なオーラを放っていた

顎から伸びた長い髭と同様に長い眉毛は白く、穏やかで優しい目をしている。姿は正に亀だが、仙人の様な雰囲気をもった魔物だった

『儂を呼んだのは、そこな女子おなごか?』

ダルゴラン様が言葉を紡ぐ度に、空気が震え、大地が鳴いた

『…聞こえておらぬのか?』

ポカンとしたままの私に、ダルゴラン様は不思議そうに問いかけてくる

「…はっ!あ、すみません!私で間違いありません!」

『して、何用だ?』

「は、初めまして、私は異世界から来た、ミナと言います!今日はダルゴラン様にお願いがあって来ました!」

『異世界とな…ふむ、して願いとは?』

ダルゴラン様に、召喚されてからアークスベルト大陸に、住むと決めた事までの経緯を話した

「ダルゴラン様に、挨拶をと思って、伺いました」

『…ふむ、承知した。好きにするがよい―――おぉ、儂からも条件を出してもよいかの?』

「へっ?も、もちろんです!」

『フォッフォッフォッ。なぁに、たまにでよい。話し相手になって欲しくてな。そなたの故郷の、話をきかせておくれ』

「え!また来ても良いんですか?!」

『何時でもくると良い』

ダルゴラン様は目を細めた。私を見るその目は、まるで孫でも見ているかの様に優しかった

私も同様に、ダルゴラン様に対し、大好きだった祖父の面影を重ねていた。だって、ダルゴラン様って、見た目は亀?の魔物だけど、おじいちゃんみたいなんだもの

ダルゴラン様に、無事許可を貰う事が出来て、ホッとした

「ダルゴラン様!ありがとうございました!また来ますね!」

暫くの間、他愛もない事を話した後、ダルゴラン様に大きく手を振り、別れの挨拶をする

『何時でも来るがよい』

ダルゴラン様はそう言うと、来た時とは反対に、静かに太湖の中へと帰って行った

「いやー、良い人だったね。ダルゴラン様」

ホクホクとした様子で言う私に、ハクとクロは呆れた様に、こちらを見ていた

『……あんなにビクビクしていたのに、この変わりよう』

『…えぇ、主ですからね』

「ま、まぁ!終わりよければ、全てよしってね!」

『まったく。初めから、問題など無いと言ったであろう?もう少し、威厳を持って欲しいものだ。我の主なのだからな』

「は、はい。善処します…」

『ふふ』
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