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ーーーーキャロル
ため息が出そうになるのをぐっと堪える。陛下から下された刑に服し、今年で3年が経つ…この3年間、今までの自分の行いをじっくりと振り返る事が出来ていた
始めの数日間は悲しくて、辛くて堪らなかった…だけど段々と冷静になって来て思ったのは自分の愚かな行いの事ばかりだった。
思い始めてからは、どうしてこうなってしまったのかと考える様になった。そんな時、帝都から遠く離れたこの場所にも届く澄んだ鐘の音が聞こえたのは…
鐘の音を聞いて、セシルが結婚したのだと悟った。不思議とセシルに対しての嫌悪の気持ちはなく酷く穏やかな気持ちだった。
鐘の音が一回、二回と鳴る度に、まるで催眠にかかるかの様に幼い頃を思い出していた
物心がつき始めたころ、隣には当然の様にセシルがいた。私は後ろを一生懸命に着いてくるセシルが可愛くて仕方なかった。
あの頃は何をするにもセシルと一緒に…でも、色んな事をそれとなく理解出来るようになって来た頃私がセシルと接する事がよく思われていない事に気づいた
お母様はセシルを汚物でも見るかのように見ているし、お父様は複雑な表情をいつも浮かべていた。そして、おじい様は私が何度言ってもセシルには会おうとはなさらなかった。
子供ながらに考え、だした最善の選択が『距離を置く』事だった。
距離を置き始めてお母様は『ようやく理解したのね』と言っていたけど、その時はいまいち理解は出来ていなかった。状況は大きく変わっていった
だけど、一番私に対して変わったのはお父様の目だった。私を見る目には冷たさしかなかった。私はお父様が大好きだったからすごく辛かった…
以前からもセシルに対する『暖かさ』の違いには気づいていた…だから、自分も見て欲しくて一生懸命だったのだ。
その頃の私には『私もいるよ!気づいて…愛して!』……この思いで一杯だった。一日、一週間…一か月、一年。月日がどんどんと流れその思いは段々と歪んでしまったのだ。
可愛がっていた筈のセシルには憎悪に似た嫌悪を抱き、お父様に対しても私が居る事を忘れない様に嫌悪するような事をしてきたのだ…
やり方や思い方が間違っているのに気付いたのは陛下に刑を下されたあの日だった。全てが一気に真っ白になったのだ…何も考える事は出来なかった…いや、それが自分にとって良かったのだと今なら分かる
陛下は私に対する『罰』として刑を下されたけれど、私にはこれが罰だとは思えなかった。今まで感じた事が無い程心が穏やかなのだ。
始めは抵抗のあった土いじりだって、今では大好きな事の一つだ。私はこうなって良かったのだと思う。セシルは自分がどんな立場であろうが身分であろうがいつもセシルのまま…だけど私は違う。
権力や富…そして身分によって心の在り方がこんなにも違う…自分には不釣り合いな物だったのだと素直に思う事が出来ている
「陛下、私は少しでも変われているでしょうか…この刑が終わり、ここを出た時また元の自分に戻ってしまうのではないかと恐ろしくてなりません…出来るなら、このままこの場所に居たいと思う程に…」
空を見つめながらつぶやく
「でも、私にはここを出てやらねばならない事があります。あの時、色んな事が起こってセシルに『ごめんなさい』と言えませんでした……セシルは私を許してくれるでしょうか…」
毎日、作業が終わりを迎えるたびに繰り返す。誰も聞いていない言葉は、神に届いているだろうか…
ため息が出そうになるのをぐっと堪える。陛下から下された刑に服し、今年で3年が経つ…この3年間、今までの自分の行いをじっくりと振り返る事が出来ていた
始めの数日間は悲しくて、辛くて堪らなかった…だけど段々と冷静になって来て思ったのは自分の愚かな行いの事ばかりだった。
思い始めてからは、どうしてこうなってしまったのかと考える様になった。そんな時、帝都から遠く離れたこの場所にも届く澄んだ鐘の音が聞こえたのは…
鐘の音を聞いて、セシルが結婚したのだと悟った。不思議とセシルに対しての嫌悪の気持ちはなく酷く穏やかな気持ちだった。
鐘の音が一回、二回と鳴る度に、まるで催眠にかかるかの様に幼い頃を思い出していた
物心がつき始めたころ、隣には当然の様にセシルがいた。私は後ろを一生懸命に着いてくるセシルが可愛くて仕方なかった。
あの頃は何をするにもセシルと一緒に…でも、色んな事をそれとなく理解出来るようになって来た頃私がセシルと接する事がよく思われていない事に気づいた
お母様はセシルを汚物でも見るかのように見ているし、お父様は複雑な表情をいつも浮かべていた。そして、おじい様は私が何度言ってもセシルには会おうとはなさらなかった。
子供ながらに考え、だした最善の選択が『距離を置く』事だった。
距離を置き始めてお母様は『ようやく理解したのね』と言っていたけど、その時はいまいち理解は出来ていなかった。状況は大きく変わっていった
だけど、一番私に対して変わったのはお父様の目だった。私を見る目には冷たさしかなかった。私はお父様が大好きだったからすごく辛かった…
以前からもセシルに対する『暖かさ』の違いには気づいていた…だから、自分も見て欲しくて一生懸命だったのだ。
その頃の私には『私もいるよ!気づいて…愛して!』……この思いで一杯だった。一日、一週間…一か月、一年。月日がどんどんと流れその思いは段々と歪んでしまったのだ。
可愛がっていた筈のセシルには憎悪に似た嫌悪を抱き、お父様に対しても私が居る事を忘れない様に嫌悪するような事をしてきたのだ…
やり方や思い方が間違っているのに気付いたのは陛下に刑を下されたあの日だった。全てが一気に真っ白になったのだ…何も考える事は出来なかった…いや、それが自分にとって良かったのだと今なら分かる
陛下は私に対する『罰』として刑を下されたけれど、私にはこれが罰だとは思えなかった。今まで感じた事が無い程心が穏やかなのだ。
始めは抵抗のあった土いじりだって、今では大好きな事の一つだ。私はこうなって良かったのだと思う。セシルは自分がどんな立場であろうが身分であろうがいつもセシルのまま…だけど私は違う。
権力や富…そして身分によって心の在り方がこんなにも違う…自分には不釣り合いな物だったのだと素直に思う事が出来ている
「陛下、私は少しでも変われているでしょうか…この刑が終わり、ここを出た時また元の自分に戻ってしまうのではないかと恐ろしくてなりません…出来るなら、このままこの場所に居たいと思う程に…」
空を見つめながらつぶやく
「でも、私にはここを出てやらねばならない事があります。あの時、色んな事が起こってセシルに『ごめんなさい』と言えませんでした……セシルは私を許してくれるでしょうか…」
毎日、作業が終わりを迎えるたびに繰り返す。誰も聞いていない言葉は、神に届いているだろうか…
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