裏切りの先にあるもの

マツユキ

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「…故意に会わなかった訳ではありませんよ?」

皆の視線が自分に集まっている事に気づき言葉を発するがその顔には詫びれた様子は微塵も感じられない

「…マティアス…」

アーネストは沸々と怒りが湧いてくるのを感じた

「…それにそこに居るのは息子の子だと言っていますが、本当かどうかも怪しいものですね」

「マティアス!!」

これにはアーネストも怒鳴らずにはいられなかった

「お前は!自分がしてきた事を棚に上げるのか!?お前にはロイドの事やセシルの事をどうこう言う資格はない!」

アーネストの怒声に言葉に詰まってしまう

「…陛下、良いのです。もとよりこの人には期待などしていませんから。」

「ロイド…」

苦しそうに顔を歪めるアーネストはロイドをみる。その顔に哀しみは無く当然の事だとでも言うようだった

「…陛下、わたくしも父と同じように思います。わたくしにとってのおじい様はもうなくなってしまった。その方はわたくしにとっては他人と変わりません。なんと言われようと…何も思いません」

アーネストははっきりと言ったセシルをみてその言葉は本当なのだと思った。

「……言わせておけば好き勝手言いおって!!薄汚いそなたの母とそっくりだ!!」

二人の反応が気に入らなかったのかマティアスは憤慨したように罵声を浴びせる

「…わたくしは本当のお母様の事を存知あげません。ですが、不貞を働いた方に母の事を悪く言う権利などありません!」

セシルは目に涙を滲ませ反論した

「小娘が生意気言いおって!」

まさか反論するとは思わなかったマティアスはセシルの言葉に怒りつかみかかろうとした

「…私の娘に触れないでいただこう。…それに間違った事は言っていない。」

ロイドが間に入り制止した

「貴様まで私を愚弄するつもりか!」

怒りで顔が赤く染まって行く

「本当の事でしょう?何が間違いだと言うのですか?」

「貴様…!!」

尚も冷たい目を向け、まるで汚い物でも見るかのような目だ

「…マティアス、そなたは自分がしてきた事を何とも思っていないのか」

アーネストが静かに言った

「私がしてきた事とはいったいなんですか?私は罪になる事など犯していない!」

もはや怒りよりも呆れてしまう。この男は本当に分かっていない。

自分がすることは全て正しいとでも思っていそうな勢いだ

「…そうか、ならば自分が犯した罪をその身を持って知るがいい」
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