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ーーーーグランヴィル帝国 王の私室
「陛下、ご機嫌麗しく…」
「ツェザーリ侯爵……いや、ロイド元気だったか?」
「……っ」
「……はぁ、今日呼んだのはキャロル嬢の事についてだ」
「……っも、申し訳ありません!私には…」
「分かっておる。そなたは確かにツェザーリ侯爵家の当主であるが、そなたの父がモリス・イーニアスとの婚約を決めた時に実権は事実上イーニアス家に移ってしまっている。父は気づいてはいなかったがな。」
「…陛下?ご存じだったのですか?」
「…知ったのはモリス嬢に子が出来たと知らせを受けた時だ。それと同時にそなたに結婚を決めた相手がいた事もしった。……ロイド、申し訳ない事をした」
「……っ陛下が悪いのではありません。父上が侵してしまった過ちがあまりにも大きかったのです」
悔しそうに唇を強く噛み耐えるロイドにアーネストは後悔ばかりがよぎる
ロイドの祖父であるアルバート・ツェザーリは年はずいぶんと離れてはいたが友人だったのだ
生前、アルバートがこの先のツェザーリ家の事や孫のロイドの事を心配していた。息子のマティアスの横暴もアーネストの耳に入ってくるほどだったのだ
何度も城に呼び諌めたが、何も変わらなかった。
アルバートは爵位返上の事も考えていたがロイドが居たためアーネストが了承しなかった
セシル嬢との事を知っていたらロイドとモリス嬢の婚姻など認めなかったのに……
「…キャロル嬢とセシルの婚約者であったクリフ殿との婚姻を了承したのは安にアランからセシルとの婚約の申し出を受けていたからだ。わかるな?」
「……はい」
「だが、キャロル嬢が婚約したばかりのクリフ殿との婚約を破棄すると聞いてな」
「…っ御存じだったのですか!?」
「あぁ」
「私が諌めても、私にはどうする事もできませんでした……申し訳ありません」
(情けない…男だというに。当主だとういうのに……私にはどうする事もできない)
「ロイド、そこで私から提案がある」
「…提案、ですか?」
アーネストは優しく微笑みながらロイドを見ていた
「あぁ、私は生前アルバートからそなたの事を頼まれていた」
「…おじい様が?」
アルバートの名を聞いたロイドの目に涙があふれていた
「アルバートはそなたをとても可愛がっていた。だが命には限りがる。息子の事を考えると自分の死後、そなたの事が心配でならぬと言ってな」
「……っ」
「そこで先ほどの提案だ。そなたはセシルが生まれた時モリス嬢に離縁を申し出たな?」
「そ、それを何故知っているのですか!?」
「私は色んな情報が入ってくるように網をはっているゆえ。特に、ツェザーリ家とイーニアス家はな」
アーネストは少し疲れた様に言う
「ロイドの件やウィルボット家の火事の一件。他にも公になっていないことが山ほどあるのだ。公爵である者を爵位剥奪にするには確かな証拠がいる。それ相応の事を犯していなければ剥奪など出来ないのだ」
「…分かっています」
「だが、証拠は既にそろっている」
「っえ!?」
アーネストはニヤリと笑った
「そなたの母やそなたが受けた苦しみ。そしてウィルボット家は全員死に追いやられた。ただ単に剥奪を言い渡すのは惜しいというものよ」
「へ、陛下?」
「近々、王妃主催の晩餐会が催される事になっておる。そこに私も出席する事にしているゆえ、そなたとモリス嬢の離縁を認めると宣言するつもりだ。構わないか?」
「……っ!あ、ありがたき幸せにございます」
「ロイド、そなたには長い間辛抱させてしまった。申し訳なく思っている。そなたが自分が出来る限りセシルを守っていたのも知っている。」
「…わ、私はセシルに何もしてやれなった。」
「いいや、それは違うぞ?実権が無いばかりか金銭に関しても実権を握られてしまい使用人にすら満足のいく給金を渡せていないと聞いている」
「…はい、使用人には感謝してもしきれません。給金も満足に出せない我が家に文句も言わず仕えてくれているのですから」
アーネストは悲しそうに眉尻を下げた
「だが、その給金は資産から出た物ではない事もしっている。」
「…っ」
全ての実権をモリスに握られてしまい資金から給金が支払われなくなってからロイドは自身が持っていた貴重な品々を売ったり自身の物は限りなく節約してそのお金から給金を出していたのだ
もちろんその金額は以前よりも半分ほどになってしまい、辞めて行く者も何人かいたが多くは屋敷に残って今も務めてくれているのだ
セシルに何度かそのお金の中から衣服を買ってあげた事もあった。とても侯爵の令嬢が身に着ける様な品ではなかったが、セシルはとても喜んでくれた
だがその数日後セシルは隠していたようだが、体のあちこちに見えない所を狙ってつけたような痣が何個もあった
それ以来、セシルに買う事を辞めそのお金はセシルの為に貯める事にしたのだ
「離縁に意義はないな?」
「……は…い。陛下にはなんとお礼を言えばよいか……」
「良いのだ。むしろ遅すぎたくらいだ。礼を言わねばならんのは私のほうだ。耐えてくれてありがとう」
「陛下……っ」
「泣くなロイド!これから大変になるぞ?」
穏やかな笑みを浮かべからかうようにアーネストは言った
「はい。…セシルと共に暮らせるならば」
「おいおい。セシルは嫁ぐんだぞ?」
「そうでしたね」
二人で笑いあいながら、次第に話題はアルバートの事になり大いに語り合った
これから起こるであろう事、そしてその先にある事にロイドは再びセシルを父として守っていく。
セシルが心から笑ってくれるように、そう心に誓うのであった
「陛下、ご機嫌麗しく…」
「ツェザーリ侯爵……いや、ロイド元気だったか?」
「……っ」
「……はぁ、今日呼んだのはキャロル嬢の事についてだ」
「……っも、申し訳ありません!私には…」
「分かっておる。そなたは確かにツェザーリ侯爵家の当主であるが、そなたの父がモリス・イーニアスとの婚約を決めた時に実権は事実上イーニアス家に移ってしまっている。父は気づいてはいなかったがな。」
「…陛下?ご存じだったのですか?」
「…知ったのはモリス嬢に子が出来たと知らせを受けた時だ。それと同時にそなたに結婚を決めた相手がいた事もしった。……ロイド、申し訳ない事をした」
「……っ陛下が悪いのではありません。父上が侵してしまった過ちがあまりにも大きかったのです」
悔しそうに唇を強く噛み耐えるロイドにアーネストは後悔ばかりがよぎる
ロイドの祖父であるアルバート・ツェザーリは年はずいぶんと離れてはいたが友人だったのだ
生前、アルバートがこの先のツェザーリ家の事や孫のロイドの事を心配していた。息子のマティアスの横暴もアーネストの耳に入ってくるほどだったのだ
何度も城に呼び諌めたが、何も変わらなかった。
アルバートは爵位返上の事も考えていたがロイドが居たためアーネストが了承しなかった
セシル嬢との事を知っていたらロイドとモリス嬢の婚姻など認めなかったのに……
「…キャロル嬢とセシルの婚約者であったクリフ殿との婚姻を了承したのは安にアランからセシルとの婚約の申し出を受けていたからだ。わかるな?」
「……はい」
「だが、キャロル嬢が婚約したばかりのクリフ殿との婚約を破棄すると聞いてな」
「…っ御存じだったのですか!?」
「あぁ」
「私が諌めても、私にはどうする事もできませんでした……申し訳ありません」
(情けない…男だというに。当主だとういうのに……私にはどうする事もできない)
「ロイド、そこで私から提案がある」
「…提案、ですか?」
アーネストは優しく微笑みながらロイドを見ていた
「あぁ、私は生前アルバートからそなたの事を頼まれていた」
「…おじい様が?」
アルバートの名を聞いたロイドの目に涙があふれていた
「アルバートはそなたをとても可愛がっていた。だが命には限りがる。息子の事を考えると自分の死後、そなたの事が心配でならぬと言ってな」
「……っ」
「そこで先ほどの提案だ。そなたはセシルが生まれた時モリス嬢に離縁を申し出たな?」
「そ、それを何故知っているのですか!?」
「私は色んな情報が入ってくるように網をはっているゆえ。特に、ツェザーリ家とイーニアス家はな」
アーネストは少し疲れた様に言う
「ロイドの件やウィルボット家の火事の一件。他にも公になっていないことが山ほどあるのだ。公爵である者を爵位剥奪にするには確かな証拠がいる。それ相応の事を犯していなければ剥奪など出来ないのだ」
「…分かっています」
「だが、証拠は既にそろっている」
「っえ!?」
アーネストはニヤリと笑った
「そなたの母やそなたが受けた苦しみ。そしてウィルボット家は全員死に追いやられた。ただ単に剥奪を言い渡すのは惜しいというものよ」
「へ、陛下?」
「近々、王妃主催の晩餐会が催される事になっておる。そこに私も出席する事にしているゆえ、そなたとモリス嬢の離縁を認めると宣言するつもりだ。構わないか?」
「……っ!あ、ありがたき幸せにございます」
「ロイド、そなたには長い間辛抱させてしまった。申し訳なく思っている。そなたが自分が出来る限りセシルを守っていたのも知っている。」
「…わ、私はセシルに何もしてやれなった。」
「いいや、それは違うぞ?実権が無いばかりか金銭に関しても実権を握られてしまい使用人にすら満足のいく給金を渡せていないと聞いている」
「…はい、使用人には感謝してもしきれません。給金も満足に出せない我が家に文句も言わず仕えてくれているのですから」
アーネストは悲しそうに眉尻を下げた
「だが、その給金は資産から出た物ではない事もしっている。」
「…っ」
全ての実権をモリスに握られてしまい資金から給金が支払われなくなってからロイドは自身が持っていた貴重な品々を売ったり自身の物は限りなく節約してそのお金から給金を出していたのだ
もちろんその金額は以前よりも半分ほどになってしまい、辞めて行く者も何人かいたが多くは屋敷に残って今も務めてくれているのだ
セシルに何度かそのお金の中から衣服を買ってあげた事もあった。とても侯爵の令嬢が身に着ける様な品ではなかったが、セシルはとても喜んでくれた
だがその数日後セシルは隠していたようだが、体のあちこちに見えない所を狙ってつけたような痣が何個もあった
それ以来、セシルに買う事を辞めそのお金はセシルの為に貯める事にしたのだ
「離縁に意義はないな?」
「……は…い。陛下にはなんとお礼を言えばよいか……」
「良いのだ。むしろ遅すぎたくらいだ。礼を言わねばならんのは私のほうだ。耐えてくれてありがとう」
「陛下……っ」
「泣くなロイド!これから大変になるぞ?」
穏やかな笑みを浮かべからかうようにアーネストは言った
「はい。…セシルと共に暮らせるならば」
「おいおい。セシルは嫁ぐんだぞ?」
「そうでしたね」
二人で笑いあいながら、次第に話題はアルバートの事になり大いに語り合った
これから起こるであろう事、そしてその先にある事にロイドは再びセシルを父として守っていく。
セシルが心から笑ってくれるように、そう心に誓うのであった
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