心からの愛してる

マツユキ

文字の大きさ
上 下
43 / 45

43

しおりを挟む
静まり返る会場の中で、ブツブツと言っている光の声だけが聞こえていた

誰も何も話そうとはしない。しかし、矢井田家の者を見る目は、みな冷めたものだった。信じられないものを見る目。汚いものを見る目。様々だったが、みな一様に軽蔑していた

ロリコンなどと言う言葉では済まされない。実の子を性の対象として見ているなど、異常な事だ

光の父は、床に膝をつき力が抜けた様に脱力している。光の母は、未だに父を睨みつけたまま動こうとしなかった

竜元に至っても、まさか実の父親が、自分と血を分けた息子を抱いているなどと言う事実を初めて知り、軽く衝撃を受けていた

「それから、君の会社の事も調べさせてもらったよ」

そう言って進み出たのは、結良の父親だった。優しい穏やかな顔をしているが、その目は怒りに燃えていた

「脱税に不正取引。叩けば叩くほど、ボロボロときりが無い」

微笑みながら、冷めた声音で話し続ける

「君の息子の学園入学の件も、そうだよ。この学園は裏口入学なんて、認めていないと思っていたが…かなり積んだみたいだね?君が取引をした学園の人間が、話してくれたよ。あぁ、勿論その人は既にこの学園にはいない」

「君の息子は、この学園に相応しくないようだ。だが、私の大切な息子を傷つけられたんだ。学園からの追放、それだけでは到底許せない。どうすれば、いいかな?」

「そ、そんな!光ちゃんはきちんと入学のための試験は受けています!そして合格したから、この学園に、」

「君は僕の話した事を、ちゃんと聞いていたのかな?合格出来なかったから、金で解決したと、今言っただろう?」

「そんな、事は…」

どうやら光の母は、光が合格したから学園に入る事が出来たと、本当に思っていた様子だった。この学園は、倍率も高くかなり優秀でないと、入学は出来ない。しかし、この学園を卒業したと言うだけで、就職には困らない。故に、一般からの入学志望者も多いのだ

それは、編入であっても変わらない。だからこそ、裏口入学を許可するなど、あり得ない事なのだ。裏口でしか入学できない者を入学させるより、優秀な者を一人でも多く入学させる方が、学園側としてもいいのだから

「君は親だろう?自分の子供の、何を見ているんだい?」

「なっ!失礼なっ!貴方に言われなくとも、自分の息子の事は、私が一番良く理解しています!」

「ならば、何故だい?子供が間違った考えや、行動をしているのに、それを諌めもせず肯定してるだろう?だから、この歳になっても、良い事悪い事の区別がついていない」

「光ちゃんは悪い事なんてしていません!」

「…今までの話を、まったく理解していないんだな。良いよ、ならこれを見ているといい」

そう言って、後ろに控えていた人に合図を出す。合図と共に会場が灯りが消える。同時に巨大なスクリーンに映像が流れ始めた
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

春を拒む【完結】

璃々丸
BL
 日本有数の財閥三男でΩの北條院環(ほうじょういん たまき)の目の前には見るからに可憐で儚げなΩの女子大生、桜雛子(さくら ひなこ)が座っていた。 「ケイト君を解放してあげてください!」  大きなおめめをうるうるさせながらそう訴えかけてきた。  ケイト君────諏訪恵都(すわ けいと)は環の婚約者であるαだった。  環とはひとまわり歳の差がある。この女はそんな環の負い目を突いてきたつもりだろうが、『こちとらお前等より人生経験それなりに積んどんねん────!』  そう簡単に譲って堪るか、と大人げない反撃を開始するのであった。  オメガバな設定ですが設定は緩めで独自設定があります、ご注意。 不定期更新になります。   

婚約破棄を望みます

みけねこ
BL
幼い頃出会った彼の『婚約者』には姉上がなるはずだったのに。もう諸々と隠せません。

片思いの練習台にされていると思っていたら、自分が本命でした

みゅー
BL
オニキスは幼馴染みに思いを寄せていたが、相手には好きな人がいると知り、更に告白の練習台をお願いされ……と言うお話。 今後ハリーsideを書く予定 気がついたら自分は悪役令嬢だったのにヒロインざまぁしちゃいましたのスピンオフです。 サイデュームの宝石シリーズ番外編なので、今後そのキャラクターが少し関与してきます。 ハリーsideの最後の賭けの部分が変だったので少し改稿しました。

公爵令息は悪女に誑かされた王太子に婚約破棄追放される。

克全
BL
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

何故か正妻になった男の僕。

selen
BL
『側妻になった男の僕。』の続きです(⌒▽⌒) blさいこう✩.*˚主従らぶさいこう✩.*˚✩.*˚

そんなの聞いていませんが

みけねこ
BL
お二人の門出を祝う気満々だったのに、婚約破棄とはどういうことですか?

聖女の兄で、すみません!

たっぷりチョコ
BL
聖女として呼ばれた妹の代わりに異世界に召喚されてしまった、古河大矢(こがだいや)。 三ヶ月経たないと元の場所に還れないと言われ、素直に待つことに。 そんな暇してる大矢に興味を持った次期国王となる第一王子が話しかけてきて・・・。 BL。ラブコメ異世界ファンタジー。

【完結】薄幸文官志望は嘘をつく

七咲陸
BL
サシャ=ジルヴァールは伯爵家の長男として産まれるが、紫の瞳のせいで両親に疎まれ、弟からも蔑まれる日々を送っていた。 忌々しい紫眼と言う両親に幼い頃からサシャに魔道具の眼鏡を強要する。認識阻害がかかったメガネをかけている間は、サシャの顔や瞳、髪色までまるで別人だった。 学園に入学しても、サシャはあらぬ噂をされてどこにも居場所がない毎日。そんな中でもサシャのことを好きだと言ってくれたクラークと言う茶色の瞳を持つ騎士学生に惹かれ、お付き合いをする事に。 しかし、クラークにキスをせがまれ恥ずかしくて逃げ出したサシャは、アーヴィン=イブリックという翠眼を持つ騎士学生にぶつかってしまい、メガネが外れてしまったーーー… 認識阻害魔道具メガネのせいで2人の騎士の間で別人を演じることになった文官学生の恋の話。 全17話 2/28 番外編を更新しました

処理中です...