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静まり返る会場の中で、ブツブツと言っている光の声だけが聞こえていた
誰も何も話そうとはしない。しかし、矢井田家の者を見る目は、みな冷めたものだった。信じられないものを見る目。汚いものを見る目。様々だったが、みな一様に軽蔑していた
ロリコンなどと言う言葉では済まされない。実の子を性の対象として見ているなど、異常な事だ
光の父は、床に膝をつき力が抜けた様に脱力している。光の母は、未だに父を睨みつけたまま動こうとしなかった
竜元に至っても、まさか実の父親が、自分と血を分けた息子を抱いているなどと言う事実を初めて知り、軽く衝撃を受けていた
「それから、君の会社の事も調べさせてもらったよ」
そう言って進み出たのは、結良の父親だった。優しい穏やかな顔をしているが、その目は怒りに燃えていた
「脱税に不正取引。叩けば叩くほど、ボロボロときりが無い」
微笑みながら、冷めた声音で話し続ける
「君の息子の学園入学の件も、そうだよ。この学園は裏口入学なんて、認めていないと思っていたが…かなり積んだみたいだね?君が取引をした学園の人間が、話してくれたよ。あぁ、勿論その人は既にこの学園にはいない」
「君の息子は、この学園に相応しくないようだ。だが、私の大切な息子を傷つけられたんだ。学園からの追放、それだけでは到底許せない。どうすれば、いいかな?」
「そ、そんな!光ちゃんはきちんと入学のための試験は受けています!そして合格したから、この学園に、」
「君は僕の話した事を、ちゃんと聞いていたのかな?合格出来なかったから、金で解決したと、今言っただろう?」
「そんな、事は…」
どうやら光の母は、光が合格したから学園に入る事が出来たと、本当に思っていた様子だった。この学園は、倍率も高くかなり優秀でないと、入学は出来ない。しかし、この学園を卒業したと言うだけで、就職には困らない。故に、一般からの入学志望者も多いのだ
それは、編入であっても変わらない。だからこそ、裏口入学を許可するなど、あり得ない事なのだ。裏口でしか入学できない者を入学させるより、優秀な者を一人でも多く入学させる方が、学園側としてもいいのだから
「君は親だろう?自分の子供の、何を見ているんだい?」
「なっ!失礼なっ!貴方に言われなくとも、自分の息子の事は、私が一番良く理解しています!」
「ならば、何故だい?子供が間違った考えや、行動をしているのに、それを諌めもせず肯定してるだろう?だから、この歳になっても、良い事悪い事の区別がついていない」
「光ちゃんは悪い事なんてしていません!」
「…今までの話を、まったく理解していないんだな。良いよ、ならこれを見ているといい」
そう言って、後ろに控えていた人に合図を出す。合図と共に会場が灯りが消える。同時に巨大なスクリーンに映像が流れ始めた
誰も何も話そうとはしない。しかし、矢井田家の者を見る目は、みな冷めたものだった。信じられないものを見る目。汚いものを見る目。様々だったが、みな一様に軽蔑していた
ロリコンなどと言う言葉では済まされない。実の子を性の対象として見ているなど、異常な事だ
光の父は、床に膝をつき力が抜けた様に脱力している。光の母は、未だに父を睨みつけたまま動こうとしなかった
竜元に至っても、まさか実の父親が、自分と血を分けた息子を抱いているなどと言う事実を初めて知り、軽く衝撃を受けていた
「それから、君の会社の事も調べさせてもらったよ」
そう言って進み出たのは、結良の父親だった。優しい穏やかな顔をしているが、その目は怒りに燃えていた
「脱税に不正取引。叩けば叩くほど、ボロボロときりが無い」
微笑みながら、冷めた声音で話し続ける
「君の息子の学園入学の件も、そうだよ。この学園は裏口入学なんて、認めていないと思っていたが…かなり積んだみたいだね?君が取引をした学園の人間が、話してくれたよ。あぁ、勿論その人は既にこの学園にはいない」
「君の息子は、この学園に相応しくないようだ。だが、私の大切な息子を傷つけられたんだ。学園からの追放、それだけでは到底許せない。どうすれば、いいかな?」
「そ、そんな!光ちゃんはきちんと入学のための試験は受けています!そして合格したから、この学園に、」
「君は僕の話した事を、ちゃんと聞いていたのかな?合格出来なかったから、金で解決したと、今言っただろう?」
「そんな、事は…」
どうやら光の母は、光が合格したから学園に入る事が出来たと、本当に思っていた様子だった。この学園は、倍率も高くかなり優秀でないと、入学は出来ない。しかし、この学園を卒業したと言うだけで、就職には困らない。故に、一般からの入学志望者も多いのだ
それは、編入であっても変わらない。だからこそ、裏口入学を許可するなど、あり得ない事なのだ。裏口でしか入学できない者を入学させるより、優秀な者を一人でも多く入学させる方が、学園側としてもいいのだから
「君は親だろう?自分の子供の、何を見ているんだい?」
「なっ!失礼なっ!貴方に言われなくとも、自分の息子の事は、私が一番良く理解しています!」
「ならば、何故だい?子供が間違った考えや、行動をしているのに、それを諌めもせず肯定してるだろう?だから、この歳になっても、良い事悪い事の区別がついていない」
「光ちゃんは悪い事なんてしていません!」
「…今までの話を、まったく理解していないんだな。良いよ、ならこれを見ているといい」
そう言って、後ろに控えていた人に合図を出す。合図と共に会場が灯りが消える。同時に巨大なスクリーンに映像が流れ始めた
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