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それからは、役員が来なくなったり、大変な状態が3か月続いた。だけど、僕は書類を滞らせないように必死で、役員が来なくなってしまった理由まで、考える余裕なんてなくて
突然やってきた役員に、「認めていない」と言われて、正直な所、かなりショックを受けてしまった
仕事をしながら、気にしないようにしていても、ふと思い浮かぶのはその言葉ばかりで
恐怖や不安ばかりを感じていたのを思い出す。沿いて、竜元会長のこと
会長と初めて会ったのは、先生方から生徒会副会長を、と言われた時に会長を紹介された時だった。印象は冷たい美形
だけど、一緒に仕事をしていく中で、厳しさの中に優しさもあって、上に立つ者としての心構えや考えに、自然に尊敬の念を抱いていた
「こんな人になる」いつしか、会長は憧れから、僕の目標になっていた
だからこそ、役員達の様に会長も、僕の事を同じように思っていたら。そう考えると、怖くて堪らなかった。だから、このまま、会長に会うのが恐ろしくもあった
だけど、留学から帰ってきた会長は、留学前と変わらずに接してくれて。それは、矢井田君に会ってからも変わらなかった
会長が帰って来てから、状況は一変して元通りになり、役員達も帰って来てくれて、僕に謝罪もしてくれた。あの時の役員達は、心から反省している様子で、今まで自分たちがやって来た事を、後悔している様でもあった
その頃からだろうか、小さな嫌がらせをされるようになっていた。持ち物を壊されたり、捨てられたり。刃物なんかも入れられた事もある
こんな事をされるのは初めてだったし、怖くて堪らなかった。悪意を向けられるのは、初めてだったから
どうしてこんな事をされるのか、理由も分からなかったから、余計に恐ろしかった。だけど、僕個人の事で、頑張っている生徒会の皆を煩わせるのはいけないと思ったから、いつも通りに過ごしていた
そして、倉庫での事
止めてと言っても、容赦なく殴られ、蹴られる。痛いと言っても、笑われる。どうしたら、止めてくれるのか、何故こんな事をするのか。分からずに、心も体も痛くて堪らなかった
助けて、と思っても叫んでも、誰も来てくれない
こんな事をされるような事を、僕はしてしまっていたのだろうか…いくら考えても、答えは出なくて。このまま死んでしまうかもしれない。そう思った時、それでもいいかと思った
だけど、会長の顔が浮かんで
恋心を自覚した日に、失恋してしまったけれど、逢いたくて、声が聞きたくて。気づいたら声に出して会長を呼んでいた
そこからの記憶がない
ここは何もない部屋で、きっと僕は死んでしまったか、それとも意識が無いのかもしれないと思う。光が見えず、進む道も分からない
心のどこかで、「このままでいい」そう思っているからかもしれない
『…結良』
暗闇の中で、会長の哀しそうな声が聞こえる
『目を覚ませ、結良…』
その声が聞こえた時、暗闇だった部屋の中に、光がさした。暖かな光は次第に扉の形になっていく。そして光が消えた時、そこには一つの扉が存在していた
体が自然と扉へと向かって行く。この扉を開ける事に、戸惑いや不安は無く、むしろ扉からは暖かなものを感じる
ゆっくりと扉を開く。扉の先には光しかなく、床や天井すら見当たらない。進めば落ちてしまうかもしれないのに、「大丈夫」不思議と、そんな不安や恐怖は無く、迷いなく扉の先に進んで行った
突然やってきた役員に、「認めていない」と言われて、正直な所、かなりショックを受けてしまった
仕事をしながら、気にしないようにしていても、ふと思い浮かぶのはその言葉ばかりで
恐怖や不安ばかりを感じていたのを思い出す。沿いて、竜元会長のこと
会長と初めて会ったのは、先生方から生徒会副会長を、と言われた時に会長を紹介された時だった。印象は冷たい美形
だけど、一緒に仕事をしていく中で、厳しさの中に優しさもあって、上に立つ者としての心構えや考えに、自然に尊敬の念を抱いていた
「こんな人になる」いつしか、会長は憧れから、僕の目標になっていた
だからこそ、役員達の様に会長も、僕の事を同じように思っていたら。そう考えると、怖くて堪らなかった。だから、このまま、会長に会うのが恐ろしくもあった
だけど、留学から帰ってきた会長は、留学前と変わらずに接してくれて。それは、矢井田君に会ってからも変わらなかった
会長が帰って来てから、状況は一変して元通りになり、役員達も帰って来てくれて、僕に謝罪もしてくれた。あの時の役員達は、心から反省している様子で、今まで自分たちがやって来た事を、後悔している様でもあった
その頃からだろうか、小さな嫌がらせをされるようになっていた。持ち物を壊されたり、捨てられたり。刃物なんかも入れられた事もある
こんな事をされるのは初めてだったし、怖くて堪らなかった。悪意を向けられるのは、初めてだったから
どうしてこんな事をされるのか、理由も分からなかったから、余計に恐ろしかった。だけど、僕個人の事で、頑張っている生徒会の皆を煩わせるのはいけないと思ったから、いつも通りに過ごしていた
そして、倉庫での事
止めてと言っても、容赦なく殴られ、蹴られる。痛いと言っても、笑われる。どうしたら、止めてくれるのか、何故こんな事をするのか。分からずに、心も体も痛くて堪らなかった
助けて、と思っても叫んでも、誰も来てくれない
こんな事をされるような事を、僕はしてしまっていたのだろうか…いくら考えても、答えは出なくて。このまま死んでしまうかもしれない。そう思った時、それでもいいかと思った
だけど、会長の顔が浮かんで
恋心を自覚した日に、失恋してしまったけれど、逢いたくて、声が聞きたくて。気づいたら声に出して会長を呼んでいた
そこからの記憶がない
ここは何もない部屋で、きっと僕は死んでしまったか、それとも意識が無いのかもしれないと思う。光が見えず、進む道も分からない
心のどこかで、「このままでいい」そう思っているからかもしれない
『…結良』
暗闇の中で、会長の哀しそうな声が聞こえる
『目を覚ませ、結良…』
その声が聞こえた時、暗闇だった部屋の中に、光がさした。暖かな光は次第に扉の形になっていく。そして光が消えた時、そこには一つの扉が存在していた
体が自然と扉へと向かって行く。この扉を開ける事に、戸惑いや不安は無く、むしろ扉からは暖かなものを感じる
ゆっくりと扉を開く。扉の先には光しかなく、床や天井すら見当たらない。進めば落ちてしまうかもしれないのに、「大丈夫」不思議と、そんな不安や恐怖は無く、迷いなく扉の先に進んで行った
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