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翌日
保険医が言っていた通り、生徒会顧問の巻田から、連絡が入った。結良に対するこれからの対処と、竜元への処罰だ
『本当は会って話さなければならないんだが、大まかに決まった事だけ伝える。まずは、花瀬を助ける為だったとはいえ竜元、お前の行為は過剰だった。それは、お前自身が一番分かっているな?』
「…はい」
今でこそ、少しやりすぎたと思う事は出来る。あの時、自分がとった行動が正しいとは言わない。いや、言えないだろう。だが、後悔なんてしていなかった。むしろ、あれで良かったとさえ思っている
『それでだ。お前への処罰は、寮にて1か月の謹慎とする。その間、勉学は勿論だが、生徒会の職務も、寮にて行ってもらうからそのつもりで。あ、あと花瀬の看病もな』
「ですが、」
『学園長とも話し合った結果だ』
「…分かりました。ありがとうございます」
『あぁ。お前の行動は過剰だったが、花瀬の状態を見れば、ある意味過剰でもない。いや、過剰であるのは変わらないがな?あと、花瀬のご両親に連絡をした。今は海外に行かれているみたいでな。こちらに急いで戻ったとしても、数か月はかかるらしい。いや、大層ご立腹だったよ…』
「それはそうでしょう」
『花瀬のご両親が来られないなら、他のご家族の方に、って言ったら慌てていたよ』
「何故ですか?」
『なんでも、花瀬の祖父母は、父方も母方も花瀬の事を溺愛しているらしい。この学園に行く事も、大反対で説得が大変だったらしいんだ。そんな祖父母に連絡してしまったら、花瀬は間違いなく軟禁状態にされてしまうと言っていたよ。花瀬が、初めて自分からこの学園に行きたいと言ったらしくてな。親としては、行かせたくない気持ちはあったが、花瀬の希望をかなえてやりたかったと、言っていたよ』
「そうだったんですね…」
竜元は、未だに目覚めない結良の頬を優しく撫でる
『あぁ。なるべく早く帰れるようにするから、戻るまで花瀬の事を頼まれた。勿論、学園側としては、頼まれずとも花瀬が学園に通えるようになるまで、サポートさせてもらうつもりだ。今回の事は、学園の責任でもあるしな』
「はい」
『それでだ。保険医からも言われたと思うが、花瀬の事を考えると病院に入院するのは、正直厳しいと判断した。あんな事があったんだ。人が大勢いる場所に、例え個室だとしても安心は出来ないだろう。だが、検査などしておいた方が良いのも事実。暫くは点滴なんかもしないといけないみたいだしな。それでだ、生徒会専用の寮には、使っていない部屋が幾つかあるだろう?その部屋を一時的に改装して、必要な機器や医療品を搬入している最中だ。寮で入院するって感じだな。で、お前も花瀬と一緒に、入院専用の部屋に移動してもらうぞ?』
「はい。俺としても、そうさせてもらえた方が、助かります」
『あぁ。ちゃんと勉学と職務が出来る様にしているから、そこは安心しとけ。大まかとは言ったが、大体こんなもんだ。移動してもらう時は、又連絡する』
「分かりました」
そう言って、通話を終える
昨日程ではないが、呼吸が荒い結良。きっと、体の傷が痛むのだろう。竜元は洗面器を手に取って、洗面台に向かった
昨日、保険医が言っていた通り、結良は熱を出した。いちを解熱剤も飲ませる事が出来たのだが、中々熱が下がらない
洗面器の水を新しくして、寝室に戻った。大粒の汗を、傷に障らないように、優しく丁寧に拭いていく
熱が高いせいもあるのか、アイスノンを取り換える頻度も、通常より早かった
「…結良。目を、覚ましてくれ…」
このまま目覚めないのではないか。必ず目覚めると思ってはいても、心のどこかでそう思ってしまうのは、結良が目覚めた時、拒絶されてしまうのではないかという、恐怖と不安が拭えないからだろうかと、思うのだった
保険医が言っていた通り、生徒会顧問の巻田から、連絡が入った。結良に対するこれからの対処と、竜元への処罰だ
『本当は会って話さなければならないんだが、大まかに決まった事だけ伝える。まずは、花瀬を助ける為だったとはいえ竜元、お前の行為は過剰だった。それは、お前自身が一番分かっているな?』
「…はい」
今でこそ、少しやりすぎたと思う事は出来る。あの時、自分がとった行動が正しいとは言わない。いや、言えないだろう。だが、後悔なんてしていなかった。むしろ、あれで良かったとさえ思っている
『それでだ。お前への処罰は、寮にて1か月の謹慎とする。その間、勉学は勿論だが、生徒会の職務も、寮にて行ってもらうからそのつもりで。あ、あと花瀬の看病もな』
「ですが、」
『学園長とも話し合った結果だ』
「…分かりました。ありがとうございます」
『あぁ。お前の行動は過剰だったが、花瀬の状態を見れば、ある意味過剰でもない。いや、過剰であるのは変わらないがな?あと、花瀬のご両親に連絡をした。今は海外に行かれているみたいでな。こちらに急いで戻ったとしても、数か月はかかるらしい。いや、大層ご立腹だったよ…』
「それはそうでしょう」
『花瀬のご両親が来られないなら、他のご家族の方に、って言ったら慌てていたよ』
「何故ですか?」
『なんでも、花瀬の祖父母は、父方も母方も花瀬の事を溺愛しているらしい。この学園に行く事も、大反対で説得が大変だったらしいんだ。そんな祖父母に連絡してしまったら、花瀬は間違いなく軟禁状態にされてしまうと言っていたよ。花瀬が、初めて自分からこの学園に行きたいと言ったらしくてな。親としては、行かせたくない気持ちはあったが、花瀬の希望をかなえてやりたかったと、言っていたよ』
「そうだったんですね…」
竜元は、未だに目覚めない結良の頬を優しく撫でる
『あぁ。なるべく早く帰れるようにするから、戻るまで花瀬の事を頼まれた。勿論、学園側としては、頼まれずとも花瀬が学園に通えるようになるまで、サポートさせてもらうつもりだ。今回の事は、学園の責任でもあるしな』
「はい」
『それでだ。保険医からも言われたと思うが、花瀬の事を考えると病院に入院するのは、正直厳しいと判断した。あんな事があったんだ。人が大勢いる場所に、例え個室だとしても安心は出来ないだろう。だが、検査などしておいた方が良いのも事実。暫くは点滴なんかもしないといけないみたいだしな。それでだ、生徒会専用の寮には、使っていない部屋が幾つかあるだろう?その部屋を一時的に改装して、必要な機器や医療品を搬入している最中だ。寮で入院するって感じだな。で、お前も花瀬と一緒に、入院専用の部屋に移動してもらうぞ?』
「はい。俺としても、そうさせてもらえた方が、助かります」
『あぁ。ちゃんと勉学と職務が出来る様にしているから、そこは安心しとけ。大まかとは言ったが、大体こんなもんだ。移動してもらう時は、又連絡する』
「分かりました」
そう言って、通話を終える
昨日程ではないが、呼吸が荒い結良。きっと、体の傷が痛むのだろう。竜元は洗面器を手に取って、洗面台に向かった
昨日、保険医が言っていた通り、結良は熱を出した。いちを解熱剤も飲ませる事が出来たのだが、中々熱が下がらない
洗面器の水を新しくして、寝室に戻った。大粒の汗を、傷に障らないように、優しく丁寧に拭いていく
熱が高いせいもあるのか、アイスノンを取り換える頻度も、通常より早かった
「…結良。目を、覚ましてくれ…」
このまま目覚めないのではないか。必ず目覚めると思ってはいても、心のどこかでそう思ってしまうのは、結良が目覚めた時、拒絶されてしまうのではないかという、恐怖と不安が拭えないからだろうかと、思うのだった
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