心からの愛してる

マツユキ

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あの日から、結良は光に会う事も無く、溜まっていた書類も、処理を済ませ、何とか延期になっていた行事を、執り行える所まで、こぎつける事が出来た

竜元や結良だけでなく、反省し死にもの狂いで、処理していた役員達が頑張りの賜物でもある

延期となっていた文化祭の開催日が決まり、各クラスの出し物や、それに必要な食材などの備品の発注、掛かった経費の処理なども全て終わり、後は開催日を待つだけとなった

処理が必要な書類はまだあるが、一先ずはゆっくりと出来る時間が採れた結良は、人気の無い中庭のベンチに座っていた

「…ふぅ…」

心地よい風が、結良を労わる様に過ぎていく

光の襲来が来るようになってからというもの、心に平穏は無く、いつも怯えていた。自分はこんなにも臆病で弱かったのかと、自己嫌悪に陥る事も

しかし、何故だか分からないが、光の襲来がパタリと止んでから、心は平穏を取り戻しつつある。このまま、穏やかで、いつも通りの日々が過ぎていくのを、結良は心から願っていた

「結良、一人で行くなと言っただろう?」

そう言って結良の隣に腰かける、竜元

「ほら。食べるぞ。お前は、もう少し太らないとな」

「か、会長。すみません…少し外の空気を吸いたくて」

「あぁ。ここ数日は、立て込んでいたからな。ほら」

そう言って、竜元は持っていた弁当の1つを、結良に渡した

「え?僕の分も、あるんですか?」

「当然だろ?お前は放っておくと、何も口にしないからな」

「あははは…」

集中すると、周りが見えなくなってしまう結良は、竜元の言葉に何も返せない

受け取った弁当の蓋を開けると、明らかにプロが作った、美味しそうなおかずが、綺麗に盛られていた

「…凄い。美味しそうですね」

「うちの料理人が作ったんだ。当然だ。それに、栄養バランスもしっかりと考えて、作ってくれているんだ。残さず、食べるんだぞ?」

「ふふ、はい」

ゆっくりと、時間をかけて弁当を食べていく。優しい味付けのおかずは、本当に美味しくて、小食である結良も、食が進んで、あっという間に食べてしまった

「美味しくて、箸が止まりませんでした」

「そうだろう?食堂の食事も美味いが、栄養が偏ってしまうからな。だから、たまに来てもらっているんだ」

「え?食事を作りに、ですか?」

「あぁ。俺はたまにでいいと言ったんだがな。嬉々として造りに来てる」

「会長の寮室に、お邪魔していた時は、いなかったから。全然気づきませんでした」

「あの時は、お前の事を考えて、遠慮してもらっていた」

「そうだったんですね…何か、申し訳ない事をしました」

「フッ、何故そうなる。俺が、そうしたかったんだ。謝る必要などない」

それでも納得のいかない様な顔をする結良に、「まったく」と言いながら、弁当を受け取る

「―――本当に、お前は頑固だよ」

そう言って、軽く結良の頭に拳を当てた
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