心からの愛してる

マツユキ

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「竜!ここにいたんだな!」

光は嬉しそうに笑い、竜元の腕にからみつく

「…あぁ、お前は何をしに来たんだ」

竜元は腕を振り払う事はせず、淡々と答える

「もちろん竜を探しに来たに決まってるだろ!」

大きな声で得意げに言う光。そして振り払われなかった事に気を良くした光は、さらに体を密着させた

「…そうか」

結良が学校を休み始めてから、光は竜元を追い回していた。そして周りの生徒達に見せびらかす様に体を密着させていた。竜元は学園のトップであり、その容姿からも人気はかなりのもの。しかし生徒達は光に嫉妬の目を向ける事はなかった

何故ならば、一切の拒絶するそぶりを見せていない竜元の目は、見た事もない程に冷たく、その目と同様に竜元の表情からは一切の感情が感じられなかったからだ

この学園では、人気のある生徒には『親衛隊』が必ず存在した。親衛隊の多くは、対象の生徒に好意を持つ生徒達からなっている。尊敬や憧れ、そして恋心

これだけを聞くと、少し危うさを感じるが、ここは腐っても名門校であった

各親衛隊には厳しい規律がある。その厳しさは親衛隊ごとに異なるが、『対象者の邪魔になることはしない。対象者の友人関係に口出しはしない。対象者の恋愛に口出しはしない』

この規律はだけは固く守られていた。よって、親衛隊に所属する者たちも、対象者にアピールするのも自由、友人関係になるのも自由。親衛隊は対象者のサポートや護衛が目的で作られたもの。よって光がいくら横暴な事をし、それにより対象者が間違った道に進んだとしても、光に対し制裁が行われることはなかった。親衛隊が行ったことは、対象者に説得をする事のみだった

そして生徒会の親衛隊の中で最も穏健派である生徒会長、竜元の親衛隊は今の状況に、自分たちが動く必要はないと判断していた

「隊長、やはり竜元様は」

隊長と呼ばれた生徒が頷く

「えぇ、間違いないでしょう。結良君に何かが起こり、その原因があの転校生にあるのは間違いないはず。そして竜元様は…」

「…結良君にいったい何が」

竜元が認めた結良を、親衛隊も認めている。そして、竜元を見てきた親衛隊は本人よりも早くその恋心に気づいていたのだ

「何があったにせよ、良い事でないのは確か。我々は竜元様の為に動くのみ。皆にその様に伝えてください」

「承知しました」

隊員が綺麗な一礼をし去っていく

「はぁ…全く、転校生が来てからもめ事ばかり。でも、竜元様が動かれる」

隊長は竜元に視線を戻した

「終わりは早く訪れるでしょう」
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