心からの愛してる

マツユキ

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「竜元!!会いに来てくれたのか!?」

光は先程までの剣幕が嘘だったかのように、竜元の元へ嬉々としてかけていく

「…会長」

竜元はそんな光を華麗にスルーし、いまだ尻餅をついている結良の元へ歩いていった

「結良、怪我はないか?」

「…会長、すみません…折角仕上げた書類が…」

結良の回りには、二人で時間をかけて仕上げた書類が散らばっていた。その中には、足跡が付いてしまっている物や、ビリビリに破れてしまっているものまであった

結良が今から提出する筈だった書類は、延期されていた文化祭に関する書類で、二人で全学年から集まった要望等を、何度も話し合い調整して出来上がった物だった

「気にするな、無事なものもある。データーも残ってるんだ。書類はまた作ればいい」

確かにデーターは残ってはいるが、無事なものよりも駄目になった書類の方が多かった

「…すみません」

「お前の落ち度ではないだろう?」

竜元は結良の頭を優しく撫でる

「…っ!な、んで!何で!」

光は竜元が結良に見せる優しい笑みや仕草を見て、光は怒りで震える

「何で竜元はそんな奴を相手にするんだ!そんなの、間違ってる!!」

光は怒りのまま、そして自分を見ない竜元に自分を見てほしくて、力任せに竜元の腕を掴み自分の方へ引き寄せた

「生徒会じゃない奴は、此処にいちゃいけないんだ!そうだろ!?だから竜元は、そいつを見ちゃいけないんだ!」

「…手を離せ」

地の底を這う様な、低く冷たい声で竜元は言った

「え…」

光は竜元の顔を見た

「…っ」

竜元の表情は、光が今まで誰にも向けられた事のない物だったのだ

「離せと、言っている」

光を見る竜元の目は、酷く冷たい物だった。まるで暖かさを感じない。優しさの欠片もない目だ

光は何故そんな目で見られているのか、理解できないでいた。いや、認めたくないのだ

『自分は特別』『自分は愛される存在』光はそう信じて疑わなかった。現に、今までに光に好意を持たない者はいなかったのだから

「ち、がう…違う!こん、なの間違いだ!」

今起こっている事を、信じたくないと言う様に、虚ろな目をして光は何度も言った

「…はぁ、結良行くぞ」

竜元は、結良が散らばった書類を、集め終わったのを確認し、未だに強く捕まれていた、光の手を無理やり剥がし、結良の手をとり自室へと戻る

結良は、初めて見た竜元の冷たい目に戸惑い、もしあの目が、自分に向けられたらと考えると、酷く恐ろしくなった

光は大丈夫だろうかと、振り返った結良はヒュッと息をのむ

結良が見た先にいた光は、結良を睨み付けていた。その目には、ほの暗い闇が…狂気が宿っていた。光が憎しみに支配され始めた瞬間だった

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