転生貴族のスローライフ

マツユキ

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「特産品は、あればあるほど街の収益となります。街の収益が多ければ多い程、街の設備や維持費にお金はかけられる上に、街所有の施設で働く人を雇う事も可能になる。つまり良い事づくめですね」

「幸いにも、この街には特産品になりそうな物が沢山ある。選別は必要になるだろうがな」

「そうですね。フランクさんの言う通り、特産品とするものの選別は必要ですね。希少な物の流通は避けた方がいい場合もありますから。でも、選べるだけ豊富ですし、あえて創る事も出来そうですし」

そう言ってハンスさんは、僕をジッと見て来た。止めて、見ないでハンスさん

街の領民には街にあるものの全てを話す事にしている。世界樹がある事など、全てを。認知しているのとしていないのとでは、全然違うからね

で、街の運営に関わる人達には、僕に前世の記憶がある事、つまり転生者である事を話す事に。今後の街の運営をしやすくするためにね

だから、ハンスさんの視線の意味を分かってもらえると思うんだけど、僕はそんなに問題児的な立ち位置には居ないと思うんだ、多分

「まず、ハチミツは特産品として出しても問題は無いでしょう。その他、薬草などの栽培も始めれば特産品に出来ますし、ポーションなどを製作すれば、それも特産品に出来ます。魔道具などは選別は必須ですが、特産品にする事も可能でしょう」

「その他にも、作物なども特産品として出せますよ」

「正直、特産品に出来る物が多いので、領民の中で店を持ちたい者には店を開いてもらい、領民たちの収益に回した方がいい物もあるでしょう。しかしそうなって来ると、街だけでは収益は上がりません。外から人を呼び込む事も必要ですな」

「でも、問題がある。この大陸には悪意のある人間は、そもそも入る事が出来ないんだ」

「そうですな。人の出入りが盛んになれば、収益は上がりますが、治安も悪くなるもの。そこはゲルドラ様に相談して、大陸の一部のみ解放して頂き、その場所だけ人の出入りを盛んにすると言うのはどうですかな?」

「それは良いかもしれません。大陸の初めの方だけ、結界を解いてもらいその場所に第二の街を作るのも、一つの方法ですし」

確かに良いかもしれない。だが、問題もある

「問題は、この街からはかなり距離があるって事かな。それに、結界外に店を開いた領民の生活とか、安全性も保障は出来なくなってしまうし」

「そうですなぁ…」

人を招くとなれば宿屋なんかも必要になるだろうし、そうなれば店を閉店した後、帰ってくればいいとはならない

街の収益も大事だけど、やっぱり領民の安全は確保しておきたい

「結界を改良出来ない物ですかね?例えば、悪事を考え実行しようとした瞬間に、大陸の外にはじき飛ばされる、とか」

「……それ、良いかもしれない!」

ハンスさんの何ともご都合主義的な案に、僕は光を見出してしまった
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