転生貴族のスローライフ

マツユキ

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王位に着いた第二王子は、無理な税を課し民を苦しめ、税を納められない民を罪人として捕え、見せしめにした。大人、子供関係なくだ

そして苦言を呈した忠臣を排除して行った

そんな日々が続き、保身に走る者と新王の悪政に乗る者、そして領民を守る者達に分かれた

領民を守っていた貴族達は、逆賊として捕らえられ殺されていった。力のあった貴族達から捕らえられて行き、残った貴族は保身に走りつつも、領民を守るしかなかったのだ

抗う兵力も無かったから

そんな日々が続けば、貴族も民も疲弊し希望も持てず生きていくしか無くなってしまう。みなが先の未来に光を見出せず、諦めて行った

多くの領民。逃げてきた民達。全員を匿い守って来たが、やはり限界があるのだ

バルトが連れて来た2人は、民にとっての最後の砦だったのだ。限界を感じ、彼等が国に反旗を、と覚悟した時にバルトと出会ったらしい

民と共に、死を覚悟した時にバルトにここの事を聞いて、国を捨て共にきたのだ

「もとより、あの国に未練はありません。勿論、地位にも。人がいなければ、地位など意味を持たず、民がいなければ貴族も国も成り立ちません。地位や権力には、責任が伴うもの。大きければ大きいほど、責任も守るべきものも大きくなる。それが解らぬ王になど、忠誠は誓えませんからな」

フランクさんがニッコリと笑って言った

「しかし、あの時バルト殿に出会えてよかった。出会えたお陰で、家族も失わず民も守る事が出来ましたからね」

「そうですな。あの出会いがなければ、我々は誰一人生きてはいなかったでしょうから」

「そんな事になってたなんて。今回、バルトを含めた数人に領民探しに行ってもらったんですけど、国は違っても同じ様な事が理由でこられた方ばかりでした。一体何が起こっているのか・・・」

「マリス様。何も不思議な事ではありません」

「そうですな。何処の国にも悪人はいるものです。我々の国では王がそうでしたからな」

「えぇ。悪人が持つ権力によって、広がりや影響は違っても、民が被る被害は変わらない。苦しむのはいつも力のない者達ですよ」

フランクさんとハンスさんが悲しそうに笑った

「いくら善良な王であっても、全てを把握する事は出来ない。正す事は出来ても、正すまでにかかる時間は膨大です。悪人は悪事を隠す事に長けていますしね」

「民の声は届かない事が殆どであり、貴族の大半は悪人だらけ。自身の懐を暖かくしようとする者達ばかりですよ。まぁ、私も貴族でしたがね」

そう言ってフランクさんは豪快に笑っていた

「いやいや、元貴族ですよ。今は自由の身になった平民です」

「そうでしたな!」

そう言って笑い合う2人は、何処か清々しく、付き物が取れた様子だった。きっと今までの苦しみから解放されたからだろう

「事情はわかりました。皆さんを受け入れます。ですがご覧の通り、街はまだまだ未完成と言っても過言ではありません。人が増えて来たので、この街独自の法も決めないといけないし、金銭の流通、物流なども発展させないといけません。色々やる事は山積みで、手伝っていただけますか?」

「当然です!我々の知識は存分に使って下さい」

「肉体労働もさせていただきますぞ!こう見えて、畑仕事はできますのでな!」

2人はやる気に満ちた顔をして、そう言ってくれた

「助かります!住む場所などの事もありますし、明日からいいですか?」

「分かりました」

「勿論です」

そうして話し合いは終わり、カリナに2人を住居に案内してもらった



これからまだまだ沢山の人達が、ここへやってくる事になるだろう。多くの苦しみを乗り越えた人々が

僕は改めて思う。ここへ来た皆んなは、この地へ来たその時から僕の民であり、守るべき人達だと

苦しみを感じる事なく、みんなが笑顔で暮らせる街を作る。そのためには平和であるだけではダメだ。守るための力も必要なのだ

だから、僕は作るんだ。誰にも脅かされることの無い最強の街を。みんなが笑顔で暮らせる、そんな最高の街を
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