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バルト一家との買物は、一々に驚いてばかりで、終わる頃にはぐったりとしてしまった
どれだけ溜めてたのって聞きたくなるくらいに、商品の金額も気に留める事もせず、どんどん買っていくんだもの。心配になって、お金は大丈夫なのか聞いたら「持って行っても仕方の無い物だから」って言われた
確かに、使う所が無いので持っていても、何の役にもたたないのは確かだ
バルト一家は、まるでお金を残す気は無く、むしろ使い切る気満々で、色んな物を買っていった
買物が終わり、集合場所に行くと既に皆揃っていた。カリナの言っていた通り、みんなアイテムボックス系統のスキル持ちなのであろう。買った荷物は何処にも見当たらない
「みなさんお揃いでしたか。お待たせしてしまいましたか?」
「いや、たいして待っておらんよ。ついさっき全員揃ったばかりだしな」
ニコニコと笑いながらバハトが言った。バハトの横では、ぐったりとしたダノバスが、地面に座り込んでいた
「ダノバス、大丈夫?」
あまりにもぐったりとしていたので、心配になって声をかけると、ゆっくりと顔を上げて、覇気のない笑みを浮かべながら、大丈夫だと言われる
(い、いったい何があったんだろう…)
いつになくニコニコしているバハトをチラリと見る。何だか、嬉しいと言うよりもスッキリとした清々しい笑顔を見せているバハト
ダノバス、ごめん。僕には何があったのか聞く勇気は無いよ…
「まったく。元騎士団長ともあろう男が、この位でへばるとは。情けない」
そう吐き捨てる様にバハトが言った。そんなバハトを恨めしそうに見て、ダノバスが立ち上がる
「誰のせいだと思ってやがるんだ、こんのクソじじいめ…!」
本当は大きな声でそう言いたかったのだろうが、疲れ切っていてそんな元気も残っていないみたいだ
「ダノバス。この街には宿泊しないのですよ?このまま出発し、明日には魔の森に入る予定なのです。今からそんなにへばっていては、先が思いやられますよ、まったく」
「わかってる…!俺は大丈夫だ、出発しよう」
そう言って重たそうに歩き出す。ゆっくりとした足取りで、先に行ってしまった
「バルス、行く場所は決まってるから、急いで行かなくても大丈夫だよ?」
せめて、ダノバスの疲れ?が取れてからでも良いと思って言ったんだけど
「いいえ。早く最果ての地に入ってしまいましょう。監視が鬱陶しいですからね」
「あ…」
バルス、気づいていたんだ。いや、何もおかしな事ではないのかもしれない。バルスは父上の側付きだったから、父上のやり方も、僕なんかより知っていてもおかしくはない
「ダノバスには申し訳ありませんが、出来るだけ早く最果ての地に入り、監視を解きたいのです。でなければ、話す事やる事、全て報告が行ってしまいますからね。最果ての地に入れば、監視も入って来ないでしょうから、自由に出来ますしね」
「そっか…監視が付く事は分かっていたけど、そこまで考えて無かったから…」
「ふふ。仕方ありませんよ。マリス様は我々が共に行く事をご存じなかったですし、そもそも最果ての地で生き残れる可能性を見いだせていなかったでしょうから」
「うっ…確かに」
「それに、必要以上にみなが話さないのは、監視が付いている事を知っているからですし、最果ての地を開拓できると知れば、ルノル辺境伯は必ず手に入れる為に動くでしょうからね。そんなの面白くないでしょう?」
「面白くないって……でも、確かに父上なら動くだろうね」
「なので、さっさと目的地に行くに限るんですよ」
纏わりつくような監視の視線は、心地いいものではないし、そこには賛成だ
「あ…でも、こんな事話して大丈夫なの?今はまだ監視が、」
「ふふ。大丈夫ですよ。上手く聞き取れない様に魔法を使っていますから。でも、怪しまれる前に行きましょう」
そう言ってバルスは歩き出してしまった
どれだけ溜めてたのって聞きたくなるくらいに、商品の金額も気に留める事もせず、どんどん買っていくんだもの。心配になって、お金は大丈夫なのか聞いたら「持って行っても仕方の無い物だから」って言われた
確かに、使う所が無いので持っていても、何の役にもたたないのは確かだ
バルト一家は、まるでお金を残す気は無く、むしろ使い切る気満々で、色んな物を買っていった
買物が終わり、集合場所に行くと既に皆揃っていた。カリナの言っていた通り、みんなアイテムボックス系統のスキル持ちなのであろう。買った荷物は何処にも見当たらない
「みなさんお揃いでしたか。お待たせしてしまいましたか?」
「いや、たいして待っておらんよ。ついさっき全員揃ったばかりだしな」
ニコニコと笑いながらバハトが言った。バハトの横では、ぐったりとしたダノバスが、地面に座り込んでいた
「ダノバス、大丈夫?」
あまりにもぐったりとしていたので、心配になって声をかけると、ゆっくりと顔を上げて、覇気のない笑みを浮かべながら、大丈夫だと言われる
(い、いったい何があったんだろう…)
いつになくニコニコしているバハトをチラリと見る。何だか、嬉しいと言うよりもスッキリとした清々しい笑顔を見せているバハト
ダノバス、ごめん。僕には何があったのか聞く勇気は無いよ…
「まったく。元騎士団長ともあろう男が、この位でへばるとは。情けない」
そう吐き捨てる様にバハトが言った。そんなバハトを恨めしそうに見て、ダノバスが立ち上がる
「誰のせいだと思ってやがるんだ、こんのクソじじいめ…!」
本当は大きな声でそう言いたかったのだろうが、疲れ切っていてそんな元気も残っていないみたいだ
「ダノバス。この街には宿泊しないのですよ?このまま出発し、明日には魔の森に入る予定なのです。今からそんなにへばっていては、先が思いやられますよ、まったく」
「わかってる…!俺は大丈夫だ、出発しよう」
そう言って重たそうに歩き出す。ゆっくりとした足取りで、先に行ってしまった
「バルス、行く場所は決まってるから、急いで行かなくても大丈夫だよ?」
せめて、ダノバスの疲れ?が取れてからでも良いと思って言ったんだけど
「いいえ。早く最果ての地に入ってしまいましょう。監視が鬱陶しいですからね」
「あ…」
バルス、気づいていたんだ。いや、何もおかしな事ではないのかもしれない。バルスは父上の側付きだったから、父上のやり方も、僕なんかより知っていてもおかしくはない
「ダノバスには申し訳ありませんが、出来るだけ早く最果ての地に入り、監視を解きたいのです。でなければ、話す事やる事、全て報告が行ってしまいますからね。最果ての地に入れば、監視も入って来ないでしょうから、自由に出来ますしね」
「そっか…監視が付く事は分かっていたけど、そこまで考えて無かったから…」
「ふふ。仕方ありませんよ。マリス様は我々が共に行く事をご存じなかったですし、そもそも最果ての地で生き残れる可能性を見いだせていなかったでしょうから」
「うっ…確かに」
「それに、必要以上にみなが話さないのは、監視が付いている事を知っているからですし、最果ての地を開拓できると知れば、ルノル辺境伯は必ず手に入れる為に動くでしょうからね。そんなの面白くないでしょう?」
「面白くないって……でも、確かに父上なら動くだろうね」
「なので、さっさと目的地に行くに限るんですよ」
纏わりつくような監視の視線は、心地いいものではないし、そこには賛成だ
「あ…でも、こんな事話して大丈夫なの?今はまだ監視が、」
「ふふ。大丈夫ですよ。上手く聞き取れない様に魔法を使っていますから。でも、怪しまれる前に行きましょう」
そう言ってバルスは歩き出してしまった
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