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第2章 新しい生活
第19話 新米治癒士テア4
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それから服や生活必需品を買ったり宿を決めたりと色々動き回った。この世界での暮らしがよくわかっていない私にとって風の旅人達の助言は大いに役に立った。宿で1人ご飯を食べ、部屋に戻ると疲れていた私はベッドに潜るなりすぐに微睡む。そして気がつけば既に朝を迎えていた。
だいたいの約束の時間になり、私は冒険者ギルドに足を運ぶ。この世界には時計がしっかり存在しており、今は10時半頃だ。ギルド内の掲示板には紙が張り出されており、恐らくあれが依頼書というやつだろう。この世界の識字率が気になるところである。
だって、依頼書の前にあんなに人がいるんだもん。これって冒険者の殆どは文字が読めるということになるよね。ということは文字の読み書きを教える場所があるのかな?
「あら、テアちゃん来てたのね」
「おはようございますアーネスさん」
「ふふっ、おはよう」
私に声をかけてきたのはアーネスさんだ。今日の付き添いはアーネスさん。街の中なのでさすがにフルメンバーはいらないだろうということで同じ女性のアーネスさんが付き添うことになったのだ。
「じゃあ少し早いけど早速行きましょうか。治癒院には既に話がいっているから私は本当に身元の保証だけの付き添いね」
「はい、よろしくお願いします」
アーネスさんは私の手を取り、私の歩幅に合わせてゆっくりと歩いてくれた。私がちょこちょこと3歩ほど進むと小さく2歩、といった具合にだ。見えない手で自分を運ぶとさすがに目立つからやらないです。
「この街は広いから街の5箇所に治癒院があるの。テアちゃんが行くのは冒険者ギルドから最も近い場所だから一番忙しい所よ」
「5箇所もあるんですね。街の隅から隅まで行くとどれくらい時間がかかるものなんですか?」
「そうね、私の足だと歩いて6時間くらいかかるわね。結構大きな街だから病気になったときとか遠いと大変、っていうことで5箇所もあるそうよ」
納得。治癒院の役割は何も怪我だけではないということか。病気の治療も含まれるとなると薬学とか発達しているのかな?
ま、それは治癒院で働けばそのうちわかるでしょ。
「ここが治癒院よ。南門側は特に冒険者の出入りが多いから門から近い所にあるの」
治癒院は冒険者ギルドから徒歩5分と実に近かった。そして街の出入口からも近く、100メートルもないほどだ。確かに大怪我をして命からがら街に着いても治癒院が遠かったら利便性に問題があるか。
そして治癒院の建物は神殿を思わせるような外観をしており、白いを基調として立派な建物だった。ファンタジーな世界だけに教会とか絡んでそう。
「この街に門はいくつあるんですか?」
「あるのは北と南ね。それに合わせて冒険者ギルドも北と南にあるの。私たちのいる南側の方が大きいけどね」
確かに歩いて6時間もかかるくらい広いのに冒険者ギルドが1つなのは問題あるか。そういう便宜が図られているということは、冒険者ギルドの役割は街にとっても大きいということなのだろう。
「じゃあ中へ入りましょう。この時間ならそう忙しくないはずよ」
「はい」
アーネスさんに連れられ中へ入る。
建物の中は入り口から既に広く、石床の上に直接シーツが敷かれ、その上に寝かされている怪我人が何人かいた。濃紺のカフタンのような服を着ているのはスタッフさんなのだろう。患者さんを診て回っている。これで怪我人がたくさん並んでいたら野戦病院さながらの光景となっただろう。
そして入り口のすぐ脇には簡素なカウンターがあり、そこに職員さんが座っていた。女性の職員さんで、この人も濃紺色のカフタンのような服を着ている。よーく見ると変色した血が付着しているのが見て取れた。少しでも血が目立たないようにかな。これが治癒院の制服ということか。
「こんにちは、ご用件は何でしょうか」
「冒険者ギルドからの紹介で治癒士を連れて来たわ。話は通っているわよね?」
「はい、伺っております。もしかしてそちらの女の子がそうなのですか?」
「テアといいます。よろしくお願いします」
私は頭をぺこりと下げる。挨拶大事!
「私はテレサよ。よろしくね。それじゃ院長の所へ案内するわ」
「じゃあ後はお願いね。後で様子を見に来るから」
「はい、ありがとうございました」
アーネスさんは私の手を離すと後はテレサさんに任せ帰っていった。そして代わりにテレサさんが私の手を取り案内に移る。
「では行きましょうか」
「はい」
そして私はテレサさんに連れられ院長のいる部屋へと通された。
「ようこそ、小さな治癒士さん。私が院長のオリアーナです」
オリアーナさんは見た感じ40代くらいの女性だろうか。人の良さそうな顔をしており綺麗に歳を重ねている。着ている服は皆と同じ濃紺色のカフタンのような服だけど腕に赤い腕章をつけている。文字が書いてあるけど読めない……。
「テアです。よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げる。
「まぁまぁ、行儀の良い子ね。テアちゃんは治癒の異能を使えるそうね。それと消毒でしたね。その考え方をこの治癒院で検証してみることになったわ。時間はかかるけどこれが証明されれば医療の大きな進歩になるでしょう」
「はい、きっとご期待に添えるかと思います」
証明手段が結果論しかないのは仕方がないことだ。細菌の存在なんて証明のしようがないからね。問題は怪我の消毒手段が魔法しかないことか。環境消毒にしても塩素とかないだろうし。
「じゃあ先ずはテアちゃんがどの程度の治癒の力があるのか見せてもらいますね。実際に患者さんを治療して見せて下さい」
「はい、わかりました」
よし、お仕事頑張るぞ!
私は心のなかで拳を握りしめた。
だいたいの約束の時間になり、私は冒険者ギルドに足を運ぶ。この世界には時計がしっかり存在しており、今は10時半頃だ。ギルド内の掲示板には紙が張り出されており、恐らくあれが依頼書というやつだろう。この世界の識字率が気になるところである。
だって、依頼書の前にあんなに人がいるんだもん。これって冒険者の殆どは文字が読めるということになるよね。ということは文字の読み書きを教える場所があるのかな?
「あら、テアちゃん来てたのね」
「おはようございますアーネスさん」
「ふふっ、おはよう」
私に声をかけてきたのはアーネスさんだ。今日の付き添いはアーネスさん。街の中なのでさすがにフルメンバーはいらないだろうということで同じ女性のアーネスさんが付き添うことになったのだ。
「じゃあ少し早いけど早速行きましょうか。治癒院には既に話がいっているから私は本当に身元の保証だけの付き添いね」
「はい、よろしくお願いします」
アーネスさんは私の手を取り、私の歩幅に合わせてゆっくりと歩いてくれた。私がちょこちょこと3歩ほど進むと小さく2歩、といった具合にだ。見えない手で自分を運ぶとさすがに目立つからやらないです。
「この街は広いから街の5箇所に治癒院があるの。テアちゃんが行くのは冒険者ギルドから最も近い場所だから一番忙しい所よ」
「5箇所もあるんですね。街の隅から隅まで行くとどれくらい時間がかかるものなんですか?」
「そうね、私の足だと歩いて6時間くらいかかるわね。結構大きな街だから病気になったときとか遠いと大変、っていうことで5箇所もあるそうよ」
納得。治癒院の役割は何も怪我だけではないということか。病気の治療も含まれるとなると薬学とか発達しているのかな?
ま、それは治癒院で働けばそのうちわかるでしょ。
「ここが治癒院よ。南門側は特に冒険者の出入りが多いから門から近い所にあるの」
治癒院は冒険者ギルドから徒歩5分と実に近かった。そして街の出入口からも近く、100メートルもないほどだ。確かに大怪我をして命からがら街に着いても治癒院が遠かったら利便性に問題があるか。
そして治癒院の建物は神殿を思わせるような外観をしており、白いを基調として立派な建物だった。ファンタジーな世界だけに教会とか絡んでそう。
「この街に門はいくつあるんですか?」
「あるのは北と南ね。それに合わせて冒険者ギルドも北と南にあるの。私たちのいる南側の方が大きいけどね」
確かに歩いて6時間もかかるくらい広いのに冒険者ギルドが1つなのは問題あるか。そういう便宜が図られているということは、冒険者ギルドの役割は街にとっても大きいということなのだろう。
「じゃあ中へ入りましょう。この時間ならそう忙しくないはずよ」
「はい」
アーネスさんに連れられ中へ入る。
建物の中は入り口から既に広く、石床の上に直接シーツが敷かれ、その上に寝かされている怪我人が何人かいた。濃紺のカフタンのような服を着ているのはスタッフさんなのだろう。患者さんを診て回っている。これで怪我人がたくさん並んでいたら野戦病院さながらの光景となっただろう。
そして入り口のすぐ脇には簡素なカウンターがあり、そこに職員さんが座っていた。女性の職員さんで、この人も濃紺色のカフタンのような服を着ている。よーく見ると変色した血が付着しているのが見て取れた。少しでも血が目立たないようにかな。これが治癒院の制服ということか。
「こんにちは、ご用件は何でしょうか」
「冒険者ギルドからの紹介で治癒士を連れて来たわ。話は通っているわよね?」
「はい、伺っております。もしかしてそちらの女の子がそうなのですか?」
「テアといいます。よろしくお願いします」
私は頭をぺこりと下げる。挨拶大事!
「私はテレサよ。よろしくね。それじゃ院長の所へ案内するわ」
「じゃあ後はお願いね。後で様子を見に来るから」
「はい、ありがとうございました」
アーネスさんは私の手を離すと後はテレサさんに任せ帰っていった。そして代わりにテレサさんが私の手を取り案内に移る。
「では行きましょうか」
「はい」
そして私はテレサさんに連れられ院長のいる部屋へと通された。
「ようこそ、小さな治癒士さん。私が院長のオリアーナです」
オリアーナさんは見た感じ40代くらいの女性だろうか。人の良さそうな顔をしており綺麗に歳を重ねている。着ている服は皆と同じ濃紺色のカフタンのような服だけど腕に赤い腕章をつけている。文字が書いてあるけど読めない……。
「テアです。よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げる。
「まぁまぁ、行儀の良い子ね。テアちゃんは治癒の異能を使えるそうね。それと消毒でしたね。その考え方をこの治癒院で検証してみることになったわ。時間はかかるけどこれが証明されれば医療の大きな進歩になるでしょう」
「はい、きっとご期待に添えるかと思います」
証明手段が結果論しかないのは仕方がないことだ。細菌の存在なんて証明のしようがないからね。問題は怪我の消毒手段が魔法しかないことか。環境消毒にしても塩素とかないだろうし。
「じゃあ先ずはテアちゃんがどの程度の治癒の力があるのか見せてもらいますね。実際に患者さんを治療して見せて下さい」
「はい、わかりました」
よし、お仕事頑張るぞ!
私は心のなかで拳を握りしめた。
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