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第165話 人魔王妃(予定)ナーラ1
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メレーズの街を目指して行軍してたわけだけど、もう街の外壁が見えてきたにも係わらず兵士の姿は全く確認されていなかった。
とは言っても何もいなかったわけじゃない。むしろ前のアーカサスの砦の戦力の方がよっぽど可愛いくらいだね。
「まさかこんな化け物を用意してくるとは思わなかったな……」
遠くから確認された化け物。
僕も図書館でクリフォトの木の伝説の本を読んだことがあるけど、その物語の中で悪魔以外にも一際猛威を振るった存在がいた。
「魔神龍、でしたな。クリフォトの木が実在するのであれば、伝説の龍がいても不思議はない、ということですかな」
その体躯は城壁の高さをゆうに越え、一般的なドラゴンと違いドラコニアンという龍人を大きくしたような姿をしている。伝説によるとその赤黒い鱗はドラゴニウムより硬く、高い魔法耐性を持つ。そして口から吐く闇のブレスはあらゆる存在の肉体に侵蝕し、血を腐らせるという。
「量より質で来た、ということでしょう。全軍はここで待機させてください。人数がいても犠牲者が増えるだけです」
「そ、そうだな。すまないがここは神の使徒に頼るしかあるまい。龍炎光牙と天鳳の諸君にお願いしよう」
あの魔神龍から感じられる魔力から察するに力はあのドレカヴァクに匹敵している。普通の人が勝てる範囲を大きく逸脱した存在と言えるかな。それでももう一つ感じられる存在に比べれば可愛いもんだと思うけど。
「ここは俺達の出番だな。殿下、すぐに全軍を後退させてください。サルヴァン、そっちの方は任せていいな?」
「ああ、じゃあ魔神龍任せるわ」
「わ、わかった。全軍後退! 急げよ!」
ルードが殿下に進言し、撤退が始まる。そのもう一つ感じられる存在がこっちに向かって来ているのだ。
ルードは仲間に招集をかけ魔神龍の討伐のために前進する。そして僕らは友軍の撤退のためここでここで迎え討つことにした。
そしてその存在はルード達には目もくれず一直線に僕らのところまで飛んでくる。そして僕らを視界に捉えるとゆっくりと降りてきた。
「な、ナターシャ様……!?」
その姿を見てリーネが驚く。その容姿はナターシャ様に瓜二つ。長いブロンドヘアにクリクリした愛らしい瞳は同じだがまるで戦士のような出で立ちだ。ナターシャ様は周りの人を安心させるような清浄な雰囲気があったがこいつはその真逆だ。
近づくものを畏怖させる程の重圧。そしてその小柄な体躯に不釣り合いな程のボリュームを持つ胸。うーん、思わず視線がそっちに行きそうになる。
「随分とまたそっくりだな……。ちょっとムカつくんだが?」
サルヴァンはこの悪魔がナターシャ様そっくりなことが面白くないらしい。あからさまに不快だと吐き捨てる。
「ナターシャ……? ああ、妾の写し身となった女じゃな。妾はナーラ。人魔王妃ナーラである。アマラ様に歯向かう者愚か者よ、アマラ様が手を下すまでもあるまい。妾の手で終わらせてくれようぞ」
ナーラは高飛車な態度で自己紹介すると、フンと鼻で笑う。めっちゃ高圧的だね。しかし王妃が自ら登場か。強いのはわかるけど大将格が一人でとか愚策でしょ。
「ほほう、アマラは王に就いたばかりだったな。もう結婚していたのか。なら新婚ホヤホヤではないのか?」
「うっ! し、してないゎ……」
アレサの質問にナーラは頬を染めつつ悔しそうに否定した。
「じゃあ婚約者?」
「こ、婚約もまだよ……」
全然王妃じゃないじゃん。感じられる魔力は神霊アウラと同程度だ。恐らく彼女は公爵級の悪魔なのだろう。なら公女を名乗ればいいと思うんだけど。
「なんだ、それでは人魔王妃(未定)ではないか。他に盗られて(笑)にならんように帰ってアプローチしたらどうだ?」
「や、やかましいわ! そこはせめて(予定)にせんかぁっ!」
いや、予定も未定も大差ないと思うんだけどな。ナーラはアレサの煽り文句に涙目で怒り散らす。アレサのことだから本気で心配して言った可能性があるなぁ。
「(笑)……、ぷっ!」
あ、リーネがツボってる。
「わ、笑うでないわ! もう許さん、殺してくれるわ!」
怒りのオーラを滲み出しながらナーラが吼えた。そして剣を抜き、一気に間合いを詰めてきた。狙いはリーネか。
そして金属同士がぶつかる音。
アレサがナーラの剣を受け止めたのだ。
「ふむ、かなり疾いが技術的にはまだまだだな」
「な、なんじゃと……!?」
受け止められたことが意外だったのか、ナーラは驚きの声を上げる。ナーラの動きは確かに疾かった。恐らくフィジカルはかなり高いのだろうし、以前の僕らなら全滅の危険はあったかもしれない。
しかし半神となった今、僕らの反応速度や身体能力も人外の領域にある。魔王とやり合うために鍛え上げたのに公爵一柱に負けるわけにはいかないのだ。
「ならばこれはどうじゃ!」
ナーラは空高く舞い上がると黒い魔力をかき集める。魔力の収束は一瞬で終わり、僕らめがけて解き放った。
深淵気発衝に似た収束魔法のようだ。
「深淵気発衝!」
「強化」
リーネがすかさず深淵気発衝で迎撃する。予想外の行動に僕は慌てて強化をかけた。黒い閃光は一段と太くなりナーラのそれと空中で激突する。
ぶつかり合った2つの黒い閃光は拮抗しており押しつ押されつだ。普通はこんな魔力を喰う収束魔法を使用している間、他の行動は取れない。しかしリーネは違う。彼女のスキル多重発動は一度の力ある言葉で複数回の発動を可能にする。
そのリーネのスキルは僕の拡大解釈によりさらなる進化を遂げ、収束魔法を使っている間であろうとも他の魔法を行使可能となっていた。
「追加の深淵気発衝!」
リーネの多重発動により複数の魔法陣が出現し、魔力の収束が始まる。その間僅か2秒ほど。そして複数の黒い閃光がナーラを襲った。
とは言っても何もいなかったわけじゃない。むしろ前のアーカサスの砦の戦力の方がよっぽど可愛いくらいだね。
「まさかこんな化け物を用意してくるとは思わなかったな……」
遠くから確認された化け物。
僕も図書館でクリフォトの木の伝説の本を読んだことがあるけど、その物語の中で悪魔以外にも一際猛威を振るった存在がいた。
「魔神龍、でしたな。クリフォトの木が実在するのであれば、伝説の龍がいても不思議はない、ということですかな」
その体躯は城壁の高さをゆうに越え、一般的なドラゴンと違いドラコニアンという龍人を大きくしたような姿をしている。伝説によるとその赤黒い鱗はドラゴニウムより硬く、高い魔法耐性を持つ。そして口から吐く闇のブレスはあらゆる存在の肉体に侵蝕し、血を腐らせるという。
「量より質で来た、ということでしょう。全軍はここで待機させてください。人数がいても犠牲者が増えるだけです」
「そ、そうだな。すまないがここは神の使徒に頼るしかあるまい。龍炎光牙と天鳳の諸君にお願いしよう」
あの魔神龍から感じられる魔力から察するに力はあのドレカヴァクに匹敵している。普通の人が勝てる範囲を大きく逸脱した存在と言えるかな。それでももう一つ感じられる存在に比べれば可愛いもんだと思うけど。
「ここは俺達の出番だな。殿下、すぐに全軍を後退させてください。サルヴァン、そっちの方は任せていいな?」
「ああ、じゃあ魔神龍任せるわ」
「わ、わかった。全軍後退! 急げよ!」
ルードが殿下に進言し、撤退が始まる。そのもう一つ感じられる存在がこっちに向かって来ているのだ。
ルードは仲間に招集をかけ魔神龍の討伐のために前進する。そして僕らは友軍の撤退のためここでここで迎え討つことにした。
そしてその存在はルード達には目もくれず一直線に僕らのところまで飛んでくる。そして僕らを視界に捉えるとゆっくりと降りてきた。
「な、ナターシャ様……!?」
その姿を見てリーネが驚く。その容姿はナターシャ様に瓜二つ。長いブロンドヘアにクリクリした愛らしい瞳は同じだがまるで戦士のような出で立ちだ。ナターシャ様は周りの人を安心させるような清浄な雰囲気があったがこいつはその真逆だ。
近づくものを畏怖させる程の重圧。そしてその小柄な体躯に不釣り合いな程のボリュームを持つ胸。うーん、思わず視線がそっちに行きそうになる。
「随分とまたそっくりだな……。ちょっとムカつくんだが?」
サルヴァンはこの悪魔がナターシャ様そっくりなことが面白くないらしい。あからさまに不快だと吐き捨てる。
「ナターシャ……? ああ、妾の写し身となった女じゃな。妾はナーラ。人魔王妃ナーラである。アマラ様に歯向かう者愚か者よ、アマラ様が手を下すまでもあるまい。妾の手で終わらせてくれようぞ」
ナーラは高飛車な態度で自己紹介すると、フンと鼻で笑う。めっちゃ高圧的だね。しかし王妃が自ら登場か。強いのはわかるけど大将格が一人でとか愚策でしょ。
「ほほう、アマラは王に就いたばかりだったな。もう結婚していたのか。なら新婚ホヤホヤではないのか?」
「うっ! し、してないゎ……」
アレサの質問にナーラは頬を染めつつ悔しそうに否定した。
「じゃあ婚約者?」
「こ、婚約もまだよ……」
全然王妃じゃないじゃん。感じられる魔力は神霊アウラと同程度だ。恐らく彼女は公爵級の悪魔なのだろう。なら公女を名乗ればいいと思うんだけど。
「なんだ、それでは人魔王妃(未定)ではないか。他に盗られて(笑)にならんように帰ってアプローチしたらどうだ?」
「や、やかましいわ! そこはせめて(予定)にせんかぁっ!」
いや、予定も未定も大差ないと思うんだけどな。ナーラはアレサの煽り文句に涙目で怒り散らす。アレサのことだから本気で心配して言った可能性があるなぁ。
「(笑)……、ぷっ!」
あ、リーネがツボってる。
「わ、笑うでないわ! もう許さん、殺してくれるわ!」
怒りのオーラを滲み出しながらナーラが吼えた。そして剣を抜き、一気に間合いを詰めてきた。狙いはリーネか。
そして金属同士がぶつかる音。
アレサがナーラの剣を受け止めたのだ。
「ふむ、かなり疾いが技術的にはまだまだだな」
「な、なんじゃと……!?」
受け止められたことが意外だったのか、ナーラは驚きの声を上げる。ナーラの動きは確かに疾かった。恐らくフィジカルはかなり高いのだろうし、以前の僕らなら全滅の危険はあったかもしれない。
しかし半神となった今、僕らの反応速度や身体能力も人外の領域にある。魔王とやり合うために鍛え上げたのに公爵一柱に負けるわけにはいかないのだ。
「ならばこれはどうじゃ!」
ナーラは空高く舞い上がると黒い魔力をかき集める。魔力の収束は一瞬で終わり、僕らめがけて解き放った。
深淵気発衝に似た収束魔法のようだ。
「深淵気発衝!」
「強化」
リーネがすかさず深淵気発衝で迎撃する。予想外の行動に僕は慌てて強化をかけた。黒い閃光は一段と太くなりナーラのそれと空中で激突する。
ぶつかり合った2つの黒い閃光は拮抗しており押しつ押されつだ。普通はこんな魔力を喰う収束魔法を使用している間、他の行動は取れない。しかしリーネは違う。彼女のスキル多重発動は一度の力ある言葉で複数回の発動を可能にする。
そのリーネのスキルは僕の拡大解釈によりさらなる進化を遂げ、収束魔法を使っている間であろうとも他の魔法を行使可能となっていた。
「追加の深淵気発衝!」
リーネの多重発動により複数の魔法陣が出現し、魔力の収束が始まる。その間僅か2秒ほど。そして複数の黒い閃光がナーラを襲った。
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