150 / 188
第147話 《アマラの視点》滅亡へのプレリュード
しおりを挟む
「来てやったぞ、エスペラント教国の教皇様よ」
俺は今エスペラント教国の教皇の前に立っている。もちろん俺の隣にはニーグリがいるわけだがな。しかし大聖堂にも謁見の間なんてものがあるんだな。さすが大国、俺の国の謁見の間より広いわ。
「……無礼千万だな。一国の王ともあろうものが先触れもなくやって来るか。しかも神聖なる大聖堂の壁を破壊して入ってくるとは」
おうおう、怒ってる怒ってる。てめぇごときが怒ったところで恐くもなんともないんだがな。どうせ今からここは地獄となる。大聖堂の壁をちょっと壊したくらい大した事ないだろ。
「そんなことよりクリフォト教を廃止しろっていうお前らの要望の返事を持ってきてやったぞ」
「聞こうか」
「ああ、答えはクソ喰らえだ。むしろ貴様らがアルテア教を捨て、クリフォト教を国教としろ。そうすれば命は助けてやるぞ」
くたばれ、と言わんばかりに親指をサムズダウンさせて鼻で笑ってやった。俺の白い歯もキラリと輝くぜ?
「愚かな。それは我らエスペラント教国、ひいてはこの大陸の全ての他の国に対する宣戦布告と受け取られるだろう。下がって戦争の準備でもするがいい。開戦の場所は追って連絡しよう」
あー、そういや戦争のルールにそんなのあったな。最初の開戦場所は本来は宣戦布告を行った方が決めるのが慣例のはずなんだが。軽く見てるってことか。
「いやいや、それには及ばないよ教皇様」
「従者如きに発言を許した覚えはない。下がるがいい」
おいおい、ニーグリを前に凄い態度だなこいつは。ニーグリが魔力を抑えているとはいってもこのヤバさがわからんのか。
「僕は従者じゃないんだな。僕の名はニーグリ。このクリフォト教に君臨する神、いや魔王となる存在だ。クリフォトの木を世界に根付かせるため、君たちには犠牲になってもらうよ」
ニーグリがにこやかに伝えると、周りに緊張が走ったようだな。周りの奴らも最初は俺達を見下したような目をしていたが、すぐに戦士の目になりやがった。衛兵どもはなかなか訓練されているようだな。もっとも、俺とニーグリにとってはゴミカス同然だが。
「こいつらをひっ捕らえろ! 殺しても構わん! いや、むしろ殺すのだ!」
「へーっ、できるのかそれ? おもしろいな、やってみろよ」
教皇はニーグリが何者かわかったのか、まともに顔色を変えて周りに命令する。出来もしないことを部下に押し付けんなよな。
「聖下、この私にお任せ下さい。神剣カリーンを手にした私に敵う者はいません」
そのおっさんは教皇と俺達の間に入り、道を塞ぐように立ちはだかる。煌めくほどの美しさを放つ刃に綺羅びやかな装飾のされた剣。あれが神剣カリーンか。なるほど、確かに凄まじい力を感じる。
「嬉しいね、神剣カリーン探していたんだ。わざわざ持って来てくれるなんてとても親切なおじさんだね。お礼に死に方を選ばせてあげるよ。真っ二つがいい? 首を跳ねられるのがいい? それとも苦しみ抜いて死んでみたい?」
ニーグリがわきわきと肘を振って目を輝かせている。いや、こんなときまで仕草が女の子なんかい。
「戯れ言を。このカリーンの斬れ味、堪能するがいい!」
おっさんが神剣カリーンを振りかぶってニーグリに斬りかかる。
……おせぇ。人間にしちゃやるようだがあんなもんニーグリに通じるかよ。
「あれれれれー? 斬れてないよ? 神剣ってこんなにナマクラなの?」
あろうことかニーグリはそのおっさんの全力の一撃を左腕の手首で受け止めた。さすがにこれは俺でもやる勇気ないわ。
「な、なんだと!?」
「あ、そうか。おじさんの腕がナマクラなんだね。エストガレスで見たあの子だったらその剣で僕の手首くらい切り落とせただろうなぁ。名前なんて言ったかな?」
「遊んでないでさっさと剣を回収してくれ。その剣の神気は俺にはちとキツイ」
全く、神剣というだけあって凄い神気だ。神気ってのは悪魔にとっては毒みたいなもんだが、このレベルの神気を持つ剣で斬られたら子爵級じゃひとたまりもない。恐らく俺でも斬られたらかなりの傷を負うだろう。候爵と公爵でここまでの差があるのかよ。
「うん、そうだね。じゃあおじさん、この剣もらうね?」
そう言い終わるが早いか、おっさんの首が跳んだ。なんてことはない、ニーグリが凄まじい早さで手刀を出しただけだ。恐らく俺以外には見えちゃいないだろうがな。
「な、なんということだ……!」
「聖下、お逃げください!」
わらわらと神官やら騎士やらが教皇を庇うように集まる。俺達に斬りかかるわけでもなく、あくまで教皇を庇うように動いているわけか。
「なぁニーグリ。この教皇だけ生かして逃がしてやろうぜ」
「え、なんで?」
「俺達の恐怖を教皇が語る。それもまたいいんじゃないかと思うんだ」
そう。教皇自らが俺達の恐怖を語り俺達の存在を世に知らしめるのだ。そうすれば俺は誰もが一目置く存在となる。俺の承認欲求を満たすいいアイデアじゃないか。
「君って本当に承認欲求の塊だよね。君の場合は貧しい生まれによる劣等感から来るものかな。ほんと、どろどろしてて根深くて僕好みの業の深い欲望だね」
そこは頬を染めるとこじゃねーだろ。なんでそんなうっとりしてるんだよ。
「やかましいわ。じゃあ始めようか。レディース&ジェントメン。今宵始まるは殺戮の宴でございます。死の恐怖をごゆるりとお楽しみくださいませ」
俺は目一杯腕を広げ、高らかに宣言する。さぁ始めようか。これは戦いじゃねぇ。一方的な虐殺だ。
俺は今エスペラント教国の教皇の前に立っている。もちろん俺の隣にはニーグリがいるわけだがな。しかし大聖堂にも謁見の間なんてものがあるんだな。さすが大国、俺の国の謁見の間より広いわ。
「……無礼千万だな。一国の王ともあろうものが先触れもなくやって来るか。しかも神聖なる大聖堂の壁を破壊して入ってくるとは」
おうおう、怒ってる怒ってる。てめぇごときが怒ったところで恐くもなんともないんだがな。どうせ今からここは地獄となる。大聖堂の壁をちょっと壊したくらい大した事ないだろ。
「そんなことよりクリフォト教を廃止しろっていうお前らの要望の返事を持ってきてやったぞ」
「聞こうか」
「ああ、答えはクソ喰らえだ。むしろ貴様らがアルテア教を捨て、クリフォト教を国教としろ。そうすれば命は助けてやるぞ」
くたばれ、と言わんばかりに親指をサムズダウンさせて鼻で笑ってやった。俺の白い歯もキラリと輝くぜ?
「愚かな。それは我らエスペラント教国、ひいてはこの大陸の全ての他の国に対する宣戦布告と受け取られるだろう。下がって戦争の準備でもするがいい。開戦の場所は追って連絡しよう」
あー、そういや戦争のルールにそんなのあったな。最初の開戦場所は本来は宣戦布告を行った方が決めるのが慣例のはずなんだが。軽く見てるってことか。
「いやいや、それには及ばないよ教皇様」
「従者如きに発言を許した覚えはない。下がるがいい」
おいおい、ニーグリを前に凄い態度だなこいつは。ニーグリが魔力を抑えているとはいってもこのヤバさがわからんのか。
「僕は従者じゃないんだな。僕の名はニーグリ。このクリフォト教に君臨する神、いや魔王となる存在だ。クリフォトの木を世界に根付かせるため、君たちには犠牲になってもらうよ」
ニーグリがにこやかに伝えると、周りに緊張が走ったようだな。周りの奴らも最初は俺達を見下したような目をしていたが、すぐに戦士の目になりやがった。衛兵どもはなかなか訓練されているようだな。もっとも、俺とニーグリにとってはゴミカス同然だが。
「こいつらをひっ捕らえろ! 殺しても構わん! いや、むしろ殺すのだ!」
「へーっ、できるのかそれ? おもしろいな、やってみろよ」
教皇はニーグリが何者かわかったのか、まともに顔色を変えて周りに命令する。出来もしないことを部下に押し付けんなよな。
「聖下、この私にお任せ下さい。神剣カリーンを手にした私に敵う者はいません」
そのおっさんは教皇と俺達の間に入り、道を塞ぐように立ちはだかる。煌めくほどの美しさを放つ刃に綺羅びやかな装飾のされた剣。あれが神剣カリーンか。なるほど、確かに凄まじい力を感じる。
「嬉しいね、神剣カリーン探していたんだ。わざわざ持って来てくれるなんてとても親切なおじさんだね。お礼に死に方を選ばせてあげるよ。真っ二つがいい? 首を跳ねられるのがいい? それとも苦しみ抜いて死んでみたい?」
ニーグリがわきわきと肘を振って目を輝かせている。いや、こんなときまで仕草が女の子なんかい。
「戯れ言を。このカリーンの斬れ味、堪能するがいい!」
おっさんが神剣カリーンを振りかぶってニーグリに斬りかかる。
……おせぇ。人間にしちゃやるようだがあんなもんニーグリに通じるかよ。
「あれれれれー? 斬れてないよ? 神剣ってこんなにナマクラなの?」
あろうことかニーグリはそのおっさんの全力の一撃を左腕の手首で受け止めた。さすがにこれは俺でもやる勇気ないわ。
「な、なんだと!?」
「あ、そうか。おじさんの腕がナマクラなんだね。エストガレスで見たあの子だったらその剣で僕の手首くらい切り落とせただろうなぁ。名前なんて言ったかな?」
「遊んでないでさっさと剣を回収してくれ。その剣の神気は俺にはちとキツイ」
全く、神剣というだけあって凄い神気だ。神気ってのは悪魔にとっては毒みたいなもんだが、このレベルの神気を持つ剣で斬られたら子爵級じゃひとたまりもない。恐らく俺でも斬られたらかなりの傷を負うだろう。候爵と公爵でここまでの差があるのかよ。
「うん、そうだね。じゃあおじさん、この剣もらうね?」
そう言い終わるが早いか、おっさんの首が跳んだ。なんてことはない、ニーグリが凄まじい早さで手刀を出しただけだ。恐らく俺以外には見えちゃいないだろうがな。
「な、なんということだ……!」
「聖下、お逃げください!」
わらわらと神官やら騎士やらが教皇を庇うように集まる。俺達に斬りかかるわけでもなく、あくまで教皇を庇うように動いているわけか。
「なぁニーグリ。この教皇だけ生かして逃がしてやろうぜ」
「え、なんで?」
「俺達の恐怖を教皇が語る。それもまたいいんじゃないかと思うんだ」
そう。教皇自らが俺達の恐怖を語り俺達の存在を世に知らしめるのだ。そうすれば俺は誰もが一目置く存在となる。俺の承認欲求を満たすいいアイデアじゃないか。
「君って本当に承認欲求の塊だよね。君の場合は貧しい生まれによる劣等感から来るものかな。ほんと、どろどろしてて根深くて僕好みの業の深い欲望だね」
そこは頬を染めるとこじゃねーだろ。なんでそんなうっとりしてるんだよ。
「やかましいわ。じゃあ始めようか。レディース&ジェントメン。今宵始まるは殺戮の宴でございます。死の恐怖をごゆるりとお楽しみくださいませ」
俺は目一杯腕を広げ、高らかに宣言する。さぁ始めようか。これは戦いじゃねぇ。一方的な虐殺だ。
1
あなたにおすすめの小説
男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる
暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。
授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**
転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。
狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる