125 / 188
第122話 蘇生《リィンカーネーション》
しおりを挟む
「なるほど、人魔ねぇ……」
サルヴァンとリーネから話を聞き、闇の鎖でがんじがらめにされた2人を見る。うん、凄い目つきでこちらを睨んでいるね。このまま解放したら襲いかかってくるのは目に見えているか。
「見た目は普通の人間なんだけどな。なんでもグレーターデーモン並の魔力があるんだとよ」
「それは凄い。高レベルの魔導士並かぁ」
もしそんな奴を大量生産されたら人類滅んじゃうかも。聞いた感じだと生贄を殺さないように加減していたらしい。それが無ければ犠牲無しとはいかなかっただろう。
「ねぇ、普通の人間に戻せない? 幸い姿形が変わったわけじゃないし、その力を封じるとかだけでもできたらいいんだけど」
「うーん、やってみないとわからないよ。初めての試みだし」
混ぜ合わせた物を分離するのは難しい。しかし中に取り込んでいるだけなら取り出せば済む話だ。どう変化しているかわからないから鑑定かなぁ。
「鑑定」
テオドール 種族:人魔 レベル18
魔力806
他にも色々魔法が記されているが、今はどうでもいい。それよりこの人魔という項目を拡大解釈により鑑定する。
人魔:クリフォトの実を食べたことによりその身に魔核を宿した人間のこと。魔核は魔力の供給源であり、生命活動もサポートしている。そのため魔核を宿した者は人を超えた力と肉体を有するようになる。また、魔核を有する際の精神状態はその後の人格形成に影響を与える。
「うーん、魔核を破壊すればいいのかな? 死んじゃったら蘇生で何とかなるし、やってみるよ」
蘇生は必要魔力1200という最高位魔法だ。聖属性の親和性がSなら必要魔力は840になるけど、現在使える魔導士は王国内だと僕とリオネッセさんくらいだね。蘇生条件は死後24時間以内で魂を破壊されていないことだそうだ。ただし、老衰であれば蘇生はできないけどね。
僕はテオドールの胸の辺りにそっと手を置いた。鎖越しだけど大丈夫だろう。
正直これを実行するのは頭のネジがぶっ飛んでいないと普通はできないだろう。魔核が生命活動をサポートするなら、それを失えば死んでしまう公算が高いからだ。いくら魔法で生き返らせることが可能でも保証されたものでもない。
「や、やめろ、やめてくれ!」
テオドールの顔が恐怖に歪む。うん、死んじゃうかもしんないし、折角手に入れた力を失うわけだから怖いよね。本当に望んで手に入れたものなのかは知らないけど、このままという訳にはいかない。
「魔核の位置を鑑定|、弱化、破壊《ディストラクション》」
精神を集中させ、魔核を探り当てる。そして魔力を弱体化させ、破壊魔法により魔核の破壊を行った。確かな手応え。魔核がバラバラに破壊され、跡形もなく消え失せる。
「ギャバァァァァッ!」
テオドールが血を吐き、苦痛ゆえか身体が痙攣を起こす。そして痙攣が止まったかと思えば首が力無く横を向いた。
どうやら息絶えてしまったようだ。
「蘇生」
そして蘇生魔法を試みる。するとテオドールが小さく呻き声をあげた。良かった、無事成功したようだ。もう一度鑑定してみよう。
テオドール 種族:人間 レベル18
魔力97 状態異常:魅了
魅了?
魔核を有した際の精神状態が人格形成に大きな影響を与える、とはそういうことか。魅了状態のまま魔核を有すると、その状態がデフォルトになるわけね。手下を増やすにはいい仕組みだなと思ってしまう。まさに悪魔を産む実だ。
「解放、回復」
魅了状態を解除し、拡大解釈の回復で意識を回復させる。身体のダメージは残るから後で神水でも飲ませよう。
「ううっ……、こ、ここは……?」
「お目覚めですか? ここはアルテアの神殿です。次はあなたの妹君を戻さないといけないので」
「ああ、すまない。そうか、私は……」
僕は立ち上がると今度は妹のリーゼロッテの方へと向かった。リーゼロッテはまるで親の仇を見るような目で僕を睨んでいる。
「よくも、よくもお兄様を……!」
「元に戻しただけだよ。君も戻してあげるから静かにね?」
「ああっ、アマラ様……!」
リーゼロッテは悔しそうにアマラの名を口にする。もしこれが魅了のせいじゃなかったら少しめんどくさいことになるな……。
そして先程同様魔力を弱体化させ、破壊魔法によって魔核を破壊した。リーゼロッテは涙を流しながら血を吐き、息絶える。
「蘇生」
そして蘇生魔法により息を吹き返してもらい鑑定する。やはりリーゼロッテも魅了の状態異常が付いていた。そちらも解放により元に戻し、意識を回復させる。
「ううっ……」
「これで大丈夫かな。しばらく安静にしてもらって体力を回復してもらわないと」
魔法でもある程度の疲れは取ることができる。けど、一度死に、蘇生した後は急激な体力の消耗があるそうだ。神水を与えれば回復までの日数を短縮できるだろう。話はそれから聞けばいい。
「リーネ、鎖を解いてあげて。それと神官さん、2人を休ませてあげてください」
「あ、そうだね。ごめん」
「はい、わかりました。おい、お2人を救護室へ運ぶんだ。回復魔法も忘れるな」
リーネが鎖を解除する。そして上位の神官が他の神官に指示を出し、2人は担架で運ばれて行った。後で神水を届けさせよう。それと2人の無事を領主様にも伝えないといけないかな。
そして重要なこともわかった。
クリフォトの木は実在する。そしてそれはアマラ達の管理下にある、ということだ。
「クリフォトの木か……」
ドレカヴァクよりも厄介そうな問題に目眩がしそうだよ……。
とりあえず大司祭様に今回の件が表沙汰にならないようお願いしよう。
サルヴァンとリーネから話を聞き、闇の鎖でがんじがらめにされた2人を見る。うん、凄い目つきでこちらを睨んでいるね。このまま解放したら襲いかかってくるのは目に見えているか。
「見た目は普通の人間なんだけどな。なんでもグレーターデーモン並の魔力があるんだとよ」
「それは凄い。高レベルの魔導士並かぁ」
もしそんな奴を大量生産されたら人類滅んじゃうかも。聞いた感じだと生贄を殺さないように加減していたらしい。それが無ければ犠牲無しとはいかなかっただろう。
「ねぇ、普通の人間に戻せない? 幸い姿形が変わったわけじゃないし、その力を封じるとかだけでもできたらいいんだけど」
「うーん、やってみないとわからないよ。初めての試みだし」
混ぜ合わせた物を分離するのは難しい。しかし中に取り込んでいるだけなら取り出せば済む話だ。どう変化しているかわからないから鑑定かなぁ。
「鑑定」
テオドール 種族:人魔 レベル18
魔力806
他にも色々魔法が記されているが、今はどうでもいい。それよりこの人魔という項目を拡大解釈により鑑定する。
人魔:クリフォトの実を食べたことによりその身に魔核を宿した人間のこと。魔核は魔力の供給源であり、生命活動もサポートしている。そのため魔核を宿した者は人を超えた力と肉体を有するようになる。また、魔核を有する際の精神状態はその後の人格形成に影響を与える。
「うーん、魔核を破壊すればいいのかな? 死んじゃったら蘇生で何とかなるし、やってみるよ」
蘇生は必要魔力1200という最高位魔法だ。聖属性の親和性がSなら必要魔力は840になるけど、現在使える魔導士は王国内だと僕とリオネッセさんくらいだね。蘇生条件は死後24時間以内で魂を破壊されていないことだそうだ。ただし、老衰であれば蘇生はできないけどね。
僕はテオドールの胸の辺りにそっと手を置いた。鎖越しだけど大丈夫だろう。
正直これを実行するのは頭のネジがぶっ飛んでいないと普通はできないだろう。魔核が生命活動をサポートするなら、それを失えば死んでしまう公算が高いからだ。いくら魔法で生き返らせることが可能でも保証されたものでもない。
「や、やめろ、やめてくれ!」
テオドールの顔が恐怖に歪む。うん、死んじゃうかもしんないし、折角手に入れた力を失うわけだから怖いよね。本当に望んで手に入れたものなのかは知らないけど、このままという訳にはいかない。
「魔核の位置を鑑定|、弱化、破壊《ディストラクション》」
精神を集中させ、魔核を探り当てる。そして魔力を弱体化させ、破壊魔法により魔核の破壊を行った。確かな手応え。魔核がバラバラに破壊され、跡形もなく消え失せる。
「ギャバァァァァッ!」
テオドールが血を吐き、苦痛ゆえか身体が痙攣を起こす。そして痙攣が止まったかと思えば首が力無く横を向いた。
どうやら息絶えてしまったようだ。
「蘇生」
そして蘇生魔法を試みる。するとテオドールが小さく呻き声をあげた。良かった、無事成功したようだ。もう一度鑑定してみよう。
テオドール 種族:人間 レベル18
魔力97 状態異常:魅了
魅了?
魔核を有した際の精神状態が人格形成に大きな影響を与える、とはそういうことか。魅了状態のまま魔核を有すると、その状態がデフォルトになるわけね。手下を増やすにはいい仕組みだなと思ってしまう。まさに悪魔を産む実だ。
「解放、回復」
魅了状態を解除し、拡大解釈の回復で意識を回復させる。身体のダメージは残るから後で神水でも飲ませよう。
「ううっ……、こ、ここは……?」
「お目覚めですか? ここはアルテアの神殿です。次はあなたの妹君を戻さないといけないので」
「ああ、すまない。そうか、私は……」
僕は立ち上がると今度は妹のリーゼロッテの方へと向かった。リーゼロッテはまるで親の仇を見るような目で僕を睨んでいる。
「よくも、よくもお兄様を……!」
「元に戻しただけだよ。君も戻してあげるから静かにね?」
「ああっ、アマラ様……!」
リーゼロッテは悔しそうにアマラの名を口にする。もしこれが魅了のせいじゃなかったら少しめんどくさいことになるな……。
そして先程同様魔力を弱体化させ、破壊魔法によって魔核を破壊した。リーゼロッテは涙を流しながら血を吐き、息絶える。
「蘇生」
そして蘇生魔法により息を吹き返してもらい鑑定する。やはりリーゼロッテも魅了の状態異常が付いていた。そちらも解放により元に戻し、意識を回復させる。
「ううっ……」
「これで大丈夫かな。しばらく安静にしてもらって体力を回復してもらわないと」
魔法でもある程度の疲れは取ることができる。けど、一度死に、蘇生した後は急激な体力の消耗があるそうだ。神水を与えれば回復までの日数を短縮できるだろう。話はそれから聞けばいい。
「リーネ、鎖を解いてあげて。それと神官さん、2人を休ませてあげてください」
「あ、そうだね。ごめん」
「はい、わかりました。おい、お2人を救護室へ運ぶんだ。回復魔法も忘れるな」
リーネが鎖を解除する。そして上位の神官が他の神官に指示を出し、2人は担架で運ばれて行った。後で神水を届けさせよう。それと2人の無事を領主様にも伝えないといけないかな。
そして重要なこともわかった。
クリフォトの木は実在する。そしてそれはアマラ達の管理下にある、ということだ。
「クリフォトの木か……」
ドレカヴァクよりも厄介そうな問題に目眩がしそうだよ……。
とりあえず大司祭様に今回の件が表沙汰にならないようお願いしよう。
0
お気に入りに追加
711
あなたにおすすめの小説
転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ
如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白?
「え~…大丈夫?」
…大丈夫じゃないです
というかあなた誰?
「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」
…合…コン
私の死因…神様の合コン…
…かない
「てことで…好きな所に転生していいよ!!」
好きな所…転生
じゃ異世界で
「異世界ってそんな子供みたいな…」
子供だし
小2
「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」
よろです
魔法使えるところがいいな
「更に注文!?」
…神様のせいで死んだのに…
「あぁ!!分かりました!!」
やたね
「君…結構策士だな」
そう?
作戦とかは楽しいけど…
「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」
…あそこ?
「…うん。君ならやれるよ。頑張って」
…んな他人事みたいな…
「あ。爵位は結構高めだからね」
しゃくい…?
「じゃ!!」
え?
ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!
無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~
甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって?
そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活
mio
ファンタジー
なんやかんや、無理矢理あいつに異世界へと連れていかれました。
こうなったら仕方ない。とにかく、平和に楽しく暮らしていこう。
なぜ、少女は異世界へと連れてこられたのか。
自分の中に眠る力とは何なのか。
その答えを知った時少女は、ある決断をする。
長い間更新をさぼってしまってすいませんでした!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
チートを極めた空間魔術師 ~空間魔法でチートライフ~
てばくん
ファンタジー
ひょんなことから神様の部屋へと呼び出された新海 勇人(しんかい はやと)。
そこで空間魔法のロマンに惹かれて雑魚職の空間魔術師となる。
転生間際に盗んだ神の本と、神からの経験値チートで魔力オバケになる。
そんな冴えない主人公のお話。
-お気に入り登録、感想お願いします!!全てモチベーションになります-
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる