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第109話 《アマラの視点》クリフォトの種3
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あれから半月程経ち、今日も俺は一人ウォレンスの街の闇ギルドにケンカをふっかけていた。これも全ては俺の設立した団体『クリフォトの種』に入信させるためだ。
あの日クリフォトの実を口にしたときに俺は人魔となり、人を超越した。そして自分がクリフォトに選ばれた存在となったことを知ったのだ。
クリフォトの守護者。それが俺の得た称号であり、それに連なるスキルを複数手にしている。
「お前がアマラか。最近最近この街であちこちにケンカを売っては怪しい団体に入信させているらしいな」
闇ギルドの巣窟といえばスラム街の酒場と相場が決まっている。そんなわけで俺はいくつも酒場を回ってはこうして殴り込みをかけている訳だ。
まぁ、中へ入れば大体は同じ反応をする。余所者には厳しい奴らだからな。酒場にいる奴らが一斉に俺を睨みつけて威嚇、痛い目にあわせようと詰め寄るもんだ。
「わかっているなら話は早いな。俺の団体クリフォトの種に入信しろ。そうすれば力をくれてやる」
「は? 怪しい宗教はお断りだ」
「なら選ばせてやる。服従か死か」
俺はバッ、右腕を横に広げるとマントを翻した。フッ、決まったぜ!
「るせーよ。死ね 、闇槍!」
奴らのうち1人が俺に向かって闇でできた槍を飛ばす。闇系としては初級魔法だが、急所に入れば十分人を殺せる魔法だ。
ま、俺に闇魔法は効かないんだけどな?
俺の身体に闇でできた槍が突き刺さる。その瞬間の奴らの嬉しそうなこと。ガッツポーズまで取って、見てた奴らも歓声をあげていやがる。
しかし闇の槍は俺の身体に飲み込まれていく。闇魔法は無効どころか吸収しちゃうんだよなぁ、俺。クリフォトは悪魔を産む木。そんな木の恩恵を受けている俺に闇属性なんか通じないんだよな。ま、こいつらは知らねぇから仕方がないが。
「うーん、大した力じゃねぇな。これじゃ使いっ走りにもなりゃしねぇな」
しかしショボイ魔法だ。こんなもん吸収してもなんの足しにもなりゃしねぇ。
「き、効いてないのか……!?」
「見ての通りだが? もう1回聞くぞ? 服従か死か、好きな方を選べ」
なんか驚いているようだが、相手との実力差もわからないほどのゴミなのか?
まぁ、あんなんでも信奉者になれば二ーの足しにはなるし、俺を崇めるようになる。そのために心をへし折らなきゃならんのは実に面倒なんだけどな。一人くらい見せしめに殺すか?
「クソッ! だったら殺っちまえ! 直接ぶった切ってやるんだよ!」
奴らの中の一人が周りに向かって怒鳴り散らす。なるほど、このヒゲもじゃ野郎がこいつらのリーダーのようだな。
「よし、お前にしよう。おい、ヒゲもじゃ野郎。今からお前を殺す。その後は反抗の意志を示す奴から順に殺す」
「あん!?」
ヒゲもじゃ野郎を指差し、宣言する。俺の一言が気に食わなかったのか、ヒゲもじゃ野郎は俺を睨みつける。俺から見たら変顔にしか見えないんだが。
「闇弾」
力ある言葉とともに俺の周りに無数の闇の弾丸が展開する。その数は百や二百どころじゃねぇはずだ。その数に奴らは驚き、剣を抜いたはいいが俺に近づけずにいるようだ。
「な、なんだその数は!」
「力の差がわかったか? 恭順の意を示すなら命の保証はしてやる。さもなくば死んでもらうだけだ」
俺の言葉に奴らは答えない。やはり見せしめは必要か。まぁ、1人くらいいいか。
無数の弾丸の内のたった1つをヒゲもじゃ野郎に向かって飛ばした。すると奴は反応しきれずあっさりとその胸を貫かれる。心臓を射抜かれたヒゲもじゃは血を吐き、あっさりとその場に倒れ伏して絶命した。
「……弱いな、こんなものか。せっかくだしアンデッドにしてこき使ってみるか。創骸」
するとヒゲもじゃはゆっくりと起き上がる。もちろん生気なんてありゃしない。胸からだらだら血を流し、白目を剥いている上に顔も土気色だ。しかもふらふらと足元がおぼつかない。
「ひっ……! ゾ、ゾンビ……!?」
「ひぃぃぃぃっ!!」
その様子に周りは完全に怯え始め、ヒゲもじゃ野郎から距離を取る。ゾンビなんて大した魔物じゃねぇけど、見た目のインパクトがあるよな……。
「お、俺たちの負けだ! あんたに従う!」
「頼む、命だけは助けてくれ!」
心が無事折れたようで何よりだ。奴らはこの俺にひれ伏し、服従を誓い命乞いを始めた。
くはっ、これは気分いいな。やべぇ、ニヤニヤが止まらねぇぜ。これこれ、これこそが蹂躙の悦びってやつだな。
「いいだろう。ならこの俺に服従を誓い、クリフォトの種に入信しろ。引き換えに少しだが力もくれてやる」
「わ、わかった、入信する」
これで潰した闇ギルドは4つめか。しかしあまり派手に動いて目立つのも賢い選択とは言えねぇな……。何か考えないとな。
あの日クリフォトの実を口にしたときに俺は人魔となり、人を超越した。そして自分がクリフォトに選ばれた存在となったことを知ったのだ。
クリフォトの守護者。それが俺の得た称号であり、それに連なるスキルを複数手にしている。
「お前がアマラか。最近最近この街であちこちにケンカを売っては怪しい団体に入信させているらしいな」
闇ギルドの巣窟といえばスラム街の酒場と相場が決まっている。そんなわけで俺はいくつも酒場を回ってはこうして殴り込みをかけている訳だ。
まぁ、中へ入れば大体は同じ反応をする。余所者には厳しい奴らだからな。酒場にいる奴らが一斉に俺を睨みつけて威嚇、痛い目にあわせようと詰め寄るもんだ。
「わかっているなら話は早いな。俺の団体クリフォトの種に入信しろ。そうすれば力をくれてやる」
「は? 怪しい宗教はお断りだ」
「なら選ばせてやる。服従か死か」
俺はバッ、右腕を横に広げるとマントを翻した。フッ、決まったぜ!
「るせーよ。死ね 、闇槍!」
奴らのうち1人が俺に向かって闇でできた槍を飛ばす。闇系としては初級魔法だが、急所に入れば十分人を殺せる魔法だ。
ま、俺に闇魔法は効かないんだけどな?
俺の身体に闇でできた槍が突き刺さる。その瞬間の奴らの嬉しそうなこと。ガッツポーズまで取って、見てた奴らも歓声をあげていやがる。
しかし闇の槍は俺の身体に飲み込まれていく。闇魔法は無効どころか吸収しちゃうんだよなぁ、俺。クリフォトは悪魔を産む木。そんな木の恩恵を受けている俺に闇属性なんか通じないんだよな。ま、こいつらは知らねぇから仕方がないが。
「うーん、大した力じゃねぇな。これじゃ使いっ走りにもなりゃしねぇな」
しかしショボイ魔法だ。こんなもん吸収してもなんの足しにもなりゃしねぇ。
「き、効いてないのか……!?」
「見ての通りだが? もう1回聞くぞ? 服従か死か、好きな方を選べ」
なんか驚いているようだが、相手との実力差もわからないほどのゴミなのか?
まぁ、あんなんでも信奉者になれば二ーの足しにはなるし、俺を崇めるようになる。そのために心をへし折らなきゃならんのは実に面倒なんだけどな。一人くらい見せしめに殺すか?
「クソッ! だったら殺っちまえ! 直接ぶった切ってやるんだよ!」
奴らの中の一人が周りに向かって怒鳴り散らす。なるほど、このヒゲもじゃ野郎がこいつらのリーダーのようだな。
「よし、お前にしよう。おい、ヒゲもじゃ野郎。今からお前を殺す。その後は反抗の意志を示す奴から順に殺す」
「あん!?」
ヒゲもじゃ野郎を指差し、宣言する。俺の一言が気に食わなかったのか、ヒゲもじゃ野郎は俺を睨みつける。俺から見たら変顔にしか見えないんだが。
「闇弾」
力ある言葉とともに俺の周りに無数の闇の弾丸が展開する。その数は百や二百どころじゃねぇはずだ。その数に奴らは驚き、剣を抜いたはいいが俺に近づけずにいるようだ。
「な、なんだその数は!」
「力の差がわかったか? 恭順の意を示すなら命の保証はしてやる。さもなくば死んでもらうだけだ」
俺の言葉に奴らは答えない。やはり見せしめは必要か。まぁ、1人くらいいいか。
無数の弾丸の内のたった1つをヒゲもじゃ野郎に向かって飛ばした。すると奴は反応しきれずあっさりとその胸を貫かれる。心臓を射抜かれたヒゲもじゃは血を吐き、あっさりとその場に倒れ伏して絶命した。
「……弱いな、こんなものか。せっかくだしアンデッドにしてこき使ってみるか。創骸」
するとヒゲもじゃはゆっくりと起き上がる。もちろん生気なんてありゃしない。胸からだらだら血を流し、白目を剥いている上に顔も土気色だ。しかもふらふらと足元がおぼつかない。
「ひっ……! ゾ、ゾンビ……!?」
「ひぃぃぃぃっ!!」
その様子に周りは完全に怯え始め、ヒゲもじゃ野郎から距離を取る。ゾンビなんて大した魔物じゃねぇけど、見た目のインパクトがあるよな……。
「お、俺たちの負けだ! あんたに従う!」
「頼む、命だけは助けてくれ!」
心が無事折れたようで何よりだ。奴らはこの俺にひれ伏し、服従を誓い命乞いを始めた。
くはっ、これは気分いいな。やべぇ、ニヤニヤが止まらねぇぜ。これこれ、これこそが蹂躙の悦びってやつだな。
「いいだろう。ならこの俺に服従を誓い、クリフォトの種に入信しろ。引き換えに少しだが力もくれてやる」
「わ、わかった、入信する」
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