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第105話 紙作りのヒント
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会談から5日ほど経ち、フィンとミラも魔法を覚えられるくらいの読み書きが出来るようになっていた。今後のことも考え、2人が魔法を覚える際に資質の強化を1段階行っている。そしたらそしたら2人ともA判定が3つもあった。結構優秀だったらしい。
「これで俺達も魔導士の仲間入りか。早速魔法を使ってみたいがいいか?」
「じゃあちょっと狩りにでも行く?」
「ルウ話せるじゃない。よし、行きましょ行きましょ!」
魔導士協会を出た後、2人は魔法を覚えられたことに感激していた。魔法なんて使ってなんぼだし、オーク程度なら大丈夫だろう。そう思って提案するとミラが嬉しそうに僕を急かす。
「いいけど、私もルウも前衛じゃないよ?」
「オーク程度なら僕でも前衛できるよ。いざとなったら倒すだけだし」
リーネも入れて4人いるけど、実は前衛専門の人がいなかったりする。フィンは弓が得意だから後衛だし、ミラは一応槍で戦っていたけど、ルードとベオグラードの陰に隠れて一撃加える役目だったため、直接敵と相対してどうこう、というのはあまりないそうだ。
対して僕は今やレベル51。フィンがレベル12だし、経験から言って僕が前衛をやった方がまだマシだろう。油断さえしなければオークの力任せな攻撃に当たることは無い。
「無茶はダメだよ? それでもオークの一撃で私もルウも大怪我しちゃうんだから」
「そうだな。レベルが上がって多少体力がついても頑丈になるわけじゃないからな」
確かに間違ってもらったら終わる。これはどれだけ高いレベルにいる人でも一緒だ。
「そうなのよね。レベルって一体何なのかしらね? 確かに身体能力は上がるし反応も良くなるし魔力も上がるけど、サルヴァンみたいに頑丈になるわけじゃないもんね」
「いや、十分だろ。というかサルヴァンの頑丈さは異常だ。ルードがミスリルの剣で腕を叩き切ったらなんで剣が折れるんだよ」
あれは比べる対象が悪いと思うな。アレサがやったらサルヴァンの腕も無事じゃ済まないけど、並の腕前ではそんなものだ。使い込むほど硬くなれるため、オーガに殴られても無傷で済むと思う。体重差で吹っ飛ぶとは思うけど。
「あれはびびったわね……」
「サルヴァンのはスキルだからね……?」
あれを基準にするのはやめた方がいいと思うな。普通はどれだけレベルが上がろうと硬くなることはないからね?
そうやってだべっているうちに街の門に到着した。門を出て街の外に出れば、10分程で森に着く。
「先ずはオークよね。スキルを手に入れてからはオークで結構稼げたわよね」
「ああ、そうだな。それについては凄く感謝している。しかし凄いものだな、スキルというものは」
そうか、スキルを覚えた事で稼ぎが増えたなら良かった。
「そういえば2人はどんなスキルを手に入れたの?」
「ふふん、私は遠隔魔法ってスキルよ。通常の射程を大きく超えて魔法を発動できるんだって。だから魔法を覚えないと役に立たないのよねぇ」
確かにそれは魔法を早く覚えたくて仕方がなかっただろう。しかし遠隔魔法か。使いようによっては恐ろしいスキルに化ける可能性がありそうだ。
「俺のは魔力矢ってやつだ。魔力や魔法で矢を作ることができるそうだ。魔力で矢を作れたおかげで矢が節約できてるよ。魔法で矢を作れるってのも変わってるよな。せっかくだし今回はそれも試したい」
弓矢は意外とお金のかかる装備だ。矢は基本消耗品だし、使えるようになるには修練が必要だしで結構敷居が高い。それでも遠距離から攻撃できるため、魔導士のいないパーティなら1人は欲しいだろう。
そして森の中に入り、奥へと進んでいく。まだ日も高く、浅いところではまだ小動物を見かけることもできた。
「ちょっと待て。あれワスプじゃないか?」
「木に群がってるね。木をかじって巣を作っているのかも」
見上げると木にワスプ達が群がっていた。木をかじったせいで木の表皮が剥げている。ワスプとは大きな蜂のことで、気性が荒いため近づくと集団で人や動物を襲う。しかもこいつらは魔物ではないため、使える素材もないのだ。
「へぇー、あいつら木なんてかじるんだ」
「うん、そうだよ。木をかじって砕いて唾液と混ぜて巣を……」
そこではたと気がつく。そうだ、ワスプの巣を触ったことがあるけど、あの質感は紙に近いものがなかっただろうか?
そうだ、紙を作る際に使う布の材料は麻じゃないか。あれだって植物だ。だったら木を材料に紙を作れるんじゃないだろうか……?
「? どうしたのルウ?」
「これだ!」
リーネが声をかける。多分心配してくれたのだろう。しかし僕は天啓のごとく閃いた考えに嬉しさのあまり叫んでしまっていた。
「ど、どうしたんだルウ?」
「うん、高品質の紙を大量生産する方法を思いついたんだ!」
僕はこぼれる笑みを抑えきれず、喜んでそのことを話す。木であればぼろ布を集めるより手間がかからないはずだ。きっと生産量も増やせると思う。
「え!? それって確かマルタンさんに期待されていたやつだよね? もう解決の糸口が掴めたの?」
「うん、これから実験してみるよ」
リーネも驚きより嬉しさが勝ったようで、僕の手を取って目を輝かせる。もしこの考えが正しければ製紙業の革命だ。
「それはいいけど狩りが終わってからにしてくれよ……?」
「あ、うん。そうだね。ごめんごめん」
喜ぶ僕とリーネに少し申し訳なさそうにフィンが頼む。もちろん無下にはしないとも。狩りには付き合いよ。
「とりあえずあのワスプたちは駆除するからね? こんなとこにワスプがいたら困るし」
うん、天啓をくれたのに悪いけど、放っておくと冒険者が襲われるからね。ワスプってもろに害虫認定されてるからなぁ……。
「これで俺達も魔導士の仲間入りか。早速魔法を使ってみたいがいいか?」
「じゃあちょっと狩りにでも行く?」
「ルウ話せるじゃない。よし、行きましょ行きましょ!」
魔導士協会を出た後、2人は魔法を覚えられたことに感激していた。魔法なんて使ってなんぼだし、オーク程度なら大丈夫だろう。そう思って提案するとミラが嬉しそうに僕を急かす。
「いいけど、私もルウも前衛じゃないよ?」
「オーク程度なら僕でも前衛できるよ。いざとなったら倒すだけだし」
リーネも入れて4人いるけど、実は前衛専門の人がいなかったりする。フィンは弓が得意だから後衛だし、ミラは一応槍で戦っていたけど、ルードとベオグラードの陰に隠れて一撃加える役目だったため、直接敵と相対してどうこう、というのはあまりないそうだ。
対して僕は今やレベル51。フィンがレベル12だし、経験から言って僕が前衛をやった方がまだマシだろう。油断さえしなければオークの力任せな攻撃に当たることは無い。
「無茶はダメだよ? それでもオークの一撃で私もルウも大怪我しちゃうんだから」
「そうだな。レベルが上がって多少体力がついても頑丈になるわけじゃないからな」
確かに間違ってもらったら終わる。これはどれだけ高いレベルにいる人でも一緒だ。
「そうなのよね。レベルって一体何なのかしらね? 確かに身体能力は上がるし反応も良くなるし魔力も上がるけど、サルヴァンみたいに頑丈になるわけじゃないもんね」
「いや、十分だろ。というかサルヴァンの頑丈さは異常だ。ルードがミスリルの剣で腕を叩き切ったらなんで剣が折れるんだよ」
あれは比べる対象が悪いと思うな。アレサがやったらサルヴァンの腕も無事じゃ済まないけど、並の腕前ではそんなものだ。使い込むほど硬くなれるため、オーガに殴られても無傷で済むと思う。体重差で吹っ飛ぶとは思うけど。
「あれはびびったわね……」
「サルヴァンのはスキルだからね……?」
あれを基準にするのはやめた方がいいと思うな。普通はどれだけレベルが上がろうと硬くなることはないからね?
そうやってだべっているうちに街の門に到着した。門を出て街の外に出れば、10分程で森に着く。
「先ずはオークよね。スキルを手に入れてからはオークで結構稼げたわよね」
「ああ、そうだな。それについては凄く感謝している。しかし凄いものだな、スキルというものは」
そうか、スキルを覚えた事で稼ぎが増えたなら良かった。
「そういえば2人はどんなスキルを手に入れたの?」
「ふふん、私は遠隔魔法ってスキルよ。通常の射程を大きく超えて魔法を発動できるんだって。だから魔法を覚えないと役に立たないのよねぇ」
確かにそれは魔法を早く覚えたくて仕方がなかっただろう。しかし遠隔魔法か。使いようによっては恐ろしいスキルに化ける可能性がありそうだ。
「俺のは魔力矢ってやつだ。魔力や魔法で矢を作ることができるそうだ。魔力で矢を作れたおかげで矢が節約できてるよ。魔法で矢を作れるってのも変わってるよな。せっかくだし今回はそれも試したい」
弓矢は意外とお金のかかる装備だ。矢は基本消耗品だし、使えるようになるには修練が必要だしで結構敷居が高い。それでも遠距離から攻撃できるため、魔導士のいないパーティなら1人は欲しいだろう。
そして森の中に入り、奥へと進んでいく。まだ日も高く、浅いところではまだ小動物を見かけることもできた。
「ちょっと待て。あれワスプじゃないか?」
「木に群がってるね。木をかじって巣を作っているのかも」
見上げると木にワスプ達が群がっていた。木をかじったせいで木の表皮が剥げている。ワスプとは大きな蜂のことで、気性が荒いため近づくと集団で人や動物を襲う。しかもこいつらは魔物ではないため、使える素材もないのだ。
「へぇー、あいつら木なんてかじるんだ」
「うん、そうだよ。木をかじって砕いて唾液と混ぜて巣を……」
そこではたと気がつく。そうだ、ワスプの巣を触ったことがあるけど、あの質感は紙に近いものがなかっただろうか?
そうだ、紙を作る際に使う布の材料は麻じゃないか。あれだって植物だ。だったら木を材料に紙を作れるんじゃないだろうか……?
「? どうしたのルウ?」
「これだ!」
リーネが声をかける。多分心配してくれたのだろう。しかし僕は天啓のごとく閃いた考えに嬉しさのあまり叫んでしまっていた。
「ど、どうしたんだルウ?」
「うん、高品質の紙を大量生産する方法を思いついたんだ!」
僕はこぼれる笑みを抑えきれず、喜んでそのことを話す。木であればぼろ布を集めるより手間がかからないはずだ。きっと生産量も増やせると思う。
「え!? それって確かマルタンさんに期待されていたやつだよね? もう解決の糸口が掴めたの?」
「うん、これから実験してみるよ」
リーネも驚きより嬉しさが勝ったようで、僕の手を取って目を輝かせる。もしこの考えが正しければ製紙業の革命だ。
「それはいいけど狩りが終わってからにしてくれよ……?」
「あ、うん。そうだね。ごめんごめん」
喜ぶ僕とリーネに少し申し訳なさそうにフィンが頼む。もちろん無下にはしないとも。狩りには付き合いよ。
「とりあえずあのワスプたちは駆除するからね? こんなとこにワスプがいたら困るし」
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