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第90話 魔神ドレカヴァク
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「総員魔法撃て!」
殿下の指示で射程に入ったドレカヴァクに対し浄滅魔法や火炎系の魔法を放つ。僕らも負けじと強化をかけた魔法を放った。
リオネッセさんの審判
僕の浄滅
リーネの龍炎
他にも最大火力級の魔法を撃った。その乱射によって前方は光と炎にまみれる。熱気がこちらまで伝わり、僕の髪の毛からチリつくような焦げ臭い匂いがした。
「よし、総員後退! 距離を取って第二波を用意せよ!」
殿下の命令で総員が後退する。僕たちはこの場で待機だ。そして次の瞬間炎が消し飛ばされた。
「ハーッハッハッハッ! 効かねぇなあ! 悪いけど魔法そのものが効かねぇんだよ!」
ドレカヴァクが前身する。そしてその全身を見て僕は怖気がした。
その巨体は無数の屍でてきていたのだ。その足も、腕も、顔も全てが人の屍。その肉体の周りをレイスやレヴナントといった無数の悪霊がまとわりついている。その全長は果たしてどれほどなのか。もうそれこそオーガが赤子に見えるほどだよ……。
「お返しをしてやろう……」
死の巨人となったドレカヴァクが右手を掲げる。その掲げた手の中にレイスやレヴナントが集まっていき、球体を作りあげた。
「まずい! 防壁、強化」
「聖霊の盾」
僕が障壁を張ると、皆も持てる障壁魔法を使って攻撃に備える。
「おもしろい、あえてその盾にぶつけてやろう」
ドレカヴァクが右手に集めた悪霊たちを1つの球体にまとめると、大きく振りかぶって全力で投げてきた。そのときに足が大地を踏みしめ、地面が大きく揺れる。
投げた悪霊球は全ての悪霊が合わさったせいか、1つの大きな悪霊のようだった。僕の障壁を破壊し、リオネッセさんの障壁と衝突すると、そのサイズを減らしながらも障壁を打ち破る。
そして残った障壁を食い破り、威力を大きく落としながらエクソシスト達の手前10m程の位置に着弾した。
着弾した箇所が爆発を起こし、黒い瘴気が爆ぜる。それは爆風のように広がり、離れた位置にいるエクソシストや騎士達、冒険者たちを吹き飛ばした。
悲鳴と絶叫が響き、戦線は容易く崩壊。命令を待つまでもなく撤退が始まる。
「ハーッハッハッハッ! 雑魚どもなんざ後でゆっくり殺してやる。今は逃げるがいい。だがライミス! テメェはダメだ! 撤退するなら俺は街を襲うぞ!」
ドレカヴァクは高笑いをあげると、今度は僕たちを指差して宣言した。声は額の方からしている。空を飛んで直接やるか?
いや、リスクが高すぎるな。
「勇士の紋章メンバーに告げる! 撤退はない! ここで決着をつける!」
「おう!」
ライミスさんがそう宣言し、皆が意志をひとつにする。どのみち僕らに逃げ場はない。決着をつけるならここだろう。
「いい覚悟だ! 死ね!」
「とにかく避けろ! 全員散開!」
ドレカヴァクが右手を振り上げる。直接ぶん殴る気か!
僕たちは蜘蛛の子を散らすように広がって逃げる。特にライミスさんは完全に孤立だ。恐らく囮になるつもりだろう。
案の定、狙いはライミスさんだった。ライミスさん目掛けて振り下ろされた右手は大地を抉り、土煙を巻き上げる。殴った箇所にはクレーターができていた。あんなもの食らったら即死してしまう。
「どうしたどうした! 逃げてばかりか?」
「ふん、木偶の坊が!」
アレーテさんが距離を詰め、脚を切りに行った。その凄まじい疾さにドレカヴァクは反応出来ていない。
アレーテさんが右脚を切りつけた。
切りつけた箇所から光が立ち上った。しかしその光は右脚を崩壊させるには至らない。切りつけたキズも回復していく。
ドレカヴァクはすぐに右足を上げ、アレーテさんを追い払った。
アレーテさんが踏み潰されないよう後ろに回りこむ。
この攻防ではドレカヴァクはほぼ無傷。魔法も効果なし。
「氷塊流星群使う?」
「いや、あれだけ大きいと威力が出る前に当たって大したダメージにならないよ」
氷塊流星群だと生成中に叩き落とされる可能性もある。それに味方にも被害が出てしまうだろう。
味方に被害、という点では爆発もダメだ。あの巨体を吹き飛ばす爆発となるとここら一帯が焦土と化す。
「くそっ、どうする?」
「今考え中……」
うーん、デカイってのはそれだけで脅威だよなホント。オマケに魔法は効かないか。
「くそっ、私の龍炎光牙剣でもダメだというのか……」
うーん、せっかく作った龍炎光牙剣は切り札になると思ったのになぁ。僕たちパーティの名を冠した剣だもの。これが役に立たないなんて悔しすぎる。
ん?
龍炎光牙……。みんなのスキル……。僕の拡大解釈で……。
「ある!」
「え?」
天啓のごとく閃いた考えに僕は勝機を見出すと、思わず叫んでしまった。
「勝つ方法だよ。そうだよ、僕らだからこそできることがあるじゃないか!」
「さすがルウだ。その方法は?」
「超龍炎光牙剣だよ!」
「「「は?」」」
僕の一言に皆が意味わからん、と肩を落とす。でも大丈夫、これならきっと勝てる!
殿下の指示で射程に入ったドレカヴァクに対し浄滅魔法や火炎系の魔法を放つ。僕らも負けじと強化をかけた魔法を放った。
リオネッセさんの審判
僕の浄滅
リーネの龍炎
他にも最大火力級の魔法を撃った。その乱射によって前方は光と炎にまみれる。熱気がこちらまで伝わり、僕の髪の毛からチリつくような焦げ臭い匂いがした。
「よし、総員後退! 距離を取って第二波を用意せよ!」
殿下の命令で総員が後退する。僕たちはこの場で待機だ。そして次の瞬間炎が消し飛ばされた。
「ハーッハッハッハッ! 効かねぇなあ! 悪いけど魔法そのものが効かねぇんだよ!」
ドレカヴァクが前身する。そしてその全身を見て僕は怖気がした。
その巨体は無数の屍でてきていたのだ。その足も、腕も、顔も全てが人の屍。その肉体の周りをレイスやレヴナントといった無数の悪霊がまとわりついている。その全長は果たしてどれほどなのか。もうそれこそオーガが赤子に見えるほどだよ……。
「お返しをしてやろう……」
死の巨人となったドレカヴァクが右手を掲げる。その掲げた手の中にレイスやレヴナントが集まっていき、球体を作りあげた。
「まずい! 防壁、強化」
「聖霊の盾」
僕が障壁を張ると、皆も持てる障壁魔法を使って攻撃に備える。
「おもしろい、あえてその盾にぶつけてやろう」
ドレカヴァクが右手に集めた悪霊たちを1つの球体にまとめると、大きく振りかぶって全力で投げてきた。そのときに足が大地を踏みしめ、地面が大きく揺れる。
投げた悪霊球は全ての悪霊が合わさったせいか、1つの大きな悪霊のようだった。僕の障壁を破壊し、リオネッセさんの障壁と衝突すると、そのサイズを減らしながらも障壁を打ち破る。
そして残った障壁を食い破り、威力を大きく落としながらエクソシスト達の手前10m程の位置に着弾した。
着弾した箇所が爆発を起こし、黒い瘴気が爆ぜる。それは爆風のように広がり、離れた位置にいるエクソシストや騎士達、冒険者たちを吹き飛ばした。
悲鳴と絶叫が響き、戦線は容易く崩壊。命令を待つまでもなく撤退が始まる。
「ハーッハッハッハッ! 雑魚どもなんざ後でゆっくり殺してやる。今は逃げるがいい。だがライミス! テメェはダメだ! 撤退するなら俺は街を襲うぞ!」
ドレカヴァクは高笑いをあげると、今度は僕たちを指差して宣言した。声は額の方からしている。空を飛んで直接やるか?
いや、リスクが高すぎるな。
「勇士の紋章メンバーに告げる! 撤退はない! ここで決着をつける!」
「おう!」
ライミスさんがそう宣言し、皆が意志をひとつにする。どのみち僕らに逃げ場はない。決着をつけるならここだろう。
「いい覚悟だ! 死ね!」
「とにかく避けろ! 全員散開!」
ドレカヴァクが右手を振り上げる。直接ぶん殴る気か!
僕たちは蜘蛛の子を散らすように広がって逃げる。特にライミスさんは完全に孤立だ。恐らく囮になるつもりだろう。
案の定、狙いはライミスさんだった。ライミスさん目掛けて振り下ろされた右手は大地を抉り、土煙を巻き上げる。殴った箇所にはクレーターができていた。あんなもの食らったら即死してしまう。
「どうしたどうした! 逃げてばかりか?」
「ふん、木偶の坊が!」
アレーテさんが距離を詰め、脚を切りに行った。その凄まじい疾さにドレカヴァクは反応出来ていない。
アレーテさんが右脚を切りつけた。
切りつけた箇所から光が立ち上った。しかしその光は右脚を崩壊させるには至らない。切りつけたキズも回復していく。
ドレカヴァクはすぐに右足を上げ、アレーテさんを追い払った。
アレーテさんが踏み潰されないよう後ろに回りこむ。
この攻防ではドレカヴァクはほぼ無傷。魔法も効果なし。
「氷塊流星群使う?」
「いや、あれだけ大きいと威力が出る前に当たって大したダメージにならないよ」
氷塊流星群だと生成中に叩き落とされる可能性もある。それに味方にも被害が出てしまうだろう。
味方に被害、という点では爆発もダメだ。あの巨体を吹き飛ばす爆発となるとここら一帯が焦土と化す。
「くそっ、どうする?」
「今考え中……」
うーん、デカイってのはそれだけで脅威だよなホント。オマケに魔法は効かないか。
「くそっ、私の龍炎光牙剣でもダメだというのか……」
うーん、せっかく作った龍炎光牙剣は切り札になると思ったのになぁ。僕たちパーティの名を冠した剣だもの。これが役に立たないなんて悔しすぎる。
ん?
龍炎光牙……。みんなのスキル……。僕の拡大解釈で……。
「ある!」
「え?」
天啓のごとく閃いた考えに僕は勝機を見出すと、思わず叫んでしまった。
「勝つ方法だよ。そうだよ、僕らだからこそできることがあるじゃないか!」
「さすがルウだ。その方法は?」
「超龍炎光牙剣だよ!」
「「「は?」」」
僕の一言に皆が意味わからん、と肩を落とす。でも大丈夫、これならきっと勝てる!
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