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第75話 アルテア聖教会
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アルテア神殿に総勢16人で押しかける。神殿の中に入ると広いロビーがあり、左手に洗礼を受けるための受け付けがある。右側は礼拝堂へと至る道だ。で、その真ん中には聖人の名前と肖像画があるんだけど、その中にしっかり僕がいた。
『克肖者ルウ』
当然みんなの目がそこへ行く。
「え、ルウのあんちゃん聖人になってる?」
「ホントだ!」
「こくしょうしゃってなんだ?」
うわー、恥ずかしい……。
あ、サルヴァンとアレサが必死に笑いを堪えている……。
「ルウ、お前すげぇんだな」
「まぁ、その話はまた今度で……。とにかく洗礼を受けてもらわないと」
とにかく強引に受け付けへ案内する。すると受け付けでまでだよ。
「おお、これは偉大なる聖人ルウ様。よくぞおいでくださいました」
受け付けの神官が僕に頭を下げる。なんだこの羞恥プレイは……。よくよく考えたら僕いなくても良かったよね?
「すまないけど全員に洗礼をして欲しい。金貨ならここに24枚ある」
「12人分でございますね。では皆様こちらへどうぞ。それとルウ様。大事なお話がございます。おい、ルウ様を大司祭様の元へご案内してさしあげろ」
受け付けの神官は笑顔で他の皆を洗礼の間へと送り出す。そういや最初のときは銅貨や銀貨ばっかり渡して嫌な顔されたっけ。懐かしいな。
「はっ」
「さ、お仲間の皆様は私がご案内します」
「僭越ながら私めが大司祭の元へご案内します」
もう1人の神官から案内を受け、礼拝堂のある右側へ向かう。そこから途中にある扉に入りしばらく進むと大司祭様の執務室があった。
神官がノックをすると中から声がかかり、扉が開かれる。
「どうぞお入りください」
「失礼します」
僕は頭を下げ中へ入る。そこには様々の書類に目を通している大司祭様がいた。机の上でハンコを押していたようだ。
「よくぞおいでくださいました。克肖者ルウ様。リオネッセ様が御一緒でしたらもっと良かったのですが」
「リオネッセさんならクランハウスにいると思いますよ。呼んできますか?」
「いえ、大丈夫でしょう。後で話の内容を伝えていただければ大丈夫です。まずはどうぞおかけください」
促されソファに座ると大司祭様も僕の前に座る。
神妙な面持ちだ。まさかドレカヴァクのことじゃないよね?
「ご苦労様でした。下がっていいですよ」
「はい、失礼します」
案内の神官が立ち去るのを待って大司祭様が話を切り出す。内容は予想通りだった。
「ルウ様は魔神ドレカヴァクについてどの程度ご存知ですか?」
「ついこないだリオネッセさん達から聞く機会がありました」
「そうですか。実はですね、そのドレカヴァク復活が疑われているのです。夢見、という恩恵スキルがありまして、そのスキルを持つものからドレカヴァクの存在が示されましてね」
夢見か。便利なスキルだなー。リオネッセさんは口外してはダメ、って言ったけどさすがに教会の偉い人には話すべきだよね?
「あの、いいでしょうか」
「どうぞ」
「僕たちが今日来たのは後輩達に洗礼を受けさせるためです。必要にかられましたから」
「なんですと? まさか……」
僕はコクリと頷く。
「ドレカヴァクの加護を受けた少年を発見しました。リオネッセさんにも伝えてあります。少年の名はアマラ。ストリートチルドレンなんですけど所属コミュニティがわかりません。そのアマラという人は冒険者をやっているんですが、そのパーティメンバーから子供たちの死体を集めて共同墓地に埋めている、という話を聞いています」
今わかってるのはこのくらいだ。アマラが何を考えてドレカヴァクの加護を受けたのかはわからない。何らかの取り引きがあったとは思うけど。
「な、なんということだ……!」
「コミュニティについては明日にはわかると思います。ストリートチルドレンのことはストリートチルドレンが1番よく知っていますから」
「なるほど、そうですね。そうなるとすぐにでも対策を練らないといけません」
「待ってください。ドレカヴァクはまだ大きな動きを見せていません。大きな動きをされて警戒されると困るんです。動くならとにかく水面下でこっそりとお願いします」
この後ヘタイロス達が調査してくれるのに警戒されたら生命が危うくなる。動くならその後にしてもらいたいとこだけど。
「いえ、ご心配には及びません。その調査に退魔専門のエクソシストたちをこっそり同行させましょう。場所がわかればリオネッセ様をお連れしてドレカヴァクの痕跡を探り当てるつもりです。それなら大丈夫でしょう?」
「ええ、そうですね。それならば……」
そっか、聖女であるリオネッセさんの功績は教会の功績にもなるんだっけ。つまり僕の功績も教会の功績になるわけね。
「ご納得いただけてよかった。ストリートチルドレンはドレカヴァクに狙われやすいですからね。ルウ様なら何か知っていないかと思ったのですが、その加護を受けた少年までわかるとは。今日はありがとうございました」
「いえ、こちらこそ。では僕はこれで失礼します」
僕は席を立ち、一礼して部屋を出る。洗礼の間の方へ行くと、皆は既に洗礼を終えていた。どんな恩恵をもらったかで話が盛り上がっていたようだ。
さて、対抗策を万全にしておかないとね。
やることの多さにちょっと頭痛くなりそうだけど、まずはサルヴァンとアレサにもっといい武器が必要だ。そのために魔道具の作り方をマスターするところからかな。
『克肖者ルウ』
当然みんなの目がそこへ行く。
「え、ルウのあんちゃん聖人になってる?」
「ホントだ!」
「こくしょうしゃってなんだ?」
うわー、恥ずかしい……。
あ、サルヴァンとアレサが必死に笑いを堪えている……。
「ルウ、お前すげぇんだな」
「まぁ、その話はまた今度で……。とにかく洗礼を受けてもらわないと」
とにかく強引に受け付けへ案内する。すると受け付けでまでだよ。
「おお、これは偉大なる聖人ルウ様。よくぞおいでくださいました」
受け付けの神官が僕に頭を下げる。なんだこの羞恥プレイは……。よくよく考えたら僕いなくても良かったよね?
「すまないけど全員に洗礼をして欲しい。金貨ならここに24枚ある」
「12人分でございますね。では皆様こちらへどうぞ。それとルウ様。大事なお話がございます。おい、ルウ様を大司祭様の元へご案内してさしあげろ」
受け付けの神官は笑顔で他の皆を洗礼の間へと送り出す。そういや最初のときは銅貨や銀貨ばっかり渡して嫌な顔されたっけ。懐かしいな。
「はっ」
「さ、お仲間の皆様は私がご案内します」
「僭越ながら私めが大司祭の元へご案内します」
もう1人の神官から案内を受け、礼拝堂のある右側へ向かう。そこから途中にある扉に入りしばらく進むと大司祭様の執務室があった。
神官がノックをすると中から声がかかり、扉が開かれる。
「どうぞお入りください」
「失礼します」
僕は頭を下げ中へ入る。そこには様々の書類に目を通している大司祭様がいた。机の上でハンコを押していたようだ。
「よくぞおいでくださいました。克肖者ルウ様。リオネッセ様が御一緒でしたらもっと良かったのですが」
「リオネッセさんならクランハウスにいると思いますよ。呼んできますか?」
「いえ、大丈夫でしょう。後で話の内容を伝えていただければ大丈夫です。まずはどうぞおかけください」
促されソファに座ると大司祭様も僕の前に座る。
神妙な面持ちだ。まさかドレカヴァクのことじゃないよね?
「ご苦労様でした。下がっていいですよ」
「はい、失礼します」
案内の神官が立ち去るのを待って大司祭様が話を切り出す。内容は予想通りだった。
「ルウ様は魔神ドレカヴァクについてどの程度ご存知ですか?」
「ついこないだリオネッセさん達から聞く機会がありました」
「そうですか。実はですね、そのドレカヴァク復活が疑われているのです。夢見、という恩恵スキルがありまして、そのスキルを持つものからドレカヴァクの存在が示されましてね」
夢見か。便利なスキルだなー。リオネッセさんは口外してはダメ、って言ったけどさすがに教会の偉い人には話すべきだよね?
「あの、いいでしょうか」
「どうぞ」
「僕たちが今日来たのは後輩達に洗礼を受けさせるためです。必要にかられましたから」
「なんですと? まさか……」
僕はコクリと頷く。
「ドレカヴァクの加護を受けた少年を発見しました。リオネッセさんにも伝えてあります。少年の名はアマラ。ストリートチルドレンなんですけど所属コミュニティがわかりません。そのアマラという人は冒険者をやっているんですが、そのパーティメンバーから子供たちの死体を集めて共同墓地に埋めている、という話を聞いています」
今わかってるのはこのくらいだ。アマラが何を考えてドレカヴァクの加護を受けたのかはわからない。何らかの取り引きがあったとは思うけど。
「な、なんということだ……!」
「コミュニティについては明日にはわかると思います。ストリートチルドレンのことはストリートチルドレンが1番よく知っていますから」
「なるほど、そうですね。そうなるとすぐにでも対策を練らないといけません」
「待ってください。ドレカヴァクはまだ大きな動きを見せていません。大きな動きをされて警戒されると困るんです。動くならとにかく水面下でこっそりとお願いします」
この後ヘタイロス達が調査してくれるのに警戒されたら生命が危うくなる。動くならその後にしてもらいたいとこだけど。
「いえ、ご心配には及びません。その調査に退魔専門のエクソシストたちをこっそり同行させましょう。場所がわかればリオネッセ様をお連れしてドレカヴァクの痕跡を探り当てるつもりです。それなら大丈夫でしょう?」
「ええ、そうですね。それならば……」
そっか、聖女であるリオネッセさんの功績は教会の功績にもなるんだっけ。つまり僕の功績も教会の功績になるわけね。
「ご納得いただけてよかった。ストリートチルドレンはドレカヴァクに狙われやすいですからね。ルウ様なら何か知っていないかと思ったのですが、その加護を受けた少年までわかるとは。今日はありがとうございました」
「いえ、こちらこそ。では僕はこれで失礼します」
僕は席を立ち、一礼して部屋を出る。洗礼の間の方へ行くと、皆は既に洗礼を終えていた。どんな恩恵をもらったかで話が盛り上がっていたようだ。
さて、対抗策を万全にしておかないとね。
やることの多さにちょっと頭痛くなりそうだけど、まずはサルヴァンとアレサにもっといい武器が必要だ。そのために魔道具の作り方をマスターするところからかな。
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