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第71話 アレサVSオーガロード
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けっこう広範囲に渡りオーガが散開していたためか苦戦を強いられていた。
「泥化!」
サルヴァンの魔法で土は泥となり、自重のあるオーガ達は足を取られ膝上まで沈んでいく。
「ほい、硬質化!」
その後は硬質化で固めてしまえばもう前に進むことはできない。この硬質化は放っておけば半日持つという恐ろしい維持能力を持つほどに成長しているからね。あえて放置で壁になってもらっている。死んでる仲間は壊してでも進むけど、生きていると手を出さないらしい。
とにかく数が多いので僕らが中央を受け持ち、筋肉の誓いが右側、左側を神撃と不滅のメンバーが担当して対処している。不滅は正直アマラ以外役に立たないので神撃がついてるそうな。
「だいぶ集まって来たね。リーネ、死滅陣!」
「任せて! 死滅陣!」
「強化!」
僕らの前方の広範囲に渡りあちこちに魔法陣が出現する。その魔法陣から黒い光が立ち上るとオーガの肉体を蝕み、その生命力を奪っていく。
なるべく環境を破壊しないようにする必要があるため、使える魔法が限られているのが辛いとこだね。この魔法、生命力を奪う魔法なので体力化け物のオーガとはすこぶる相性が悪いのだ。
それでもリーネの魔法の威力のおかげで通常種のオーガはだいたい壊滅できたようだ。後は上位種が残っているけど、遺体があちこちにあるので結構邪魔かも。
上位種どもの中には一際大きいオーガがいる。恐らくあれがオーガロードだろう。通常のオーガの1.5倍はデカイ。
「あれはデカイな。一番の大物か。私がもらうがかまわんな?」
アレサの戦闘狂モード発動か。腕前は信用しているけどさ。心配は心配なんだよね。
「大丈夫なの?」
「ルウ、かまわん。行かせてやれ」
サルヴァンが許可するならいいのかな。援護をすれば大丈夫だとは思うけど。
「すまんなサルヴァン」
「援護はさせてもらうよ?」
「助かる」
アレサが一気に駆ける。遺体の山を防壁で足場を作りながら駆け上っいく。いかん、距離がありすぎると援護できなくなる!
「ルウ乗って!」
「リーネ!」
リーネが闇の手に乗る。僕も急いでその手に乗ると、アレサを追う。
「邪魔! 光刃!」
手加減無しのサイズはツヴァイハンダー並のサイズだ。光の剣を飛ばし、邪魔するオーガ(上位種だろうけど種類知らない)の喉に剣をぶっ刺して仕留める。
アレサはもうじきオーガロードと接敵しそうだった。通り抜けざまにオーガの脚を斬り落として転がしていたようだ。そこかしこにオーガどもがもがいている。骨ごと斬り裂くとか腕前なのか剣の質なのか。多分前者だな……。でも少なくとも4体の脚を斬り落としたのだから刃が心配だね。
援護の射程に入る頃には既にオーガロードとアレサの戦いが始まっていた。リーネには邪魔が入らないように近づくオーガの始末をお願いする。
アレサはオーガロードの掴もうとする手を軽くかわし、脚を斬りに行く。オーガロードの足下なんて見えないだろうに足を上げ、踏みつけようと足を下ろしている。それすらも軽くかわし、オーガロードのすねを一閃。
パキィィィ、と涼やかな音がした。オーガの頑丈で太い脚のホネを4度も切断してのけたのだ。いかにミスリルの剣といえど、刃が無事なわけがなかった。これはまずい!
予備のミスリルの剣はある。しかしその剣でオーガロードに通じるのか?
そうだ、光刃を剣の代わりにできないか?
ならば拡大解釈!
「光刃!」
大きさをロングソードに調整。そして本来なら刺さると消える性質を改変。剣のままでいてもらおう!
「アレサ! 受け取って!」
僕は光の剣を5本生み出しオーガロードの足下に向かって飛ばす。アレサなら軽く避けると信じてる!
「助かる!」
アレサは剣を軽く避けると内1本を手にする。そしてオーガロードの右すねを切りつけた。
剣はすねを音もなく通り抜ける。
オーガロードが右脚を上げた。踏み潰すつもりなんだろうけど、右脚のすねから先は何も無い。ただその切り口から血が滴り落ちるのみ。
オーガロードが後ろ向きに倒れようとすると、同時にアレサが左のすねを後ろから切りつけ、切断する。
そしてオーガロードは派手な音を立てて後ろ向きに倒れた。そしてアレサが防壁を足場に駆け上りながらオーガロードの喉元へと迫る。それをさせまいと大きな右手が獲物を捕まえるべく動く。しかし俊敏な動きを捕らえること叶わず容易に喉への接近を許した。
そして、オーガロードの喉元を光の剣が切り裂く。喉元からは血が溢れ、吐き出される空気が血の泡を作っているはずだ。そのうち息絶えるだろう。
アレサはそのまま光の剣を手にし、他のオーガの始末に向かった。
オーガロードが倒れても戦いは終わらない。並み居るオーガたちを全て片付ける頃にはお昼などとうに過ぎていた。僕とリーネで遺体の回収を終えると僕たちは疲れ果て、その場に座り込むのだった。
あーしんど……。そういや避難準備に入っていた村の人たちに戻るように伝えないといけないな。もう出発してるだろうから呼び戻さないと。僕は重い腰を上げ、リーネにお願いして村人たちの呼び戻しに向かった。
結局不滅はあのアマラって子以外は石を投げたり、動けなくしたオーガを切りつけたりしただけだ。死なれるよりはいいけど、周りはいい気しないだろうな……。
「泥化!」
サルヴァンの魔法で土は泥となり、自重のあるオーガ達は足を取られ膝上まで沈んでいく。
「ほい、硬質化!」
その後は硬質化で固めてしまえばもう前に進むことはできない。この硬質化は放っておけば半日持つという恐ろしい維持能力を持つほどに成長しているからね。あえて放置で壁になってもらっている。死んでる仲間は壊してでも進むけど、生きていると手を出さないらしい。
とにかく数が多いので僕らが中央を受け持ち、筋肉の誓いが右側、左側を神撃と不滅のメンバーが担当して対処している。不滅は正直アマラ以外役に立たないので神撃がついてるそうな。
「だいぶ集まって来たね。リーネ、死滅陣!」
「任せて! 死滅陣!」
「強化!」
僕らの前方の広範囲に渡りあちこちに魔法陣が出現する。その魔法陣から黒い光が立ち上るとオーガの肉体を蝕み、その生命力を奪っていく。
なるべく環境を破壊しないようにする必要があるため、使える魔法が限られているのが辛いとこだね。この魔法、生命力を奪う魔法なので体力化け物のオーガとはすこぶる相性が悪いのだ。
それでもリーネの魔法の威力のおかげで通常種のオーガはだいたい壊滅できたようだ。後は上位種が残っているけど、遺体があちこちにあるので結構邪魔かも。
上位種どもの中には一際大きいオーガがいる。恐らくあれがオーガロードだろう。通常のオーガの1.5倍はデカイ。
「あれはデカイな。一番の大物か。私がもらうがかまわんな?」
アレサの戦闘狂モード発動か。腕前は信用しているけどさ。心配は心配なんだよね。
「大丈夫なの?」
「ルウ、かまわん。行かせてやれ」
サルヴァンが許可するならいいのかな。援護をすれば大丈夫だとは思うけど。
「すまんなサルヴァン」
「援護はさせてもらうよ?」
「助かる」
アレサが一気に駆ける。遺体の山を防壁で足場を作りながら駆け上っいく。いかん、距離がありすぎると援護できなくなる!
「ルウ乗って!」
「リーネ!」
リーネが闇の手に乗る。僕も急いでその手に乗ると、アレサを追う。
「邪魔! 光刃!」
手加減無しのサイズはツヴァイハンダー並のサイズだ。光の剣を飛ばし、邪魔するオーガ(上位種だろうけど種類知らない)の喉に剣をぶっ刺して仕留める。
アレサはもうじきオーガロードと接敵しそうだった。通り抜けざまにオーガの脚を斬り落として転がしていたようだ。そこかしこにオーガどもがもがいている。骨ごと斬り裂くとか腕前なのか剣の質なのか。多分前者だな……。でも少なくとも4体の脚を斬り落としたのだから刃が心配だね。
援護の射程に入る頃には既にオーガロードとアレサの戦いが始まっていた。リーネには邪魔が入らないように近づくオーガの始末をお願いする。
アレサはオーガロードの掴もうとする手を軽くかわし、脚を斬りに行く。オーガロードの足下なんて見えないだろうに足を上げ、踏みつけようと足を下ろしている。それすらも軽くかわし、オーガロードのすねを一閃。
パキィィィ、と涼やかな音がした。オーガの頑丈で太い脚のホネを4度も切断してのけたのだ。いかにミスリルの剣といえど、刃が無事なわけがなかった。これはまずい!
予備のミスリルの剣はある。しかしその剣でオーガロードに通じるのか?
そうだ、光刃を剣の代わりにできないか?
ならば拡大解釈!
「光刃!」
大きさをロングソードに調整。そして本来なら刺さると消える性質を改変。剣のままでいてもらおう!
「アレサ! 受け取って!」
僕は光の剣を5本生み出しオーガロードの足下に向かって飛ばす。アレサなら軽く避けると信じてる!
「助かる!」
アレサは剣を軽く避けると内1本を手にする。そしてオーガロードの右すねを切りつけた。
剣はすねを音もなく通り抜ける。
オーガロードが右脚を上げた。踏み潰すつもりなんだろうけど、右脚のすねから先は何も無い。ただその切り口から血が滴り落ちるのみ。
オーガロードが後ろ向きに倒れようとすると、同時にアレサが左のすねを後ろから切りつけ、切断する。
そしてオーガロードは派手な音を立てて後ろ向きに倒れた。そしてアレサが防壁を足場に駆け上りながらオーガロードの喉元へと迫る。それをさせまいと大きな右手が獲物を捕まえるべく動く。しかし俊敏な動きを捕らえること叶わず容易に喉への接近を許した。
そして、オーガロードの喉元を光の剣が切り裂く。喉元からは血が溢れ、吐き出される空気が血の泡を作っているはずだ。そのうち息絶えるだろう。
アレサはそのまま光の剣を手にし、他のオーガの始末に向かった。
オーガロードが倒れても戦いは終わらない。並み居るオーガたちを全て片付ける頃にはお昼などとうに過ぎていた。僕とリーネで遺体の回収を終えると僕たちは疲れ果て、その場に座り込むのだった。
あーしんど……。そういや避難準備に入っていた村の人たちに戻るように伝えないといけないな。もう出発してるだろうから呼び戻さないと。僕は重い腰を上げ、リーネにお願いして村人たちの呼び戻しに向かった。
結局不滅はあのアマラって子以外は石を投げたり、動けなくしたオーガを切りつけたりしただけだ。死なれるよりはいいけど、周りはいい気しないだろうな……。
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