57 / 188
第56話 帰還! そして……!
しおりを挟む
次の日の昼過ぎにはランディゴを発ち、元来たルートではなくアシュトの街とオルベスタの街を経由してアプールの街に戻ってきた。帰りのランディゴからアプールの街へは行きより道程が短いらしく、それぞれの街に1泊しても5日ほどだったとか。
「いやはや、約2週間の予定がわずか6日で終わるとは。各支部ではものすごく驚かれましたが、おかげで助かりました。報酬は上乗せ分も合わせて金貨50枚でどうでしょう」
提示された額は予想を遥かに上回る額だった。内容については知らされていないけど、よっぽど儲かったのかな?
「上乗せ金貨20枚もですか! ありがとうございます!」
「ええ。採算はしっかり取れていますのでご心配なく。それとこれは感謝状と依頼の評価票です。こちらもお受け取りください」
「ありがとうございます!」
サルヴァンが代表として受け取り頭を下げる。後はこれをギルドに提出すれば!
逸る心を抑えきれず防壁で空を飛びギルドへと向かった。
そして扉を開けるとアリシアさんがめっちゃ驚いた顔をして僕たちを見る。
「え? もう帰ってきたんですか!? もしかして何かありましたか!?」
いかん、アリシアさんが青ざめている。事情を知らないから仕方がないか……。
周りにいる冒険者もこちらを注目している。変な噂が流れないことを祈ろう。
「落ち着きなさい。依頼なら完璧に終わらせて来たわ。悪いんだけど、ギルドマスターと話をさせてもらえないかしら?」
「わ、わかりました!」
アリシアさんは手が空いていたのですぐに奥へと案内してくれた。そして応接室へと通される。
しばらく待つとギルドマスターが姿を現した。相変わらず少年の情操教育に悪い格好なことで。
「お前らか。今度は何をやらかしたんだ?」
いや、問題児みたいに言わないでってば。
「そんなに呆れないで。むしろ褒めてあげるべきよ」
そうだそうだ!
と僕は心の中でアレーテさんを応援する。アリシアさんも見ているんだし褒められたい。
「えーっと、これサンマルクの領主様の感謝状とベルナール商会会頭の感謝状と評価票、それと盗賊捕縛証明書です」
「は?」
サルヴァンが今回の成果を提出すると、ギルドマスターが信じられない、といった顔で固まる。さすがにこれは予想してなかったよね?
「……」
ギルドマスターはソファに座ると、黙って感謝状や評価票、盗賊捕縛証明書に目を通す。
そして一通り目を通すと真顔で僕たちに顔を向けた。
「すまなかった。まさかここまでの成果を挙げるとは夢にも思わなかったな。依頼達成評価は文句無しの最高評価だ。それに疫病の解決、盗賊団の壊滅、Sランクの悪魔の討伐か。で、日程の大幅短縮とはどういうことだ?」
ギルドマスターは不愛想な態度を詫びると僕らに説明を求めた。
「実は……」
ギルドマスターには報告しないといけないので僕が説明すると、ギルドマスターは頭を抱える。うんまぁ、空を飛ぶ魔法自体はあるけど、複数人を空から運ぶ魔法なんてないからね。
「なんだその非常識な魔法の使い方は……。そんなこと前例がないぞ! もしかしたら今度検証させてもらうかもしれん。有事の際には有効だからな」
まぁ、用途は多いよね。特に軍事利用とか。これを使えば敵軍の上に大きな岩を落とすことも可能だ。空の上から近づいて氷塊流星群で攻撃してもいいし。
「ギルドマスター。クラン勇士の紋章としては2つの感謝状の報奨として龍炎光牙のCランク昇格の推薦状を提出するつもりよ。ライミスの決裁はないけど、反対なんてしないと思うわ」
「……そうだな。わかった。少し早い気もするが龍炎光牙のCランク昇格を認める。推薦状は後日でかまわん」
ギルドマスターの言葉に僕らは目を見合わせる。龍炎光牙は結成2年目だ。僕が恩恵『拡大解釈』を手に入れてその力に気づいたとき、いつかこんな日が来るかもしれないと夢見たこともあった。それが今現実に……!
「Cランク……!」
「昇格……!」
「「「「やったーーー!」」」」
そして僕達は感極まって飛び上がって喜んだ。みっともないかもだけど、嬉しいものは仕方がないよね?
「喜びすぎだろ」
「まぁ、いいじゃないの」
「そうですねぇ。あははははっ」
3人の見る目は温かかった。
「いやはや、約2週間の予定がわずか6日で終わるとは。各支部ではものすごく驚かれましたが、おかげで助かりました。報酬は上乗せ分も合わせて金貨50枚でどうでしょう」
提示された額は予想を遥かに上回る額だった。内容については知らされていないけど、よっぽど儲かったのかな?
「上乗せ金貨20枚もですか! ありがとうございます!」
「ええ。採算はしっかり取れていますのでご心配なく。それとこれは感謝状と依頼の評価票です。こちらもお受け取りください」
「ありがとうございます!」
サルヴァンが代表として受け取り頭を下げる。後はこれをギルドに提出すれば!
逸る心を抑えきれず防壁で空を飛びギルドへと向かった。
そして扉を開けるとアリシアさんがめっちゃ驚いた顔をして僕たちを見る。
「え? もう帰ってきたんですか!? もしかして何かありましたか!?」
いかん、アリシアさんが青ざめている。事情を知らないから仕方がないか……。
周りにいる冒険者もこちらを注目している。変な噂が流れないことを祈ろう。
「落ち着きなさい。依頼なら完璧に終わらせて来たわ。悪いんだけど、ギルドマスターと話をさせてもらえないかしら?」
「わ、わかりました!」
アリシアさんは手が空いていたのですぐに奥へと案内してくれた。そして応接室へと通される。
しばらく待つとギルドマスターが姿を現した。相変わらず少年の情操教育に悪い格好なことで。
「お前らか。今度は何をやらかしたんだ?」
いや、問題児みたいに言わないでってば。
「そんなに呆れないで。むしろ褒めてあげるべきよ」
そうだそうだ!
と僕は心の中でアレーテさんを応援する。アリシアさんも見ているんだし褒められたい。
「えーっと、これサンマルクの領主様の感謝状とベルナール商会会頭の感謝状と評価票、それと盗賊捕縛証明書です」
「は?」
サルヴァンが今回の成果を提出すると、ギルドマスターが信じられない、といった顔で固まる。さすがにこれは予想してなかったよね?
「……」
ギルドマスターはソファに座ると、黙って感謝状や評価票、盗賊捕縛証明書に目を通す。
そして一通り目を通すと真顔で僕たちに顔を向けた。
「すまなかった。まさかここまでの成果を挙げるとは夢にも思わなかったな。依頼達成評価は文句無しの最高評価だ。それに疫病の解決、盗賊団の壊滅、Sランクの悪魔の討伐か。で、日程の大幅短縮とはどういうことだ?」
ギルドマスターは不愛想な態度を詫びると僕らに説明を求めた。
「実は……」
ギルドマスターには報告しないといけないので僕が説明すると、ギルドマスターは頭を抱える。うんまぁ、空を飛ぶ魔法自体はあるけど、複数人を空から運ぶ魔法なんてないからね。
「なんだその非常識な魔法の使い方は……。そんなこと前例がないぞ! もしかしたら今度検証させてもらうかもしれん。有事の際には有効だからな」
まぁ、用途は多いよね。特に軍事利用とか。これを使えば敵軍の上に大きな岩を落とすことも可能だ。空の上から近づいて氷塊流星群で攻撃してもいいし。
「ギルドマスター。クラン勇士の紋章としては2つの感謝状の報奨として龍炎光牙のCランク昇格の推薦状を提出するつもりよ。ライミスの決裁はないけど、反対なんてしないと思うわ」
「……そうだな。わかった。少し早い気もするが龍炎光牙のCランク昇格を認める。推薦状は後日でかまわん」
ギルドマスターの言葉に僕らは目を見合わせる。龍炎光牙は結成2年目だ。僕が恩恵『拡大解釈』を手に入れてその力に気づいたとき、いつかこんな日が来るかもしれないと夢見たこともあった。それが今現実に……!
「Cランク……!」
「昇格……!」
「「「「やったーーー!」」」」
そして僕達は感極まって飛び上がって喜んだ。みっともないかもだけど、嬉しいものは仕方がないよね?
「喜びすぎだろ」
「まぁ、いいじゃないの」
「そうですねぇ。あははははっ」
3人の見る目は温かかった。
35
お気に入りに追加
763
あなたにおすすめの小説

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています

最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅
散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー
2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。
人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。
主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
スキル【僕だけの農場】はチートでした~辺境領地を世界で一番住みやすい国にします~
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
旧題:スキル【僕だけの農場】はチートでした なのでお父様の領地を改造していきます!!
僕は異世界転生してしまう
大好きな農場ゲームで、やっと大好きな女の子と結婚まで行ったら過労で死んでしまった
仕事とゲームで過労になってしまったようだ
とても可哀そうだと神様が僕だけの農場というスキル、チートを授けてくれた
転生先は貴族と恵まれていると思ったら砂漠と海の領地で作物も育たないダメな領地だった
住民はとてもいい人達で両親もいい人、僕はこの領地をチートの力で一番にしてみせる
◇
HOTランキング一位獲得!
皆さま本当にありがとうございます!
無事に書籍化となり絶賛発売中です
よかったら手に取っていただけると嬉しいです
これからも日々勉強していきたいと思います
◇
僕だけの農場二巻発売ということで少しだけウィンたちが前へと進むこととなりました
毎日投稿とはいきませんが少しずつ進んでいきます
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる