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第46話 襲撃者の末路

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「これはまた見事なものね」

 縛られ、気絶して倒れている盗賊どもを眺めながらアレーテさんが感嘆の声をあげた。

「この様子なら私は要らなかったかもしれませんねぇ~」
「盗賊ごときに遅れはとりませんよ」

 サルヴァンがへへっ、と笑う。僕も奇襲で接近さえされなければ、盗賊なんて僕たち龍炎光牙の敵じゃないと思う。リーネの恐怖フィアーではいおしまい、だもん。闇属性ってえげつない魔法多い気がする。

「確認しましたけど恩恵ギフト持ちはいませんでした。お金持ってそうなのにね」
「大罪人が洗礼を受けると、その大罪人には神罰が下りますから。恩恵ギフト持ちの盗賊はだいたいが落ちぶれた騎士や冒険者ですね」

 へー、そうなんだ。でも恩恵ギフトは無くても魔法は使える。魔法の発動に必要なのは力ある言葉だ。だから鑑定で魔法を持っていた奴は猿ぐつわをかましてある。

「ルウ、そろそろ尋問を始めよう」
「わかった。水創アクアクリエイト

 まとめた盗賊どもに冷や水を浴びせ、目を覚まさせる。凍る手前くらいに冷たくしたった。

「つめてぇぇぇっ!」

 盗賊共が冷や水に驚き声をあげる。目を覚ましたようだ。
 そしてサルヴァンが尋問を開始する。

「さて、質問に答えて貰おうか。リーダーは誰だ?」
「ガキが!    さっさと縄を解きやがれ!」

 サルヴァンの質問にハゲ頭が毒づく。
 うーん、完全に舐められてるな。さっきやられたのもう忘れたんかね?

「立場がわかってないようだな。リーネ、このハゲ以外やっていいぞ」
「わかった!」
「ゆっくりでいいからな?」

 サルヴァンがニヤリと笑って追加注文すると、リーネがにこーっと笑って答えた。
 いい笑顔ですね!

石化ペトリフィケーション!」

 パキパキパキ……。

「いいっ!?」

 盗賊どもの足から腕からが石と化していく。まるで身体を侵食するように石はその勢力を広げ、肉体を飲み込んでいった。

「か、身体の感覚がぁぁぁっっ!!」
「ひぃぃぃぃっ!    こ、こえーーよーーー!」
「い、石になっていくぅぅっっ!!」

 そこからは阿鼻叫喚の地獄だった。身体が石になっていく恐怖を盗賊達が襲う。それもゆっくりとした速度で石になっていくからねぇ。泣きが入らない盗賊はいないようだ。

 そしてほどなくして恐怖に引きつった表情の見事な石像が並んでいた。ハゲ頭も顔が真っ青だ。これなら素直に答えてくれそうだね。

「あ、悪魔かお前ら……!」
「殺してないだけありがたいと思え。もう一度聞くぞ。リーダーはおまえか?」
「お、俺は頭じゃねぇ。というよりこの中に頭はいねぇよ!」

 ハゲ頭は怯えながらも質問に答える。しかし頭じゃないなら聞くことが増えそうだ。

「動いたのは頭の命令か?」
「そ、そうだ!    女とガキが護衛だから夜に襲って来いって命令されたんだ!」
「頭のところはあと何人いる?」
「さ、30人ほどだ……」

 うーん、結構いるなー。今回は護衛だから盗賊討伐は違うんだろうけど、目をつけられているのがなー。

「ルウ、どう思う?」
「うーん、後顧の憂いは断っておきたいけど、依頼は護衛だからね。マルタンさんの決定に従う方向でいいんじゃないかな?」

 討伐の方向に誘導するけどね。お宝は別に報告の義務はないので全て自分たちのものにできる。そして賞金首がいれば懸賞金も貰えるし、役人につき出せば報奨金も出る。さらにギルドに報告すれば貢献値も獲得!
    つまり盗賊退治は美味しい!

「なら保留か。リーネ、こいつも石にしてくれ」
「ちょ、ちょっと待て!    質問に答えただろうがぁぁっ!」
「いや、約束してねぇし」
石化ペトリフィケーション

 パキパキパキ……。

「いやだぁぁぁぁぁっっ!!」

 絶叫虚しくハゲ頭も石になる。戻す時は回復ヒールでなんとかなるんだよね。その頃にはきっと心も折れているに違いない。

「よし、ルウ。収納してくれ」
「うん。収納ストレージ

 石になった盗賊どもを収納する。石になったので生き物じゃなくなったからしまえるんだよね。いやー、これなら安心して運べるね!

「この発想はなかったわね……」
「なかなか素敵に成長してますねぇ~」

 アレーテさんはちょっと引いてる感じがあるけどリオネッセさんには好評で良かった。
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