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第45話 襲撃者!?

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 夜も更け、日はすっかり沈んでいた。代わりに月が大地を微かに照らし、闇夜にほんのわずかな視界を与えていた。もっと遠くまで見えるものかと思ってたけどそうでもないらしい。

「うーん、思ったほど遠くって見えないんだね」
「そうだな。視界を強化とかできないか?」
「それは怖いからやんない」

 サルヴァンの提案は即座に却下。
 人体というのは案外繊細だ。変な強化をして取り返しのつかないことになったら困るので、人体にかける強化ブーストは自分たちにはしないことにしている。

 時刻は今いつくらいだろう。僕は道具屋で買った懐中時計で時間を確認する。
 午前2時半ほどか。もうじき交代かぁ。
 屋根の上にいるので火は炊いていない。代わりに毛布を羽織っているけど、少し冷えてきたかもしんない。

「おい、あこに人影がないか?    複数いるぞ」
「!    敵襲か!    防壁プロテクション!」
「リーネとアレサを起こして来る!」
「頼むね!」

 入り口に至る道にはゴーレムがいるけど、実はなんの命令も与えられていない。変な命令で味方に被害が出るの嫌だからねぇ。
 とりあえず中に入れないようにゴーレムの後ろに壁を作る。うーん、居場所がわかりづらいな。
 逆にこちらは真っ白な石の家で、その屋上にいるから目立つかもしんない。

光膜ライトフィルム

 自分の身を光の膜で包む。この暗さで飛び道具とか来ても避けられないからね。でも光を放つから余計目立つかな?
 もっと近づいて来たら迎撃しよう。

 僕が屋上から様子を見ていると、どうやら家をぐるりと囲みだしたようだ。ということは射程内だね。

光刃ライトエッジ……強化ブースト!」

 光刃ライトエッジは光の刃を飛ばす魔法で数は多少の調整が効く。今強化したのは数だ。それをとにかく乱れ打つ!
 闇夜を切り裂くように光の刃があっちこっちに飛んでいく。1つ1つは短刀ほどのサイズだが急所に当たれば死ぬこともある。

 そしてあちこちから悲鳴が聞こえた。何人かにはヒットしたようだ。

 ふと、光の膜に矢が当たる感覚。どうやら僕めがけて矢を飛ばして来たらしい。石壁に弾かれる矢もあるが、結構飛んできている。

光膜ライトフィルム強化ブースト

 光の膜が剥がれる前に張り直し、強化する。うーん、敵が見えないとやりにくいな。

「やるか!」

 僕はニヤリと笑って脇の階段を駆け下りる。ゴーレムは破壊されているが、防壁プロテクションに苦戦中か。

「すまん、待たせた!」
「お待たせ!    いっくよー!」

 アレサとリーネが来たか。これで終わるといいけど。

恐怖フィアー!」
強化ブースト!     強化ブースト!」

 リーネの精神汚染魔法の範囲、威力を強化。これで大部分はまともに動けなくなるかな?

「ヒィィィィッ!」
「うわーーーっ!!」

 一気に敵の集団を恐慌状態に陥らせたようだ。襲撃者たちの悲鳴や絶叫が闇夜に響き渡る。

「光よ」

 僕は照らす光ライティングの魔法を付与した魔石、光石で辺りを照らした。水の聖石を作らされる代わりに、リオネッセさんの魔法を魔石に付与させてもらったのだ。かなりの光量で家の周辺を照らすと、奴らの中へと突撃する。目的は全員の無力化だ。
 恐慌状態に陥っており、ほとんどが腰を抜かして動けないようだ。これならやれそうだね。

 僕はナイフを取り出すと、奴らの太腿を深く刺して捻る。痛みで声を出すが、地獄はここからなんだよねぇ。

強化ブースト!」

 これを3人くらいにやった後、刺し傷の痛みを強化した。

「~~~~っっっ!!!!」

 声にならない悲鳴をあげ、身体を引き攣らせると、やがて白目を向いて泡を吹いて気絶した。さて、どんどんいこう。
 恐慌状態に陥って腰を抜かしている襲撃者たちを次々と刺しては痛みを強化し、気絶させていく。うん、これえげつないわ。

 忌避感?

 ないとは言わないけど、こっちも命懸けなんだからかまっていられないかな。ストリートチルドレンの精神はタフなのです。





 さて、こちらは大体終わったかな?
 僕の周りには気絶をして足から地を流す襲撃者達がたくさん寝転がっていた。泡を吹くどころか失禁している人もいるようだ。

 サルヴァンたちの方もカタが着いたようだ。アレサとサルヴァンは縄で襲撃者たちを縛っている。どうやら防壁プロテクションを土台に向こうに渡ったようだ。
 さて、僕の方もこいつらを縛るとするか。
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